私の中のオタクが眠りから目覚めた件について。
忘れもしない、私は小学6年生の頃からオタクだった。
ここまではっきりと覚えているのは、小6の学校招待で観た舞台をきっかけに、劇団四季にどっぷりとハマるオタクと化したからだ。
もともと読書くらいしか趣味のない子どもだったのだけど、オタクの素養自体はあったようでその沼落ちっぷりは凄かった。
小学校を卒業し、立派な厨二病中学生となった私は常にリングノートを持ち歩き、授業中も朝礼中も休み時間にも隙あらばノートを開いて心に残っている歌詞を書き綴ったり推しキャラクターのFAを描いたりしていた。お金もそんなにない中学生だったのでなかなか観劇には行けず、大人の書いた観劇レポブログを読み漁ったり、観てもいない舞台の原作小説を図書館で借りて読んだりすることでセルフ供給を行っていた。今思い返しても熱量怖い。
そして、私はいつの間にか四季オタではなくなっていた。
オタク当時はブログもやっていなくて、無地の本(ノートとかではなく本…)にブログ代わりのオタ日記を書き、劇団四季のキャスト変更情報などを詳細にメモしていた(※当時はキャスト情報が直前にしか発表されなかったので、自分の推し俳優さんが出るタイミングを予測するためにやっていた)のだけど、高校入学以降うっすらと情熱が冷めていき、別ジャンル(こちらも舞台)にハマり倒したことをきっかけにほとんど劇団四季を観ることはなくなった。
そして、つい先日のことなのだが、私のかつての推し俳優が劇団四季を退団したことをSNSで発表した。
推しの俳優さんは、まだ若手といっていいような年齢のときから推していて、美女と野獣のビースト(野獣)役を演じていた姿を観て心底好きになった。
他にも観てみたいと思う持ち役はたくさんあったのだけど、学生の身では遠征観劇もままならず……。
結局、彼の演技を観たのはビースト役と、オペラ座の怪人のみだった。
そう、オペラ座の怪人。
私がちょっと情熱を覚ましている間に、推しの俳優さん(人生初のファンレターを送った相手……)はあの有名作のタイトルロールまで務められるようになったのだ。
(※ビーストもタイトルロールではある)
そもそも、彼はバリトンの歌声を持ち味とする俳優さんで、デビュー当時から貫禄があった。
特にお若い頃(何せ推していた当時から15年近く経っている……)はちょっとばかり体型もどっしりとされていて、もともとのご陽気そうな(知らないけど推測)お人柄もあってか、主役であってもコミカルな印象の役を与えられることが多かった。
美女と野獣のビーストも、不器用にベルを愛する子どもっぽい仕草や声の調子が何より印象に残っている。
その彼が、オペラ座の怪人を……?
シリアス中のどシリアスの、あの大役を……?
嬉しさと信じられないような思いで、その時ばかりは即チケットを入手した。
運良く、近くの県で上演されているタイミングだったのだ。
そして、推しの演じるオペラ座の怪人は、ものすごくものすごく良かった。
まず推しが美しいことに驚いたし(美女と野獣では最後のほんの数分しか素顔が拝めないので……)、しっかりとシリアスな演技をやり抜き、自分なりの解釈で怪人を作り上げていらっしゃる推しの姿に感動した。いや、当たり前のことを言っているのでなんだか失礼に当たりそうなのだけど、本当に誰かの二番煎じとかでもなく、「推しが演じるオペラ座の怪人」そのものでしかなかったことが嬉しかったのだ。
あの頃よりはすっきり痩せてらっしゃったけど、お茶目さや可愛らしさは健在だったし……いや、本当に、久々の供給の情報量過多っぷりに圧倒されてしまったのだけど、やっぱり推しのことは推しだと再確認したのだった。
その推しが、劇団四季を退団した。
正直、見逃した、という思いも強い。
いつか絶対に観たいと思っていたあの役もこの役も、まだ観られていない。
きちんと情報を追って、遠征も視野に入れていれば叶ったかもしれない夢だったのに、いつかその時が来るだろうと余裕かまして静観していた。
それでも、なんとなくだけれど、舞台俳優業は続けていかれるような感じがしていることが救い。
四季以外の某劇団を観ていて、退団を経験するとオーラや持ち味も変わってしまうものなのだなと感じ、推したちの活躍を祈りながらそっと距離を置くようになったことも何度となくあった。
だから今回の退団も、少し寂しく、少し不安が残る。
ただ、私は一度「見逃した」というこの思いを経験したからには、今後の推しの活躍をきっと見逃さないようにしよう、と強く思った。
それはそうと、このこととは全く関係なく、ここ最近私の中のオタクが目覚めてきたのを感じる。
例えるなら、一度棺の中に引きこもって眠っていたバンパネラが、千年の眠りから醒めて地上に這い出てきたようなイメージ。
友人と話す時にも(最近あまり喋るネタがないな……)と思うようなタイミングが増えてきていたのに、この頃なんだか喋りたいことが止まらない。
しかもかなりの早口で、かなりの分量を喋ってしまう。
きっかけは何だったのかよくわからないけど、この混沌とした世界を強く生き延びていくにはオタクの健やかな精神はとても役立つはずなので、2024年はどこまでも好きなジャンルを追い回し、コンテンツにお金を落としていこうと思う。
早速、気になっていた漫画を電子で一気買いなどしてみたのだけど、やはり、いいものである。。
今年は舞台もたくさん観に行こう。
騒がしい一年の予感に、今から心が躍っている。
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