わたしを離さないで と わたしたちが孤児だったころ を読みました

仕事柄電車での移動時間が多いので、なるべく本を一冊持って歩くようにしている。

最近は、カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」と「わたしたちが孤児だったころ」を続けて読んだ。

本の感想ってとても難しい。本が好きというより、活字を追って別世界に入り込む行為が好きなだけなので、読み終わっても楽しかったな~という感想しか出てこない。本のレビューを書いている方は凄いと思う。

でも、練習だと思ってつたない語彙とかすかな記憶で二冊の感想を書いてみる。

先に読んだのは「わたしを離さないで」なのだが、実はこの本に挑戦したのは2回目だ。前回読んだときは全然はまらず、珍しく途中で(しかもわりと早い段階で)やめてしまった。でも、今回はざくざくと読み進める事ができた。自分のコンディションが関係しているのだろうか。

読んでいる間常に感じていたのは、主人公の言動に違和感がないこと。淡々と語られる、別次元の話なのだが、知らないうちに主人公と自分がシンクロしていた。行動描写、背景描写が細かくて巧みなので、この場面ではこう言うよな、と納得させられてしまうのだ。あらすじだけ見るとあり得ない話なのに。

「わたしたちが孤児だったころ」はそこまでシンクロはなかったけれど、話の内容として仕方ない気がする。謎解きの要素があり、細かな伏線が沢山貼られていた。

どちらの小説にも共通しているのは、主人公の一人称で物語が進められること。そして、順不同に回想しながらだんだんとお話が豊かに肉付けされていくことだ。小さな、しかし非常に大事なエピソードを積み重ねることで、登場人物がリアルになっていく。

それから、熱やエネルギーというものから慎重に距離を取って書かれているのかな、という気がする。この抑制された文体がカズオ・イシグロという人の特徴なのかもしれない。

また何冊か続けて読んで確認してみようと思う。

ちなみにカズオ・イシグロは漢字だと石黒一雄だそうなのだが、字面でロボットとかアンドロイドの研究者を思い浮かべてしまった。検索したら、それは石黒浩さんであった。たぶん、今後はこの二人をセットで思い出してしまうだろう。。


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