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かぶれちゃって、北欧。『マイフィンランドルーティン100』を読んで

私はとってもかぶれやすい。

皮膚のほうも薄くてすぐ赤くなるが、そっちではなく、性質がかぶれやすい。 一度好きと思ったものにはとことん影響されるタチだ。

そしてわたしが今絶賛かぶれ中なのが、フィンランド。

ふだんは家でひとり飲みなんてしないのに成城石井でロンケロというフィンランドの定番サワーを買って晩酌、わざわざディル(フィンランド料理でよく使用されるハーブ)を買ってサーモンスープを作り、さらにはシナモンロール(わたしは小麦アレルギーなのだが、なんと豆腐で作れるレシピを発見!)までこさえて北欧気分を味わっている。

近所にあるマリメッコの店舗ではさすがに高価なので衝動買いはできず物欲しげにウロウロするに留まっているが、来月には飯能にあるムーミンバレーパークへの日帰り旅行の計画まで立てた。

なんでここまで、しかもわりといきなり、フィンランドという国にのめりこんでいるのか?それはある本(コミックエッセイ)を読んだためだ。

それがこの、『マイフィンランドルーティン100』

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書いたのは週末北欧部 chikaさん


そう、このエッセイが”良”すぎて絶賛影響を受けまくっているのだ…もう今めっちゃくちゃフィンランド行きたい。フィンエアーのチケット取りたい。

そもそもフィンランド自体、わたしにとっては魅力ある外国のひとつだった。”ムーミン”や『かもめ食堂』は昔からお気に入りだ。それがここに来てさらに存在感が急膨張しているのは、ひとえに著者の週末北欧部 chikaさんの熱量にあてられてのことだと思う。

このchikaさん、何者なのか。一言でいうと、とにかくフィンランド愛がすごい人だ。尊敬を込めて、「フィンランドおたく」と呼ばせていただいてもいいかもしれない。

chikaさんは大学生のころに初めて訪れてからフィンランドという国にハマったのだそう。以来10年以上にわたり、年に最低1回はフィンランドに通いつつ、ブログやSNSでゆるっと可愛いイラストを交えてその魅力を発信されている。

驚くべきは、そのライフプランもフィンランドを中心に組み立てられていること。

ちょうど初訪芬(フィンランドは漢字で芬蘭と書く、調べた)のタイミングが就活直前だったそうで、卒業してから入社したのは北欧音楽を専門に扱うレコード会社(そんなのあるの!?)。

その後転職をされたそうだが、現在は「フィンランドで自分の店を持って暮らす」という夢を叶えるため、なんと寿司職人を目指されているんだとか!会社員である本業のかたわら専門学校を修了され、休日にはお寿司屋さんでダブルワークという徹底ぶりだ。

わたしがchikaさんを知ったのはツイッター。今ではインスタのアカウントもフォローさせていただいている。

chikaさんの投稿には、やさしい温度がある。手書きのイラストと、それに添えられる丸みを帯びた文字の持つ風合いはもちろん、彼女の持つフィンランドという国への深い愛情と、それをきちんと形にしていくエネルギーがその温度を生み出しているんだと思う。

たまにSNSを開いて、その情報の多さと雑多さに疲れを感じてしまうことがあるのだけど、そんな時でもこちらにじわっと届く言葉や絵というのがいくつかあって、chikaさんの発信はその中のひとつだ。

ごちゃつく情報の波間をしなやかにすり抜けて、ふくふくとした温もりとともに心の中に落ち着いてくる。人懐こい生き物みたいだな、と思う。

で、そんなchikaさんが満を持して出版されたのが、この『マイフィンランドルーティン100』というわけ。タイトルにある100個のルーティン、chikaさんがフィンランドで愛してやまないもの・ことが紹介されている。

それは食べ物だったり、場所だったり、あるいは現地の人との交流だったり…ページをめくるごと、chikaさんが十二年の間に拾い集めて大切に磨いた宝石のかけらをひとつずつ見せてもらっているような気持ちになった。

chikaさんはご自身を「北欧好きをこじらせた」と書かれているけれど、こんなにひとつの事柄に対してピュアで強い熱を持てることが、わたしにはとても羨ましい。

翻って思うのは、わが身がなんと浅瀬で生きているかということだ。

わたしはかぶれやすい。これまでにもたくさんの熱にあてられ、肌をほてらせ、いつの間にかクールダウンを迎えてきた。アニメ、映画、小説、テーマパーク、アーティスト。

ハマったときの執着と熱意は我ながらけっこう強いとおもうのだけど、それがどうにも長続きせず、いつもあと一歩深みに入り込めずに今日まで来たような気がする。ひとつのものに対して真に「おたく」になれたことが私にはないのかもしれない。

だからchikaさんのようなひとについつい憧れる。「これが好き!」と言える揺るぎないものがあって、どうしたらその「好き」と一緒にいられるかを真剣に考えて生きるひと。おたく。おたくって眩しくてかっこいい。

私が今回あてられた熱は、フィンランドそのものというより、chikaさんの持つ絶大な「好き!」のパワーによるものなんじゃないかなと思っている。

だけどひとつだけ胸を張って言えることがあって、わたしのクールダウンはけしてピリオドではないということ。何かに興味を抱いて、時間が経って、そのうちMAXにハマっている時の熱は過ぎたとしても、これまで一度でも「好き」をやめた覚えはない。

いずれ、今のこのフィンランド熱は冷めるだろう。勢いにまかせてフィンエアーのチケットをとりたくても、ウィルスの見えない壁が分厚く立ちふさがっている。この壁が崩れるころには別の何かに興味がうつっていると思う。

それでも、2019年末に更新してからさらぴんのままのパスポートに、最初に入国スタンプを押してもらう国はやっぱりフィンランドがいい。そして彼の北国に足を踏み入れて、澄んだ空気を吸ったとき、きっと私のかぶれ熱はよみがえるのだ。もちろんその時には、忘れずにchikaさんの『マイフィンランドルーティン100』を手荷物の中に入れていこう。

おわりに、近頃のかぶれっぷりをいくつか写真におさめていたので、それを貼っておく。なんだかんだと言ったって、かぶれデイズはそれなりに楽しい時間なのだ、ということが少しでも伝わるといい。


豆腐を使ったシナモンロール(焼き立ての姿)

コーヒーと共に楽しむ。ウニョウニョしたアイシングっぽいものはホワイトチョコペン



ムーミンのお茶なんて迷わず買うし


“カルサリニャンニト”したくてフィンランドの定番サワー・ロンケロもゲット!
“カルサリニャンニト”がどういう意味か、詳しくはぜひ『マイフィンランドルーティン100』で

フィンランドの鮭スープ、“ロヒケイット”もどき。あくまでもどき、なので次回はレシピ通りに作りたい…ちなみにそのレシピもエッセイの中で紹介されている。上にぱらぱらっとかかっている緑色のがディルだ。

器はもちろん、家に唯一ある、とっておきの貰い物のマリメッコ。

それではここまで読んでいただき、kiitos!🇫🇮

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