利益と割引(わりびき)の問題を簡単に(中学数学)
利益や割引の問題を簡単に解くために、知っておかないといけないことをまとめました。
★理解しておかないといけない3つのこと
当然知っておくべき次の3つの事柄を理解できていないと、利益や割引の問題は解けません。
1、原価・利益・定価・割引・売り値の意味・・・お店の人が仕入れた価格が「原価」、原価に「利益」を上乗せした値札の額が「定価」、売れないときに定価から「割引」して実際に売った価格が「売り値」です。
※言葉の意味がよくわからない人は下の記事をご覧ください。
2、百分率、歩合と式・・・1%=0.01、1割=0.1だから、「%」や「割」は、小数か分数にしないと数学では使えません。
※百分率や歩合に自信がない人は下の記事をご覧ください。
3、利益、割引の意味・・・2割は0.2ですが、2割の利益を見込んだ定価は(1+0.2)で原価の1.2倍です。同様に、3割は0.3ですが、3割の割引は(1-0.3)で0.7倍と考えないといけません。
※利益と割引のとき、1にたしたり、1からひかないといけない理由を詳しく知りたい人は下の記事をご覧ください。
★割合が数字のときは小数か分数に、割合が文字のときは分数に
数学の大切なきまりです。
12%や3割など、割合が数字で表わされているときは、小数の0.12、0.3になおしても、分数の12/100、3/10になおしても、どちらでもかまいません(分数にするときは約分12/100→3/25を忘れずに)。
私は、小数のほうが計算間違いが少ないので、分数にしないで小数を使うようにすすめています。
a%やb割など、割合が文字で表わされているときは、分数しか使えないので、a/100、b/10になおさないといけません(0.0a、0.bなどという式はありません。)
以上より、問題を解く前に知っておかないといけないことをまとめてます。
(1)12%は0.12に、3割は0.3にする。
a%はa/100に、b割はb/10にする。
(2)12%の利益を見込んだ定価は(1+0.12)を、3割の利益を見込んだ定価は(1+0.3)をかける。
a%の利益を見込んだ定価は(1+a/100)を、b割の利益を見込んだ定価は(1+b/100)をかける。
12%の割引は(1-0.12)を、3割の割引は(1-0.3)を定価にかける。
a%の割引は(1-a/100)を、b割の割引は(1-b/10)を定価にかける。
さらに簡単にまとめると、
(1)a%→a/100、b割→b/10
(2)利益→1+●、割引き→1-●
これで、どんな問題でも式をたてて解くことができます。
★中1の文字式の問題
例題1:次の数量を式で表わせ。
(1)300円のa%
(2)原価x円の商品に3割の利益を見込んで定価をつけ、定価の2割引きで売ったときの売り値
(解き方)
(1)a%はa/100だから、300×a/100=3a円
(2)3割は0.3で3割の利益は1+0.3=1.3だから、そして、2割は0.2で2割の割引きは1-0.2=0.8だから、x×1.3×0.8=1.04x円
★中1の一次方程式の問題
例題2:原価に300円の利益を見込んで定価をつけた品物がある。この品物を定価の2割引きで売ると売価は960円である。この品物の原価を求めよ。
(解き方)
「原価を求めよ」とあるので原価をx円とします。
定価は(x+300)です。
2割引きは1-0.2=0.8です。
だから、式は(x+300)×0.8=960
これを解いて、
(x+300)×0.8=960
0.8x+240=960
両辺に10をかけて、
8x+2400=9600
8x=9600-2400
8x=7200
x=900
原価は900円です。
★中3の二次方程式の問題
例題3:原価1600円の品物にx%の利益を見込んで定価をつけた。この品物を定価のx%引きで売ったところ、100円の損失が出た。xの値を求めよ。
(解き方)
まず、x%をx/100にします。
次に、x%の利益は(1+x/100)、x%引きは(1-x/100)です。
以上より、1600(1+x/100)(1-x/100)=1600-100
この二次方程式を解きます。
1600(1+x/100)(1-x/100)=1500
答えは25%です。
俊英塾代表。「塾学(じゅくがく)」「学道(がくどう)」の追究がライフワーク。隔月刊誌『塾ジャーナル』に「永遠に未完の塾学」を執筆中。関西私塾教育連盟理事長。