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自殺の順番、持ち回り制

「自殺って、持ち回り制なんです」

 クラスメイトの女の子がいきなり話しかけてきた。
 暗い性格の彼女には友達もいなかった。
 だから初めて話し声を聞いた。

「どういう意味だ?」
「自殺って、悲しいからするものじゃないんです。順番が決まっているんです」
「だから持ち回り制だっていうのか?」
「そう、自殺持ち回り制です」
「……」

 沈黙のあと、彼女は哀しそうに微笑んだ。
 それが全てを語っていた。

「今回が私、その次は君です」

 心臓が冷たくなるのが分かった。
 僕が死ぬ?
 それも自殺するだって?

「それは断れないのか?」
「断れません。今まで順番が回ってきて自殺しなかった人は一人もいません」
 
 参ったな。
 冗談でこんなことをいう奴でもなさそうだ。

 悩んでいると彼女と目が合った。
 意外と整った顔をしていることに初めて気がついた。
 
 彼女は僕に顔を近づけて、耳元で囁いた。

「一緒に逃げ出しませんか? どこまでいけるかは分かりませんが」

つづく

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