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「センス・オブ・ワンダー」/ レイチェル・カーソン いまを生きているこの世界のすべて、を感じられる人の持つ掛け値ない稀有な感性
「センス・オブ・ワンダー」/ レイチェル・カーソン上遠恵子 訳、川内倫子 写真 #読了
村上春樹作品の読書会経由で、お貸しして貰った本でした。
川内倫子さんの自然の写真や本の装丁も素敵な一冊だった。
「沈黙の春」の作者として知られるレイチェル・カーソンの遺作の本でもあって、未完となっていることが悔やまれる。
著者レイチェルがアメリカのメイン州のブースベイで、小さな子供の甥のロジャーと一緒に海辺や森の中を探検し、星空や夜の海を眺めた経験を元に書かれた作品であり、
おそらく死期が近い自身のことを自覚しながら、畏怖さえも感じる圧倒的な自然と生き物たちの営みを肌で感じ、その喜びや感動を目の前の小さな子供に伝え、分かち合おうとする切実さに胸が痛くなった。
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生きていて良かったと思うことはなに?
人が造ったものやシステムは時折り息苦しくて、そして生きている掛け値なさや素晴らしさや大切さを伝えられる大人はほんとうに少ない。
もし無垢で小さな子供がいて、そして自分の命が僅かだと知っていて、
目の前のその小さな子供にこの世界に生きていることはすばらしいものだって、そう心から伝えられるものが何かあるとするのなら、何をほんとうに伝えられるでしょう?
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子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激に満ちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人ぬなるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。
もっともわたしがすべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力を持っているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることない「センス・オブ・ワンダー = 神秘さや不思議さに目をみはる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。
この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤となるのです。(p33.35)
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平原に音もなく吸い込まれてゆく雨粒も
月の照らす凪のように静寂な夜の海辺も
小川に太陽の光が照らし花が咲いていることも
私たちが目の前のささやかな自然に感動できたり、圧倒的な自然に対し、心を自然の中に重ねたり、見入ってしまうのは、
そんな「センス・オブ・ワンダー = 神秘さや不思議さに目をみはる感性」という心を持っているからなんだと、この本を読んで感じることができた。
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堂々と横たわる自然と、輝く命を受けながら生きているこの世界のすべて。
海も森も空も風も何もかもが移ろい生きているということ。
世界の何もかもがそこで生きていて、だから生きることってとてもすばらしいことだと、ふとした時に気付くことができること。
その喜びと感動と不思議さと。
「センス・オブ・ワンダー」= 『いまを生きているこの世界のすべて、を感じられる人の持つ掛け値ない稀有な感性』
もしも、自分が著者のように命僅かだったとするのなら、それを誰かに伝えて分かち合いたい。
自然に感銘を受ける掛け値ない感性を持ち、たゆたう自然の中で生きている喜びを誰かと分かち合うことができるのは、私たち人間に与えられた稀有で大切な善性のひとつだと思うから。
自然への感銘や畏敬や感性について、自分はそれを言い表す言葉を持っていなかった。
「センス・オブ・ワンダー」、とても素敵な言葉であり、
圧倒的な自然に対して、感銘や畏敬を持っている自分に対してぴったりと共感できる、とても素敵な本だった。
お貸しして貰って、そしてこの本を読むことが出来てよかった。
倉木麻衣の「fantasy」という曲を聴きたくなった。
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