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カフェの一夫多妻制が崩壊した話



ヒトが興奮する瞬間。

それは自分の肌に合うカフェに出会えた時である。


珈琲や、内装、オーナーさんの人柄、などなどトータルで好きになったカフェや喫茶店がいくつかある。

「リラックスしたい時に行くカフェ」とか、「なにか集中したい時に行くカフェ」といったように好きになったカフェには自分なりにラベリングしてリピートしていく。


カフェの一夫多妻制だ。


今日は新垣ちゃんに会いたい。明日は結衣ちゃんに会いたい。

大富豪のように、気分に合わせてお気に入りのカフェを巡るのである。


好きになったカフェはみな平等。好きという気持ちに大差はなかった。
それが自分なりの流儀だ。


そんな流儀が木っ端微塵に砕け散るカフェに出会ってしまった。


教えたくはないので名前は出さないが、
私が一目惚れしてしまったカフェとの出会いについて記していこうと思う。


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あることで思い悩んでいて、今日はリラックスできるカフェに行きたい。
そう思い、いつものカフェに出かけた。


頭の中で得体の知れない不安感が心を落ち着かせない。


だいたいこういう行き詰まった時は「神様にフェイントをかける」という言葉を実践している。


今、神は私が行きつけのカフェに行くと呑気に思っているだろう。だが私はここでフェイントをかけるのだ。

新たなカフェを開拓する。


そう決断して今まで行ったことのない道を散歩することにした。


特技というほとでもないが、こういう時はだいたい良い感じのお店がヒットする。


デートの際もそういうアンテナ的な感覚"は"一定の評価を得ていた。はずだ。(求めていた結果には繋がらないが)

そんなわけでこの日も例に漏れず、気になるカフェを発見する。

みたところ一軒家の感じ。




ネイビーのカルバウムをベースに
扉は木製の引き戸。
ドアノブはなんと革でできている。
ドアノブに刺繍された音符マークが可愛らしい。

小さな庭には木々が生い茂っている。

そのおしとやかだけど細かいところにクオリティを感じる外装に
一目惚れしてしまった。
歩いてたらいきなり目の前に本物の新垣結衣が現れかのよう。

中の様子は全く分からなくて、入るのに勇気がいるのだけど、
入らないと絶対に後悔する。
そう頭の中のガッキーが語りかけてくる。


自分の直感を信じてドアを開けてみる。

中はカフェというより喫茶店。
カウンターに、テーブルが3つ。

シンプルだが木の温もりを感じる。

店主の方はちょっと未来の高橋一生っぽい感じ。

声も渋くて所作がすごく丁寧。



テーブルに座り、コーヒーを注文。

周囲に他にお客さんはいるけど心地よい静寂を感じる。

微かに聞こえるBGMも心地良い。

なんの音楽だろうとスマホを取り出しShazamを起動するけど
Shazamが認識できないくらいの音の小ささ。

それがまた良い。



コーヒーがでてくる。
木製のコーヒーテーブルがかわいい。


外装、内装、雑貨、いちいち「好きだ・・!」と叫びたくなる。

コーヒーは苦味が少なく輪郭がしっかりとした上品な味わい。
どうやってコーヒーを淹れているのか、みたいけどカウンターに行って話しかける勇気はない。

コーヒーを飲みながら、テーブルや椅子、内装を眺めたり、持ち込んだ本を丁寧に読んだり、ゆっくりとした時間が流れる。

そうしてコーヒーが飲み終わるころに、白のコーヒーカップの底になにかがみえてくる。

飲み干すと底に音符マークが現れるのだ。

もうこれで私の心は耐えられなかった。
カフェに、はっきりと恋をしたことを認識した瞬間である。


その後お会計の時もお金の受け皿がめちゃくちゃかわいかったり、
帰りがけに夏みかんくれたりと、様々な攻撃を仕掛けられ
好きという感情が溢れ出て止まらない。



飲み干した後に音符マークはずるい。

こんなに落ち着ける空間はない。

帰り道にはそんな余韻に浸った。

カフェにいった後、こんな長時間余韻に浸ったことがあるだろうか。
口を開けば「すごかった。最高だった。」



今では、今日こそ話かけてみようなんて思いながらカフェに行くけど、話しかけられない。というのを7回くらい繰り返している。

カフェの一夫多妻制と言ったけれど、最近はここに行く頻度が一番多い。
他のカフェは妻というより友達になっている。

純愛です。

素晴らしい女優さんはたくさんいるけど、
やっぱりガッキーが1番。
それと同じ。




チェーンのカフェだったり、wifiがあるカフェもいいんだけど、

自分の肌にあったカフェは、
しんどい時や不安な時に助けてくれる逃げ場になる。

もしそのような逃げ場を持っていない人はちょっと冒険して
探してみてはいかがだろうか。







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