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☡高校数学の曲がり角~数学ⅠA集合と論理~

出発点

大学数学では,写像や演算の対象として集合を正確にとらえる必要があるが,高校数学では,集合という概念を深く追求する必要はない。出発点は以下であろう。

  • 数学的に集合が定義できるかどうかの例を理解すること

  • 集合の外延的記法と内延的記法が理解できること

  • 集合と要素の関係が理解できること

  • 空集合の概念が理解できること

1つ目の曲がり角

1つの集合に対しては,起点にある程度の内容が分かっていれば十分である。次のステップは,2つ以上(特に2つ)の集合に対する次の事項である。学生に指導する際は,枝葉の部分に焦点が当たらないよう気を付けるべきで,以下の内容が理解できているかどうかが確認できる演習問題に的を絞るべきある。

  • ベン図(または,カルノー図)が理解できること

  • 集合の包含関係,共通部分,和集合が理解できること

  • 全体集合と,部分集合とその補集合が理解できること

2つ目の曲がり角

上記の3つの内容を理解した上で,
          「集合$${P}$$を条件$${p}$$が成り立つものの集合」
          「集合$${Q}$$を条件$${q}$$が成り立つものの集合」
と考え,$${P,Q}$$の包含関係と条件$${p,q}$$の必要条件,十分条件の関係を理解から次の内容を理解することが必要になる。

  • 補集合が条件の否定を表すこと

  • 「かつ」や「または」の否定が理解できること

  • 「数学的に同値(必要十分)であること」が理解できること

  • 対偶証明法の概念が理解できること

まとめ

「曲がり角」1つめの note なので思いのほどを少し。学生が触れることのできる高校数学の勉強内容は,教科書,網羅系問題集,授業といろいろあるが,

教科書は何といっても本筋が見えにくい。数学が得意,数学的思考ができる人ほど,遠回りな表現や例示が多く,「教科書を読んで」「全体像を把握して」「自分に落とし込む」作業が必要になる。(別に悪くないし,この作業も大切です。)なお,全体像が把握しにくい教科書が多い印象である。

網羅系参考書は,どこかの私立大学でたまたま出題されただけの問題を「例題」と表して学習させ,暗記に頼る学習を要求する。たまたま例外的な思考を要求した問題を例題としていることがある。数学を暗記にて理解することは個人的には「競技数学」っぽくて好まないが,「受験数学」攻略には大切な作業でもある。(数学力向上にもつながるので良い面もある。)

授業は,本当に力のある教師の授業であれば,「数学的な思考」と「受験数学」を正しく指導してくれるであろうが,(徹底的な予習,授業準備で)数学的な面白さを創り出し,感動を演出する教師もいる。数学的な面白さは数学が内包しているもので,それを真っすぐ伝達することだけが教師の仕事で,感動など演出せずとも数学を正しく提供するだけで感動できるはずである。(学生を無理に感動させる必要はない。感動するかどうかは個々人の適正である。)

といった,思い(不満 笑)からここに数学の本質的な流れを残すことを目的に作成しました。本当はどういった演習問題が適当かどうかまで残しておきたいところですが,時間と手間を考えて,とりあえず言葉で概念だけ残してみることにしました。

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