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経営者はなぜ危機を目の前にして身動きがとれないのか?

経営者は優秀な方が多いです。優秀なだけで無く百戦錬磨で経験豊富です。事業再生が必要な状況になったとしても、今までのキャリアを背景にした自負心、自尊心は崩れていません。

あなたはコンサルタントかもしれませんし、従業員かもしれません、融資をしている金融機関の社員、職員かもしれません。そんなあなたが誇り高き経営者の方が事業再生フェーズにあるとき、どのようにアドバイスされますか?

事業再生が必要な状況とは、何かを変える必要があるわけです。しかし、朝令暮改ということわざもあるくらいで、経営者が決定した方針を簡単に変えると従業員へしめしがつきません。さらには事業再生に必要な変化が、社是や社訓に背く可能性すらあります。

だからこそ経営者は立場上、わかっていても変えられない、変えたくても変えられない事があるのです。従業員の手前、そうなってしまうことは多いです。経営者が危機を目の前にして、動きが取れなくなるのはこのような理由があります。

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経営者が必要としているのは問答法

そこでお勧めは

ウィキペディア(Wikipedia)問答法
問答法(もんどうほう、希: διαλεκτική, dialektike, ディアレクティケー; 英: dialectic)とは、古代ギリシアの哲学者ソクラテスが用いた、対話によって相手の矛盾・無知を自覚させつつ、より高次の認識、真理へと導いていく手法を指す。

です。

現代風にいうとコーチングとほとんど同じです。適切な質問、問答を行う事で、クライアントである経営者が内発的に気がつき、他人の押しつけでは無く自らの取捨選択で、変化を勝ち取るプロセスとも言えます。

あえてコーチングと問答法の違いを簡単に言えば、問答法には答えのようなものがあり、コーチングには答えのようなものに誘導することはないという建前がある点だと思います。

ただ、適当になんでも質問すれば良いのではなく、クライアントの内発的な気付きを誘発する質問が大事という点は、問答法でもコーチングでも意識されるべき事です。

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事業再生の専門家は社長よりも会社や業界に詳しいの?

そもそも部外者が経営者より、その会社に詳しいことはありません。また、その会社が属する業界に詳しく、その業界の未来絵図を正確に予想して経営者に指し示すというのは難しいことです。

事業再生のアドバイスは、シンクタンクや業界専門のコンサルタントにしかできないのか?という話になってしまいます。

意思決定が円滑にくだされる状況まで会社組織を整える事で、部外者より詳しい社長や社内人材がイキイキと仕事に専念できれば自ずと会社は再生します。うまくいかないパターンにはまっている所を改善すれば良いのです。

ときに誤解を解き、コミュニケーションギャップを埋め、緩衝材となり、光の当たらないところに光をあてる。これで事業再生はできるのです。

問答法の実例

私 「これ一個売ると粗利はどの程度ですか?」
社長「30%は最低とるように設定しています。」

私 「例外はありませんか?粗利30%をとるために従業員が行動していますか?」
社長「それは当然のことです」

私 「御社の決算書の粗利率は25%となっていますが原因はわかりますか?」
社長「そんなはずは無い。見積書や契約書には目を通すようにしています。」

私 「想定している原価と、実際の原価に差はありますか」
社長「そりゃ君、儲かっている商品と儲かっていない商品があるのは当たり前じゃないかね?」

私 「そうかもしれません。どの商品は儲かっていて、どの商品は儲かっていないか把握されていますか?」
社長「細かくすべてを把握しろというのは無理だよ君。」

私 「決算書にある粗利率が正しいと仮定すると、目標である30%が達成できない理由は、顧客の要請ですか?ライバルとの競争でですか?御社の戦略によるものですか?」
社長「粗利ミックスというのを君は知らないのかな?」

私 「粗利ミックスは競争戦略やマーケティング戦略上必要になるものと思います。25%の粗利の商品がある一方で、50%粗利の取れている商品はありますか?」「顧客の必要性や緊急性、ロット条件を考えずに一律30%の粗利設定にしていませんか?」

私 「社長が30%は取れているはずと言う、粗利率が実際には25%になっている現実がありますがいかがでしょうか?」
社長「商売は生き物だし、たくさん買ってくれる相手もいるし、時には値引きして当然じゃないのかね?」

私 「確かにそういう議論もなり立つ場合があります。その値引きができるように会社が必要な粗利額を把握されていますか?」「粗利率25%のままでは損益分岐点を越えず、返済原資もありません」
社長「君は結局、私にどうしてほしいのかね」

私 「営業部は粗利率の取れない理由を説明していませんか?商品開発部はこの展開を変えるためのリニューアルに言及していませんか?」「社内にもお客様の反応を理解している人はいませんか?」
社長「営業部は言い訳ばかりで目標を達成しない。商品開発部はただでさえ売れずに困っている商品に新たにお金を費やそうとしている。」

私 「社長は販売の現場や得意先を訪問されたりしますか?」
社長「私は忙しいんだ(資金繰りに)」

私「資金繰りが苦しいのは事実ですが何ができるか考えませんか?」「例えば、ライバルの分析をしていますか?」
社長「あそこはいつもうちの真似ばかりするんだ」

私 「ライバルの商品を買ってみたり、社内に分析させたり、帝国データバンクの調書を取るのも面白いですよ」
社長「そんなことして何になる?」

私 「少ない資源で頭一つ分だけライバルに勝つ方策が見えてくるかもしれません?」
社長「あそこに勝てるなら何でもやるぞ!」

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まとめ

社長にも社内で見えていないこと、見過ごしていることがあります。利益が出ていない会社にも、キラリと光る人材や技術、商品が眠っている事もあります。その会社と取引している相手が可能性を示唆している事もあります。

人間には、前と後ろがあり、目、耳、鼻、口は前に向かっており後ろは見えません。一人で生きていくことは難しいから、人間は組織を作って弱点を補い可能性を広げているのです。社長も万能ではいられないからです。

人を批判することで変化を引き出すことは難しいです。事業再生という困難が顕在化している中で、目の前にたくさん露見している不具合を批判する事は簡単です。

しかし、それでは社長も従業員も組織も再生に向けて変化しません。また、事業再生の為に、借入金の返済を目標に逆算して計画を立てるだけだと、社内が一丸となって頑張ることは難しいのです。

会社組織の人間が一丸となって幸せになる為に事業再生に取り組むのです。

問答法における注意点を最後に挙げるとすれば、何が語られているかよりも、何が語られていないかの方が大事な事があります。

何が語られていないかを浮き彫りにするには、背景となる膨大な知識、教養、視点コミュニケーションが必要です。

だから多くの人は諦めるのか、語られないことは見過ごされます。ただ、本質的な事業再生に成功するためには大事な視点です。

問答法を活かし、問答法の欠点も理解し事業再生を成功させましょう。

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