【掌編】人魚 52 虎馬鹿子 2022年1月18日 22:40 即、肌、ではなくどうか薄絹を一枚、へだててくださいと、願いは聞かれず通じずに、私は息をつめ、愛撫に堪たえます。みるみるうちに肌も胸も冷えきって、びくり、びくりと、身ぶるいするたび小さく白く凍りつくのに、あなたはそんなに汗ばんで、私は知らずに私の中はあたたかく血は通い、不思議と今も生きているのですね。 でもいつか、この身のしんからすっかりと、青ざめた魚のような女となって海より来たと思い出し、海へと還って行ゆくのでしょう。(了) ダウンロード copy この記事が参加している募集 眠れない夜に 68,049件 #小説 #眠れない夜に #掌編小説 #幻想小説 #幻想怪奇 #3行完結選手権 #3行 52