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007『西日本を歩く2 ~神戸・岡山・広島~』

文:守屋佑一

2010年9月13日深夜の3:30頃。広いオデッセイの後部座席で僕は目を覚ました。助手席にいるTYから「お前、ずっと寝てたぞ」と声をかけられた。
どうやら僕は足柄SAを出て少ししてから寝てしまったらしい。TYとSはずっと起きていたようだった。前日まで続いた祭の出店のバイトは賃金と引き換えにとてつもない疲労を僕に残した。車はちょうど名古屋で東名高速を降りてガソリンを補給しているところだった。
この旅はこれ以降、どうしても通らなきゃいけない区間と最終日を除いてずっと下道になる。目的である九州まではもちろんまだまだだ。しかし、移動も含めて旅の楽しみがある。数時間前足柄SAで僕が100円均一で買った日本地図を開いて13日中に広島くらいまで行きたいなんて話をした。僕は青森生まれだし、高校の修学旅行で北海道に行っていたから、日本の上の方はけっこう行ったことがあったのだが、下の方は高校3年の冬に友人と行った大阪より西に行ったことがなかったので、この日だけで一気に記録更新することに高揚感を感じたのを覚えている。

ひたすらに走る車。赤みがかってくる空。
気づけば京都を越えて兵庫県に突入していた。ちょうど朝の通勤ラッシュでとても渋滞していた。兵庫と言えば、野球に携わっているものとして一度は絶対に見ておきたいスポットがあり、そこへ向かった。その場所は「甲子園」。

言わずと知れた野球人にとっての聖地だ。甲子園のそばのパーキングに車を停めて周りを歩く。月曜の午前中の甲子園はとても静かだった。甲子園のすぐ脇にある素戔嗚神社にも行った。至る所に野球モチーフのご神体があり、絵馬にも球児たちの言葉が書かれ、身が引き締まる思いを感じた。

一通り空気を感じ取り、甲子園を後にした僕たちは昼食も兵庫でとることにして移動した。この日本列島にはどこに行っても美味しいものが多い。食べることが大好きな僕はこの旅で各地の美味しいものを食べることができるのをとても楽しみにしていた。僕たちはランチに「神戸牛のステーキ」に狙いをつけた。

本などで調べるとランチといえども高級なものばかりだったが、なんとか僕たちの予算にあうお店を探し当てた。
この旅は事前に細かくいろんなことを調べてなんかいやしない。全てが現地での調査。制約は2つ。20日までに九州一周することと小田原に戻る事。
なぜなら21日にはバイトが入っていたから。
タブレット、スマホ・・・今でこそなんでも簡単に調べることができるが、このときはまだまだだった。全員ガラケー。だから本と現地の人の話が全て。
でも、別に不便だとは思わなかった。楽しかったし。
そんな話は置いておいて、神戸牛。少しの量だったけれど感激する美味しさ。
またいつか食べに来よう。

腹ごしらえを終え、姫路城へと向かう。やっぱりそれなりに有名なところはちゃんと押さえておきたいもんだ。

さすがは姫路城。立派なかこいが設置されている。
・・・そう。この時、姫路城は2009年10月から2015年3月までかかる長期間の天守保存修理工事中。泣く泣くかこいの前で記念写真を撮ったのであった。

天空の城として有名な竹田城はこのときはまだ存在を知らずスルー。完全なる姫路城と竹田城は今年の夏にようやくちゃんと見ることができた。その時は電車でいき、色々な苦労も体験したので、来年の夏にでもトーチズ散歩に書くことにしよう。

神戸での寄り道に区切りをつけ、さらに西を目指す。忠臣蔵でおなじみ赤穂を通過し、岡山県。ひたすら広く長い牧歌的な道。スケールの大きすぎる田舎。道の脇にある巨大な看板にはウン10キロ先への案内が示してある。途中、遺跡?を見つけて一瞬だけ立ち寄る。もちろん何の遺跡だったかなんて覚えちゃいない。

岡山でコンビニ以外で立ち寄ったのはここくらいか。この旅の第一目標は九州を制覇することなので、見るべきものを見ずに通過してしまうことも多々ある。走って走って21時過ぎに広島県福山市に突入した。

今夜はここに宿泊する。夜についた町に泊まる。なんだかドラクエの旅と同じだ。もちろん宿なんていちいち決めていないので、調べるとこのまちにはなんとコロナワールドがあることが発覚した。コロナワールド。小田原の若者がみんな行く温泉、漫画喫茶と旅に必要なものがみんなあるホットスポットだ。しかも通いなれている。僕たちはヘトヘトになった体でコロナワールドに飛び込んだ。


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