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025 人の話を聞ける人=いい人 果たして本当?

人の話を聞いてくれる、とか耳を傾けてくれる という話題が最近特に多い。人の話に耳を傾ける人が良い人で、その逆は「悪」というという構図が成立している風潮だが果たして本当か?
私には多少違和感がある。

人の話を聞ける人=いい人 確かにそうかもしれない。が、ここで気を付けたいのは「話し手側」の問題が問われていない。

人に話を聞いてもらいたいのであれば、よく考えた方がいいい。その話をさらに聞きたくなるのか?講義やトークでも理解できないのは「聴く側の問題」と捉えている人が多い。分からないのは聴き手側のせいだ、という論理。実は違う。話し手側に問題があることをもっと理解すべきだろう。そもそも相手の話を「聞く」ということは、聴く「気持ち」を持てることが大前提だからだ。だからこそ話し手側は話す「気持ち」を意識することが問われるのだ。

「話」とは何か? 幾つかのケースに分けて考えてみたい。

1.講義

「私が言ったことが理解できないのは貴方が悪い」という論理は日本に多い。海外では逆で「私が理解できないのはあなたの説明が悪いからだ」という論理が普通にまかり通っている。

多分この原点の違いは上下関係もしくは師弟関係という日本古来の関係性が大きく影響しているのではと考えてしまう。学校教育もそうかもしれない。海外では学校での勉強を「授業」ではなく「講義」と位置付ける。授業とは漢字の通り「授けられるもの」、一方「講義」は「提供するもの」

そもそものスタンスが異なる。話し手側に大きな責務があるからこそ受け手に響かない講義は評価されない。海外では幼少の頃からスピーチの訓練があるのはこれが理由。話し手側のマナーや意識というものの重要性が社会的に認知されている。

講義や講演が上手な人の特徴はなんだろうか?彼らは特段「聞いてほしい」という意思を強く持っているわけではない。聞いてほしいのではなく、興味を抱いてほしい ただそれだけなのではないだろうか?

話し手側はそこを意識して臨まないと、中々聞いてもらえないというジレンマに陥るのである。

2.雑談・相談

聴いてほしい、理解してほしいと願う人は多い。そこには自分で答えを見つけられないから話すことによって答えを探し出したいと思う人。自分の考えをより確実にしたいと思う人。様々だがこれが雑談や相談の原点だろう。

Aさんの例:

Aさん:Jリーグの試合を見に行かない?一緒に盛り上がろうよ!と友人Bさんから強いお誘いがあった。しかしAさん自身はサッカーという競技をやったこともないし、興味もあまりない。悩みは、Bさん自身もサッカーの経験もなく、ルールも今一詳しくないのになんでそんなに盛り上がれるのだろう?理由もなく盛り上がれないとダメなのか?世の中そんなにいい加減なもんなのか?

私:学生時代サッカー部でかなり真剣にやっていた。ルールも戦術もそれなりに見れば理解できる。だからといって、Jリーグを観戦して派手に盛り上がりたいとは思わない。逆に、ルールも経験も無い人達が何故にあそこまでのテンションで盛り上がれるのか不思議、と答えた。

これを聞いて、Aさんはとてもホッとして安心したようだった。多分、自分の考えが間違っていなかったということ、そしてしつこく誘われた時の「答え」が自分の中に完成したからだと思う。

仮にこのような悩みを話す時、話し手側は一体どこから話をスタートすべきなのだろうか? ともすると「嫌な友達がいる」「しつこい誘いが絶えない」というところからスタートしてしまいがち。それではなかなか相手に問題の本質がタイムリーに伝わらない。話し手側はかなり考えて話をスタートさせないとそう簡単には相手に理解してもらえないかもしれない。お互いの距離感が大事だ。

3.話のスタートは信用度から

この人ならどこから話をスタートさせても聴いてくれる。この人はここから話をスタートさせないと聴いてくれない。

人の話を聴いてくれるかどうかといった「評価の差」は、要は会話のスタート地点をどこまで遠くできるかどうか?の違いだと思う。話のまとめ方の優劣も確かにあるが、「話の質」よりも相手のことをどこまで信用しているかが大きく影響してくる。

もし「話を聴いてくれない」と感じるのであれば、それはまだまだ信用度、信頼度が低いと理解した方が良いだろう。「ストレス発散の対象」として「自己中心的に喋る」人が相手にとって果たして信用されるのか?それで信頼度が上がるのか?答えは誰でも分かるはず。

そもそも相手の話を「聞く」ということは、聴く「気持ち」を持てることが大前提だからだ。だからこそ話し手側は「信用」を意識することが問われる。まだまだ信用度や親密度が低い相手なら、話しのスタート地点はゴールに近い所から。信用度が増せば遠い所からの話も間違いなく聴いてくれるようになるはず。






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