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西荻を愛してやまない西荻スーパーラバー俺龍が、もっとみんなに広めたい「俺龍的西荻名店録」シリーズ。vol.4

西荻の飲食店にお伺いすると必ず話題になると言っても過言ではない、「俺龍」さん。西荻で訪問していないお店はないのではないかというくらい、数多くのお店を食べ歩いておられます。

今回、俺龍さんから、「西荻の名物にしたい!と思うくらいおいしい名物料理があるんです」との情報をいただき、即刻、紹介をお願いした私です。「実は西荻で長くお店をやっておられる、歴史あるお店なんですよ」とのこと。


西荻窪駅北口から徒歩6分。

駅前の飲み屋さん街からは少し離れた場所に、今回ご紹介するお店はあります。バス通り沿いの、路地を入ったところです。

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mood plus(ムード・プラス)さん。

このお店のある通りには、居酒屋さんやカフェ、パン屋さんなど4軒ほど飲食店があり、突当たりに、文化湯という昔ながらの銭湯もあります。実は私の通勤途中の道でもあり、以前から気になっていたお店でした。


これね、この大きな布看板がいかんせん印象的なお店なんです。

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”コショウ鶏ってなんだろう…“。

ずっと気になっていた謎がやっと解ける!とワクワクする私。


店内に入ると、まずはおしゃれなインテリアにびっくり!

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カフェ?バー?と思うような、かわいくてユニークな店内です。

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実はこのお店、40年前から内装をほとんど変えていないそうです。どっしりとしたカウンターテーブルに、床はウイスキーの樽に使うオーク材を斜め張りしているという、こだわりの店内。

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ムード・プラスは、ご夫婦で経営されているお店です。今年で7周年を迎えられました。元々は、西荻でインテリアショップを営んでおられたそうです。


こちらが、奥さまのユキさん。

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「この場所に移転すると決まった時に、カウンターとか内装が飲食店向きだったから、インテリアショップよりも飲食やろうかって、ノリで。始めました。」と笑います。

「このお店はバーが3代続いていて。うちの前もシガーバーだったんです。だから、内装がちょっとディープな感じで。何屋さんなのかな、ってみんな思うみたい。ダイニングバーっぽいけど、中身は居酒屋さんみたいなメニューだし。」


奥の厨房で調理を担当するのが、ご主人のナオさん。

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福井から、音楽をやるために上京。その後、いろいろな職業に就かれましたが、インテリアショップからの移転をきっかけに本格的に調理を始めました。

「元々雑貨屋やってる時も、大衆の贅沢品というか、デザインはみんなの暮らしを豊かにするためにあって、デザインの力でみんなが喜ぶものを、というイメージを持ってやってて。

料理も同じだと思ってるのね。調理の手間ひまと味つけで、みんなが喜ぶものを出すっていう感じかな。」とおっしゃいます。

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「料理がプロではなかったから、やるからには自分で厳しめのノルマを課そうと思って。化学調味料とか出来合いのものは一切使わないことと、身体にいいものであるってことを前提にするってスタートしたんです。」

「最初にうちで人気がでたメニューがレモンそばなんだけど、ラーメンのスープをいちから作る時に味の重ね方がわかるようになったかな。例えば、野菜のグルタミン酸と肉類のイノシン酸を合わせると味わいが広がって味に丸みが出る、とかね。」

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「ずっと料理ばっかりしてると飽きちゃうんだけど、向き不向きで言ったら料理は向いてるのかも。たぶん天職かな、って思う。」と話すナオさん。

「もちろん絶対おいしいと思ってやってるけど、認知されてきたコショウ鶏でも、毎回これでいいかって、いつも考えながら作ってるみたい。夢でも料理のこと考えてるみたいよ。」と、ユキさんも言います。


ムード・プラスは現在も、お昼の営業とテイクアウトを継続しています。

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「テイクアウトはお客さんの要望がまだあるし、お昼の営業も基本的に、お客さんに合わせて続けます。」とナオさん。


テイクアウトが忙しい時は、ナオさんは厨房でずっとコショウ鶏を揚げ続けていたそうです。

「オープンからずっと出しているメニューで、自分の中では飽きてるくらいなのに、テイクアウトを始めるってうたってない時から、お客さんがたくさん持ち帰りをオーダーをしてくれて。みんなにコショウ鶏が認知されていることを改めて知った感じでしたね。それなら、自分たちも、もっとしっかり出していこうと思って。」


早速、名物のコショウ鶏の下処理を見せていただきました。

下処理はユキさんの担当。

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手羽先を半分にしてから、さらに身を半分にし、手羽中の状態に。

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「テイクアウトの注文が続いた時はこれを切りすぎて、もう指が痛くなっちゃったくらい」とユキさん。

「手羽の先の部分は食べられるところがほとんどないし、食べにくい。手羽も切らずにそのままだと中まで味がしみないし、骨を取りながら食べるのが大変でしょう。だから、うちは東京手羽といって、食べやすい手羽にしたんです。手羽を半分にすると肉の表面積が大きくなって、味がしみるし、食べやすいから。」とナオさん。

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丁寧に処理された手羽。これで約20人前だそうです。

「前はお肉屋さんに処理を頼んだりしてたんですけど、お肉の大きさをきちんと揃えたかったから、自分たちでやることにしたんです。」とユキさん。

驚くことに、下処理はこれでおしまい。ムードでは、お肉に下味はつけません。揚げたてに、タレで味付けして完成させます。


雨だからお客さん来ないかも…と言いながらも、早い時間からお客さまがご来店。

2人の忙しい1日が始まります。

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ユキさんがホールを担当、ナオさんは厨房にかかります。

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ムード・プラスのお料理は、2人がお家で食べているメニューがもとになったものが多いそうです。コショウ鶏も、もともと家で作っていたものをナオさんがお店用に研究し、アレンジしたんだそう。

「うちはどれもオリジナルのレシピしかないから、あの人が作らなくなっちゃったら、同じものは出せないんです。」とユキさんは言います。


お手軽おつまみが充実しているのも、ムードの魅力。

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ユキさん監修のおつまみが、3品で1000円という、うれしいお値段設定!どれも素材の味を活かしてご提供します。

こちらは、ほくほくの、じゃがバター。 

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シンプルなおいしさ、バターコーン。

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山芋ポン酢はユキさんが注文を受けてから切り出します。

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39シリーズではありませんが、お肉料理では馬刺しも人気です。

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ムード名物、牛のバラ焼き!

ガスコンロで、鉄板焼きにします。お客さんの目の前でユキさんが調理。

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ムードのバラ焼きは、新玉ねぎがたっぷり。

新玉ねぎは、知り合いの岡山の農家さんから毎年送ってもらうものだそうです。

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段ボールいっぱいの新玉ねぎ。これでも今年はまだ数は少なめなんだとか。新玉ねぎが届いたら、サラダにしたり蒸したり、ムード名物のバラ焼きにたくさん使って、おいしいうちにお客さんに食べてもらいます。

新鮮な玉ねぎと牛バラ肉をよく炒めたら、ニラを加えてさらに炒め…、完成!

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あつあつを、鉄板から召しあがれ。

「写真撮ったなら、味見してみなくちゃね」と優しいお客さんが分けてくださり、私も出来立てをひと口いただきました。

甘みのある新玉ねぎと、少し濃い目の味付けの厚切りのバラ肉がよく絡んで、ド直球ストレートなうまさ。ストライク!(先にビール頼んでおけばよかった…と後悔する私。)

初めてお店に来られたというお客さんも、「これはうまいわ!」と大絶賛。


せっかくですから、私もお酒をいただきます。

クラフトビール インドの青鬼で、乾杯。

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ムードでは生ビールのほか、タップのクラフトビールも取り扱っています。

インドの青鬼は、長野ヤッホー・ブルーイングが発売しているビール。一般的なビールの2倍以上のホップを使って作られたもので、アルコール度数も高めです。濃い目の苦味がありながらもフルーティで、飲み口よい!ぷはー。


まずはおつまみをチョイス。

39メニューから、新玉ねぎを丸ごと使った、まるごと蒸し玉ねぎ。

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新玉ねぎを丸ごと一個、蒸しあげたシンプルな一品。バターとだし醤油が、玉ねぎの甘さを引き立てます。

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このだし醤油も、ナオさんが自ら調合した自家製のもの。普通のお醤油は辛すぎて、素材の味を邪魔してしまうそうです。

新玉ねぎって、こんなに甘いのね!このバターとだし醤油がいい引き立て役になっていて、なお一層、やさしいお味に。いつまでも食べていたい。


続いて、こちらも39メニュー。ふき味噌きゅうり。

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きゅうりをまるっと1本、おいしいふき味噌をつけながらいただきます。いいよね、こういうおつまみ。自然をそのまま、おいしくいただくしあわせ。


お次は、人気のアボガドのサラダの中から、海苔アボガドをオーダー。

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彩りも美しいサラダ。

アボガドに、岩塩・コショウ・オリーブオイルと、自家製だし醤油をかけた、シンプルなお料理。

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アボガドって、個人的に野菜の中では少し重たいイメージがあるのですが、これは味付けのバランスが本当に良くて、スッと食べられます。

だし醤油の力かな?アボガドの持ってる香りや甘さを素直に楽しめるお料理。


「雨の日サービスです」と、小皿のジャーマンポテトも出してくださいました。

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こういう心くばり、うれしいですね。こんなに豪華なおつまみセットになっちゃった。


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ビールが早々になくなりましたので、生ビールの次に人気があるという、生レモンハイをいただくことに。

「うちのレモンハイはちょっと変わってるんですよ」とナオさん。

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見えるでしょうか? 

グラスの口半分をカットレモンでなぞって、塩をつけているんです。そう、ソルティドッグみたいに。

キンミヤを注ぎ、レモンを絞った後、自家製のシロップを少し。このシロップには、きび砂糖にはちみつ、香り付けにコアントローが入っています。このシロップも、ナオさんオリジナルのレシピだというから驚き。

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カクテルみたいな、おしゃれな生レモンハイのできあがりです。

塩の付いている方から飲むと、レモン味の爽やかカクテルみたいに。そのまま飲むと、少し甘みのあるレモンサワー。気分で味を変えて飲めるのが楽しい!


もう一杯、おすすめのサワーを。この時期限定の、赤シソサワーです。

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紅色がすごく綺麗。

まるでシソ臭さを感じない、フルーティさ。カシスやベリーのようなまろやかな甘さがおいしいサワーです。

赤シソのシロップは、毎年この時期に作っているユキさんお手製のシロップ。

「田舎のおばあちゃんがよく作ってる、あのシソのシロップの味がどうしても好きじゃなくて。うちはリンゴ酢を使ってるんですよ。シソの持ってるクセが、リンゴ酢でまろやかになって、栄養価も増すし、すごく身体にいいんです。」とユキさん。

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「いろいろ試してみて、うまくいかなくって。最後に、リンゴ酢がいいんじゃない?って言ったのはナオさんなんですけどね。」と、ちょっと悔しそう。

以前はお店でしか出していませんでしたが、今年からテイクアウト用に、瓶詰めして売ることにしました。

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お酒と割ってサワーにしてもよし、そのまま炭酸で割ってソフトドリンクでも。美容にも、夏バテ予防にもいい、天然の健康ドリンクです。


いよいよ、お待ちかねのコショウ鶏をお願いしてみます!!

ワクワク。

ユキさんが下処理をした手羽に衣をつけ…

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じっくり丁寧に揚げていきます。

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揚がった手羽を、自家製のタレで味付け。

自家製タレは、有機丸大豆醤油・スープ・黒糖などをベースに仕込み1ヶ月寝かせたもの。

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余分なタレと油を丁寧に取り除きます。

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「名古屋の手羽先って、食べていると手がベトベトするでしょ。うちはタレを一回くぐらせて、しっかりペーパータオルで拭いて、表面上にタレや油を残さない。」という、ナオさんのこだわり。

仕上げにスパイスをかけたら、ムード名物コショウ鶏の完成です。

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まずは、一番人気の定番、「白」。

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一般的なコショウの何倍もする最上級の白コショウをふんだんに使っている、白。

パリッと揚がった衣を噛むと、中からふんわりジューシーな鶏肉が出てきて。ピリッとしたコショウの辛味と、鼻に抜ける軽やかな香りが食欲をそそって、ついつい食べる手が止まらない!


続いて、辛いもの好きにおすすめの「赤」。

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こちらは、チリペッパー・パプリカ・ケイジャンスパイスでトッピングされています。食べると、一瞬辛味がきた後、口の中にスパイスと鶏肉の甘みが広がります。

辛いけど痛くない、辛いけどちゃんとおいしい。そのバランスが絶妙です。


最後に、ウスターベースのタレで味付けされた、「黒」。

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「黒はちょっとジャンク感のある味で、男の人とか、こればっかり注文されたりするんです。健康的なジャンクフードを出したいって、ナオさんが作って。」

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これね、ほんとにちょっとジャンクな、甘辛いソース味なんですけど、食べていて全然飽きないし、くどくないんです。これハマったら他のチキンが食べられなくなりそう。

ムードのコショウ鶏は、余分な油をしっかり取ってあるので、から揚げみたいに重たくないし、手羽を半分にしてあるから、骨から身が剥がれやすくて、骨付きなのに全然ストレスがないんです。

手羽のいいところだけ残して、悪いところ全てなくしてる…これ、すごい発明!

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はい、ちゃっかり、ハートランドの生ビールもいただいちゃいました。

手羽とビール、最高。


最後に、どの味が一番好きでした?って聞かれたんですけど、ごめんなさい、選べなかった…。そのくらい、全部それぞれ個性的でおいしいんです。

ぜひ、全種類食べ比べていただきたい、コショウ鶏!


お2人が西荻でお店を開くようになってから、はや20年が経ちます。

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「西荻も20年前は何もなかったよね。私は上石神井で育ったんですけど、西荻なんて降りたことなかったし、遊びに来るような場所でもなかった。」とユキさん。

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「いつのまにか、おしゃれな店ができるようになって、どのお店もモノトーンでグレーとか茶色とかでまとめるような感じがあって。だから、わざと逆張って、カラフルな店にしたの。それが今になってあだになってるのかもしれないけど。西荻っぽくしようって思ったこと、一回もない。」と、ナオさん。

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「ここ10年くらいでだんだん変わってきたんだよね。吉祥寺からいろんなお店が移転してきたりして、雰囲気がだいぶ変わった。

昔は、西荻がなんとかおしゃれになればいいなーって思ってたけど、おしゃれな街になってみると、それはそれでこうじゃねえなーっていうね。ないものねだりになっちゃうのかな。」と笑います。


話しは、今回のテイクアウトの時期のことに。

「あの時期にお店を開いていて、批判されたりするんじゃないかなって不安もあったんだけど、実際テイクアウトを始めたら、お客さんが“やっててくれてよかったー!”とか“がんばってくださいー!”って買いに来てくださって。お客さんたちが本当に優しくてありがたかった。」

「なんとなく入りづらかったけど、テイクアウトならって足を運んで来てくださる方もいて、それもすごくうれしかったよね!」とユキさん。

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「テイクアウトの時、下から持ち上げられるように、なんか活力が湧いてきて。負の部分を逆手に取れて、新しいことをやって結果がでるっていうのが、言い方は悪いかもしれないけど、楽しかった、かな。地元にお客さんがいてくれたから、こうしてなんとかやってこれたんだと思う。」

「純粋に売り上げで言ったら、今年の2月に戻るのがいいんだけど、戻ったらこんな風にこうやっていろいろできなかったしなーと思うね。」と言います。

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「テイクアウトだけをやるって決めた時は、やっとギター弾けるやんと思って、家からいくつもギター持ってきたのに、結局テイクアウトが忙しくて全然弾けてなくて。」

「まだやんなきゃいけないこと、やりたいことがいっぱいあるから、当分ギターは弾けません。」と笑うナオさん。

雑貨の販売や、服作りなど、やりたいことがまだまだたくさんあるんだって、楽しそうに話してくださいました。


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駅前の賑やかさとはまた違う、西荻の魅力を発見できる奥行きのあるお店、

ムード・プラス。

お散歩がてら駅から少し歩いて、身体にやさしいこだわりのお料理と、飾らないお2人の人柄に癒されに来てください。

”コショウ鶏“の文字が光る、この看板が目印ですよ!


ーーーーーーーーーーーーー店舗情報ーーーーーーーーーーーーーーーー

ムード・プラス

東京都杉並区西荻北4丁目3−4

Tel: 03-3394-6379

営業時間: 12:00-14:00/17:00-22:00

定休日: 水曜日

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