はしもと

美しいホラ吹きになりたい。

はしもと

美しいホラ吹きになりたい。

マガジン

最近の記事

亡くなった幼馴染が僕を殺しにきてくれた

 亡くなった幼馴染の姿が隣に見える。  どうやら今日が僕の命日らしい。  不登校になって半年。  入学してすぐのことだ。 【幼馴染の女の子を殺した奴】  という噂が学年にひろまり、僕の居場所はなくなった。    学校が変われば、自分の居場所ができるかもしれない。  そんな淡い期待は泡となって消えた。  どうやら僕はこの世界で生きる資格がないらしい。  僕は不安定な椅子の上に立ち、首吊りの輪っかに頭を通した。  そのときだった。  亡くなったはずの幼馴染の

    • 自殺の順番、持ち回り制

      「自殺って、持ち回り制なんです」  クラスメイトの女の子がいきなり話しかけてきた。  暗い性格の彼女には友達もいなかった。  だから初めて話し声を聞いた。 「どういう意味だ?」 「自殺って、悲しいからするものじゃないんです。順番が決まっているんです」 「だから持ち回り制だっていうのか?」 「そう、自殺持ち回り制です」 「……」  沈黙のあと、彼女は哀しそうに微笑んだ。  それが全てを語っていた。 「今回が私、その次は君です」  心臓が冷たくなるのが分かった

      • 片想いしていた子から臓器と記憶をもらってしまったらしい。

         臓器移植って知ってるか?  臓器が機能不全になっちまった場合に、他人から臓器を移植する医療技術のことだ。  受け取る側をレシピエント。  提供する側がドナー。  ここらへんは聞いたことくらいあるだろ?  じゃあ【記憶転移】って知ってるか?  原則としてレシピエントはドナーの個人情報は一切知り得ないにも関わらず、何故かドナーの記憶の断片や趣味嗜好が移っちまうんだとよ。  もう気づいているだろうがオレは臓器をもらったドナーなんだ。  それで【記憶転移】が起きちま

      亡くなった幼馴染が僕を殺しにきてくれた

      マガジン

      • #逆噴射プラクティス
        3本