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恋愛でバンド

大学の軽音楽部に入って初めて、楽器演奏やバンドを趣味にしている人からaikoが人気なことに気づいた。興味を持つのは女の人の方が早いけど、それは男の人にも伝播する。そういう界隈に疎かった高校時代、aikoは「恋愛が好きな人」が聴く曲だと思っていた。音楽のテクニック的な面で優れていることに気づくのは少し後なのでただただ未熟なバンドキッズな俺というだけですが、結構それにびっくりしていた大学時代。

大学3回頃そのaikoブームが隆盛を極めていた。同回にaikoのコピーバンドがあってバリバリやっていただけでなく、一曲だけのためにバンドを組んで披露するようなイベントがあればaikoは頻繁にその対象となり、なんならパート練習的なものの課題曲になったり、同回以外にもaikoのコピーバンドができたりした。今思えば自分が3回の頃だけでなく、先輩や後輩が2,3回の時にもそれぞれにブームが来ていた気がする。

俺は当時彼女がいなかった時期だったので、周りを「恋人がいるかいないか」で見ていた。恋人がいる人がaikoを演奏しているのを見ると、「明確な誰かを思って演奏しているんだ」と勝手に思った。歌詞のある曲を演奏する以上、歌詞の物語や聴かせたいポイントを意識するのはボーカルだけじゃなく、メロディーとの対位を常に考えるベーシストにとっても重要で、もちろんドラマーやギタリスト、鍵盤にとっても大切なので、しかもaikoって恋愛の歌詞が売りだから絶対歌詞わかってるよなみんなと思った。なんかそういう状況が、彼女のいない自分がすごくマイノリティーだったり、そりゃaikoうまく弾けねえわと思って自信を失うことに繋がっていった。大学3回頃って大学生的な恋愛のピークだよなあ。その頃から、婉曲無しのストレートに恋愛を歌詞で表現する曲に対して「あらまぁ」と思い始めた。俺が悪い。

20代中盤からは明らかに恋愛に対する価値観が変わった(結婚に向かい始めたことが原因)。そもそも学校生活を中心としての学校の内外で恋愛が行われてたことが楽しかったんだなと見つめ直しつつ、社会人的な恋愛をしなかったこともあり、恋愛を意識することはなくなった。だからこそ最近聴く恋愛丸出しみたいな曲はマイナスな意味でかなりくるものがある。やめてほしい。オルタナとかポストロックとかシューゲイザーとか、メロディーよりもバッキングの格好良さを売りにしてるジャンルでメロディーが気持ちいいと「いいなー!」と思うのに、それにのってる歌詞が真っ直ぐ恋愛だと引っかかっちゃいますね。だからやめてください。「ぎゅー」とか言わないでくれ。

あと主語が女の人の恋愛の歌詞がよりきついです。モテないから。俺は大学生的な恋愛も社会人的な恋愛もあれだからまだ子ども。


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