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国語の成績を上げるただ一つのコツ

なかなか国語の成績が上がらない人の共通点は何でしょうか?

読書量が足りない、でしょうか?
漢字が読めない書けない、でしょうか?
問題練習が足りない、でしょうか?
知識や一般常識が不足している、でしょうか?

私は、どれも絶対的な決め手ではないと思っています。

私が経験上気づいた、国語の成績が上がらない人の唯一の共通点は、「国語の成績が伸びない子は、自分でわからないと判断すると解答を空白のままにする」です。

★どんな問題で解答欄が空白であることが多いか

今、手元にある問題集の適当なページをぱっと開いたら、本文のあとに出ている問題は次のようなものでした。
問題の配列例としてはもっとも一般的なものです。

1、傍線部A~Eのカタカナを漢字に改めて書きなさい。(漢字の問題)
2、傍線部「新しい」が直接修飾する言葉を次から一つ選び、記号で答えなさい。(文法の問題)
3、文章中の二つのカッコには同じ言葉が入る。次から一つ選び、記号で答えなさい。(文脈から適語を選ぶ選択問題
4、文章中の「自然の時空と人間の時空が共振する」とはどういうことか。次から最も適切なものを一つ選び、記号で答えなさい。(文脈の理解を問う選択問題
5、傍線部「様々な人々の中で模索がはじまっている」のはなぜか。後半の段落の内容を踏まえて、六十字以内で書きなさい。(記述の問題)

1、の漢字の問題ですが、意外に個人差はありません。書ける漢字はほとんどの人が書いているし、難しい漢字だとほとんどの人が間違うか空けています。
2、の文法問題を空白にする人はほとんどいません(合っているかどうかは別にして)。
3、4、の記号選択問題も、解答欄を空白にする人はまずいません。

問題練習をさせたとき、答えを書くことを断念して解答欄を空ける人が多いのは最後の5番の問題です。

この5番の問題を、頑張って解答欄を埋めようとするか、簡単にあきらめて空白のままで平気かで、国語の成績が伸びるかどうかが決まります。


私は授業中、解答欄に空白がある間は終了と認めない、何か書かないと次に進ませないことがよくあります。

そのかわりに、頑張って何か書いてくれたら、合っているか微妙な問題でも、「よし」と誉めて次に進ませます。

★なぜ解答欄を空白のままにしておいてはいけないのか

授業中は次のように言うことが多い。

「解答欄に何も書かないと最初から0点だ。何か書いてあれば、部分点は絶対にある。その差は大きい。空けたままにしないで、とにかくなんでもいいからまず書く癖を今からつけておかないと、実際の入試では書けないよ。」

しかし、本当の理由は入試の些細な損得ではありません。

解答欄を空白のままにしておいてはいけない理由はもっとシンプルなものです。

問題練習は、自転車に乗れない子が自転車に乗る練習をするのと同じです。

初めて自転車に乗るときは、誰でもいやなものです。怖いし、何度か転ぶから痛い。
うちの子もそうでしたが、ほとんどすべての子が最初はいやだと泣き叫びます。

乗るのをあきらめた子は、当たり前のことですが、絶対に自転車に乗れるようにはなりません。

覚悟を決めて乗って、何度か転んで痛い目にあった子だけが上手に乗れるようになる。

転ぶ痛さを経験する人だけが、どうして転ぶのかを本能的に察知しますから、転ばないコツを身につけることができるのです。

解答欄を埋めようと素直に努力できる「自転車に乗ろうとする」人だけが、知らないうちに国語ができるようになっていきます。

★どうしたら解答欄を埋められるようになるか

まず、嘘でもいいから、大間違いでもよいから、とにかく書いてみるという心構えが必要です。

最初から満点の、欠点のない解答を書こうとするから書けないのです。
できない人ほどプライドが高い。

できる人は謙虚です。
最初から簡単にできるほど甘いものではないということを知っています。
自分にできる精一杯の答えを書いて、そのあとで自分の欠点を治そうとします。

★答え合わせするときに大切なこと

答え合わせにもコツがあります。

記述問題では、答え合わせをするときは最大限自分に甘く採点します。
これが大事です。

模範解答と照らし合わせてみて、ちょっとでも「かすっていたら」、模範解答と同じ趣旨のことがわずかでも書いてあったら、すべて「丸」にします。

ないがしろにしてはいけないのは解答の最後だけです。

上に挙げた問題の5番だと、解答として要求している「なぜか」の部分、ここだけは要求に絶対に従わないといけません。

なぜか」と聞かれているのだから、解答の最後は「~だから。」や「~なので。」以外は認められません。
国語ですから、最後の最後に句点「」がないのも無効です。

最後の「~だから。」さえ書いてあったら、自分に大甘に採点するのが書けるようになるコツです。

★絶対に解答欄を空白のままにしないという心構え

本当は、「すぐにあきらめて解答欄をあけたままにしない」は、国語以外の科目でも大切な心構えかもしれません。

自分には荷が重いと思われる困難に出会ったときに、簡単にあきらめるのか、自分なりに精一杯の努力をするのか。

そこに、勉強に限らない人生の分岐点があるような気がします。

俊英塾代表。「塾学(じゅくがく)」「学道(がくどう)」の追究がライフワーク。隔月刊誌『塾ジャーナル』に「永遠に未完の塾学」を執筆中。関西私塾教育連盟理事長。