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【山陽バスむかしさんぽ】(3)ゴルフ場

神戸市垂水区の山手の住宅地、潮見が丘にある山陽バスのゴルフ場停留所。垂水駅からやって来たゴルフ場止めの4系統の山陽バスは停留所のある回転地でしばらく停車した後に、また垂水駅へと下っていきます。

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1936年5月1日に垂水駅前~神戸高商前間で営業を開始した山陽電気鉄道の自動車事業は、同年11月7日に高丸・ゴルフ場経由の路線を開設し、垂水駅前~神戸高商前~ゴルフ場~高丸~垂水駅前の「循環線」の運行を開始しました。82年後の2018年4月1日に開設された「環系統」のような路線でした。

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ただ、上高丸ではなく高丸を経由するところが現在の環系統とは違います。当時の「循環線」はゴルフ場を経て、福田川沿いの段丘へ坂を下っていました。1991年に休止されたゴルフ場~千鳥が丘1丁目の間の坂道を下りおりる経路がその名残ですが、開設当初はどの道を通ってゴルフ場から高丸へ下っていたのか、はっきりとはわかりません。古い地形図を見ても、高丸とゴルフ場を直接結ぶ道が現れるのは戦後になってからです。

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循環線の名残のゴルフ場~千鳥が丘1丁目の経路を通るバスは戦後も10系統の派生系統として運行されていましたが、1991年に休止となりました。この坂道は狭く勾配が急であるため、大型自動車等通行止の規制がかかっていますが、今も路線バスは規制除外対象となっています。バスが休止されて30年が経ちましたが、今もこのような形でバスが走っていたころの記憶が残されているのですね。

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廃線跡調査が一つのジャンルとして成立している鉄道趣味に対して、バス路線は休廃止されればそこはただの道路になってしまいます。そのせいか、「廃バス跡」の調査はバス趣味の世界でもかなりマイナーな分野なのが現状です。しかし、「廃バス跡」の調査からは忘れられ、失われてしまったちょっと昔の町の姿が見えてきます。この「山陽バスむかしさんぽ」シリーズでは、今の神戸や明石を歩きながら、かつて走っていた山陽バスと昔の町の面影を辿っていきたいと思います。

参考文献山陽電気鉄道株式会社『山陽電気鉄道百年史』(2007年)山陽電気鉄道株式会社『山陽電気鉄道六十五年史』(1972年)

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