映画『サマーゴースト』感想

 映画館で見ました。ネタバレしています。

 ストーリーについて

 いい意味で、中学生くらいのときに出会っておくとぶっ刺される内容でした。中二病という意味ではなく、色々と悩む時期だと思うので。
 他の人もインターネットに書いていましたが、最初の場面と最後の場面の繋がり方が面白かったです。途中で、涼くんが病気だとわかったときに、もしかしたら奇跡的に治ったりするのかな? と思っていましたが、特にそうはならず、しかし友也くんやあおいちゃんと出会う前よりは幸せな終わり方をしていて良かったです。
 前半は重い話が続きますし、ラストも登場人物が抱える問題が完全に解決したわけではないけれど、後味は悪くなかったです。
 サマーゴーストは死に近しい人にしか見えない、と絢音さんが言っていましたが、最後友也くんとあおいちゃんにサマーゴースト(涼くん)が見えていたということは、二人にとってまだ死は近しいもののままであるということだと思います。それも個人的には簡単に解決されなくて良いなと思いました。
 恋愛的な展開にならないところも、シリアスな世界観に合っていたと思います。

 キャラクターについて

 あおいちゃんが好きです。キャラクターデザインも好きですし、最後にいじめてくる子達に怖がりながら反撃するのが人間らしいなと思いました。
 絢音さんは、声のトーンが冷たく、それが人間とは違うということを表していて良かったです。


 絵について

 前評判で聞いていた人物の動きは、確かに場面によってはカクカクしていたもののあまり気になりませんでした。背景がすごく綺麗でびっくりしました。君の名は。などの作品と比べても違和感がない感じです。さすがloundraw監督といったところです。

 演出について

 演出の間はもっと欲しかったです。
 絢音さんのスーツケースに入るところを机であらわしたり、滑走路を大事な部分でうつしたりといった面白い工夫がされていました。
 絢音さんの入ったスーツケースの中を最後までカメラがうつさないことに関して、他の方の感想で死生観をテーマにしているのなら描くべきだ、という趣旨の意見もありました。個人的にはグロテスクなものが苦手なのでなくて良かったけど、なるほどと思ったのでここに書いておきます。

 音楽について

 綺麗でした。あまり音楽についての感想を見かけなかったので(私が探しきれていないだけかもしれませんが……)、サントラがほしいレベルで音楽が良かったということを書いておきます。

 書きたいことはだいたい書けましたので、これにて以上とさせていただきます。40分という尺の中で色んなストーリーや工夫を詰め込んでおり、とても面白かったです。

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