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高い高いで笑ってる子供は、楽しくて笑っているわけではないかも?

今日の論文

本日は、2016年ハーバード大学で行われた研究(R)です。

大まかな内容は、友情はモルヒネより痛みに効くって論文です。

18〜34歳の男女101名を対象にしたもので、みんな壁に背をつけて空気イスをしてもらい痛みへの耐性をチェックを行ったそうです。
事前に行っていた人間関係に関するアンケートの結果を踏まえると、痛みに対して強い耐性を示したのが、友人が多いほど痛みに強いという傾向がハッキリ出たそうです。

つまり、仲のいい人との合同トレーニングなんかで追い込めるのは、こういうことなんだなという感じです。

これは、どう言った原理かというと、脳の視床下部から分泌されるエンドルフィンの影響です。
この研究では、βエンドルフィンは痛み止めを止めるモルヒネよりも効果があることが分かっています。

戦争中地雷などで、足や手が吹っ飛んだ人に緊急で痛みを止めるために注射された、とても強い痛み止めです。
このモルヒネよりも強い痛み止めというわけですから、長距離を走る時に一緒に走ろうは、βエンドルフィン分泌にもつながりますから、理にかなってるということになります。

笑う時、βエンドルフィンは分泌される

では、別の研究を見てみましょう!
これは、2017年のオックスフォード大学などの研究(1)です。
この実験は、12人の健康な男性における笑いによる内因性オピオイド放出を定量化しました。
 笑いの後のβエンドルフィン内因性オピオイド放出は、神経化学的経路を提供することがわかりました。

要するに笑う時、βエンドルフィンの分泌が促進されるということです。


痛みから身を守る術

では題名にもある、赤ちゃんをあやす手段の1つである『高い高い』について考えてみましょう。
大人が赤ちゃんを持ち上げて『高い高い』とあやし、赤ちゃんが声を上げて笑う。
一見すると微笑ましい光景ですが、果たして本当にそうでしょうか。
高い高いされた赤ちゃんは自分の体が落下する感覚を楽しみ、声を出して笑うと思われがちですが、実はそうとは限らないのです。 
その理由は、人類が昔猿だった事と深く関係しています。
落下する時に感じるあのフワッとした感覚を我々類人猿だった時に感じる時はどういう時か。
想像の通り、木の上にいる母親からの落下です。

サルの赤ちゃんは、小さな手足で母親にしがみついて生活します。これは小猿に生まれながらに備わっている本能であり、誰に教わるわけでもありません。
もし不意にその手が離れてしまうと、小猿は母親から離れ、木から落ちてしまいます。
状況によっては死んでしまうかもしれません。
すなわち、手が離れて体が落下する感覚は木の上からの落下を意味し、小猿にとっては死と結びつく大変な恐怖です。 
人間の赤ちゃんも同様に、生まれながらにして自分の体が落下する感覚=恐怖として植え付けられているのです。
その証拠に、人間の赤ちゃんには『モロー反射』が見られます。
モロー反射とは、体が落下するなど身の危険を感じた瞬間にパッと両手を挙げて空中をつかむ動作をすることで、人間の赤ちゃんに備わっている脳幹レベルの反応です。これは、小猿が母親から離れると感じた瞬時、死を回避するため木につかまる動作の名残であると考えられています。
このように、高いところから急に体が落下する感覚というのは、赤ちゃんにとっては本能レベルでの死の恐怖であると言えるのです。

では、なぜ高い高いした時、赤ちゃんは喜んでいるかの如く声をあげて『笑う』のでしょうか。
それは、恐怖を感じた際の脳内の仕組みを考えると理解できます。
 自分の体が落下する感覚=恐怖の感覚を受けると、赤ちゃんの脳内でストレス反応により大量のコルチゾールが分泌にされます。このコルチゾールは、痛みに対して過剰に反応する性質があります。
このコルチゾールの作用を打ち消すために身体は、反射的にβエンドルフィンを放出させ、落下に対する痛みを麻痺させようと笑うのではないかということです。
すなわち、もし体にダメージがあっても、少しでも痛みを感じないようにしているのです。

楽しくて笑うのではなく、落下に対する死への恐怖から笑うことによって痛みに対応するためのβエンドルフィンを分泌させている反応と言えるわけです。


子供的にいうと『恐怖のあまり笑わないとやってられない』状態と言えます


ドーパミンがもたらす自閉症への影響

落下するときの恐怖に感じるストレスホルモンは、先程のコルチゾールのほかにアドレナリン、ノルアドレナリンといったホルモンがあります。副腎から分泌されたこれらのストレスホルモンは、血流にのって全身をかけ巡る。そうして、体内のさまざまな臓器に指令を伝えています。

高い高いをした後、子供の心拍を確認してみてください。
心拍の上昇が、見られると思います。
つまり、アドレナリン、ノルアドレナリンの作用で心拍が上昇しているということになります。

このノルアドレナリンは、腸内に作用して大腸菌の増殖を促進させることが分かっています。
詳しくは、知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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子供の腸内環境は、3歳にはある程度、安定することが分かっていますので、それ以降の影響は少ないと思いますが、安定していない3歳までの高い高い(恐怖体験)の乱発は、ノルアドレナリンの分泌で、増えた大腸菌は腸内環境を悪化させ、結果的に自閉症、ADHD、アレルギー体質等につながる可能性が高くなるということです。

ということで、3歳までの子供は高い高いをするより、抱きしめてあげた方がいいですよという記事でした!



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