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90年代後半~2000年代前半に思春期を過ごした人々へ

ナタリー・ポートマン出演映画のDVDがどこへ行ったのか
家探ししていたら唐突に見つけてしまった

リリィ・シュシュのすべて

すごいな…ジャケットを手に取っただけで
実家の自室、夜中にひとり小さいブラウン管に噛り付いてた
部屋の配置や目に入る光の量や壁のポスター
一斉に蘇ったわ

登場人物の年齢、時代背景
ほとんど同世代の話で
時差なくこの作品を見た
これを思春期に与えられたという悲劇よ
自我の確立が右往左往している時期に与えられた
その影響は大きいと思う

謎の歌姫リリィ・シュシュをめぐる
13歳~14歳くらいの少年少女青春群像劇
と、言ってしまえば何てことはない
ただこれがその当時「現代的な」議題とされていた
インターネット普及、いじめ、恐喝、未成年者の凶行、性犯罪
様々な要因をからめとって生々しく映し出されている
「今の若い子は何を考えているのやら」みたいな部分を
抉るような描写がある一方
「何を考えているのかわからない少年少女」の内面や
変化していく様子が痛いほど鮮明にみられる

元々がインターネット掲示板を利用した
書き込みによって進む連載小説
やったらしい
私はそのサイトを知らんのやけども
実際に岩井俊二が何人かの登場人物として書き込み
当初は一般人も書き込めてたと
そうして進んでいく物語そのものが新しかったと

その後それを元に映画が出来るわけで
小説としても出版され、それも読んだ
なにせ情緒不安定で多感な時期に出会ったもんで
それはもう虜になるしCDも買った
リリィ・シュシュがSalyuやってのは後で知った

で、改めて
何年も見てなかったものを発見したから
見てみようと思って

いや…すごいな

当時テーマも少年少女の有様も「最新」であったものが
とてつもないノスタルジー
得も言われぬ画質と色彩の田園風景に佇む少年の手に
まっすぐ捧げ持たれたCDウォークマン
や、わかるよ、わかる、まっすぐにしとかな
CDウォークマンはウォークでけへんからな
服装~~~~OPのTシャツとか着てる~~
なんかよくわからんシルバートップのペンダント~~
中途半端な丈の中途半端なダボつきボトム
まさに田舎の子がちょっとイキりたいけど絶妙にダサい感じ
この再現度だけでもえげつない思うわ

登場人物が持つストラップ付きの折れ曲がらないタイプのガラケー
写ルンですを友達同士で撮りあって
プレステ2が出るらしい、DVDが見られるらしい
そもそもDVDってなに?という会話

作品内でも主人公が運営する
インターネット掲示板の書き込みを軸に進むんやけど
なにせその打ち込みのカチャ音
こう…初めてインターネットというものに触れ合った頃を
リアルに思い出すような懐かしい古っぽさ
そして投稿者たちの発言は全成人のヒャー!!!(赤面)を
否応なく誘うと思われる
特に現在30代あたりの人間は覚悟した方がいい

出演している役者もそうそうたる面々

主人公の少年は神々しいほどに危うい美しさ
市原隼人
全然、筋肉変わり種俳優(悪口ではない)になる前の
頬に産毛の残っているような中世的美少年

女の子も最高やし

蒼井優だぜ蒼井優
個性派女優として頭角を現すのが約束された演技力
かなりグっときます
あと伊藤歩の鋭い美しさ…これに尽きる

よくよく見れば高橋一生とかな
その頃サブカルっぽいのでよく見かけた忍成修吾
大沢たかお、稲森いずみ
稲森いずみは、稲森いずみ似の人として出てきたり
UA、椎名林檎の名前が出てきたり
そのへんもちょっとメタい感じが新しかったんかなとも

正直、子供をもった今見れば
結構ショッキングな部分もある…し
全人類にオススメはしにくいけれでも
なんとも言い表せないノスタルジー
有り体に言えば(言いたくないけど)エモエモのエモ
布団に顔突っ込んで大絶叫するほど刺激される羞恥心for me
見終わった頃の倦怠感、虚脱感
味わう価値あるのではと思っております

なにせ美しい
全部見てるわけじゃ全然ないけど
岩井俊二映画の中で、特別好きな一本

そういえば新しい岩井俊二監督映画、公開されるんやんな
どうしようかなぁ~見に行こうかな~
チラっと見た感じあまり得意じゃないような…
ちょっと考えよ

見れるやん

Salyuじゃなく、リリィ・シュシュとして聴いてる

追記:そう、作中に流れるドビュッシー
それについて書こうと思ってたのにすっかり抜けていた
今から書くと長くなるなぁ…割愛
なにせそれが作品の儚さを美しく彩っているから
そこも大好きな、大事な要因

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