お洒落

お洒落がわからない。

まず組み合わせが出来ないので、マネキンのコーディネートをそのまま買ったり、同じお店の中で上下揃えないと気が済まなかったりする。服と靴の組み合わせが1番わからない。なんだかよくわからないまま大体はスニーカーを履いている。たぶん間違えている。

かわいい服を見るのは好きだった。自分が着るのを想像するだけで恥ずかしくていつも地味な色の服ばかり選んでいた。母には若いんだから明るい色を着た方がいい、とよく言われたけれど、眩しくて選ぶことも出来なかった。

可愛くなる努力をしなくても、別に誰にも迷惑はかからないしいいやとずっと思っていた。でも可愛いどうこうは別として、マナーというものがあるということを全く認識していなかった。多少は化粧を覚えなければいけなかったし、見た目にも気を遣う必要を感じた。

可愛くなろうとか、かっこよくなろうとしている人たちを眩しく感じていた。すごく素敵だと思った。あまり興味がないのもあったけれど、やっぱりそう思うこと自体恥ずかしくて、考えようとしなかった。一周回ったひねくれた自意識が、かわいくないなぁと思う。まあ、性格なので仕方ないのだけど。

でも最近、ちょっと許せるようになってきた。かわいい服を着てもいいと思うし、薬局でずらりと並ぶ化粧品のコーナーを見るのも面白くなってきた。お洒落な人を見るとテンションが上がるし、楽しくなる。見られるだけで人を喜ばせるなんてすごい。意識してもいなくても、自分が着たいものを着て、自信があるから素敵なのだと思った。やっぱりわたしには、お洒落に関わらず人に見られているという意識が足りない。ちょっとでもいいね、と思ってもらえるように努力をしよう。たぶん自分も楽しいし、もっと自分を認められるようになるだろう。

ただ、へんな順番意識があってなかなか進めない。メイクをするなら肌が綺麗なほうがいい、という自論のもといろいろなスキンケアを試してみたはいいが、見事に肌荒れした。もともと肌が弱いので冒険しなかったのもあるのだが、やっぱり無理はしないほうがいいなとストップをかけた。結局皮膚科の薬が一番落ち着く。

執着すると苦しいので、やっぱりそこそこの興味で留めていたほうがわたしの性格には合っている。お洒落ともいい距離感で、これからも付き合っていきたいと思う。