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4月4日 Splatoon3 サーモンランに見る、プレイヤーをイライラさせる仕組み

 『Splatoon3』を購入したけれども、私はほとんどレギュラーマッチをやっていない。いまだにランクは10をちょっと越えたところ。プレイ時間のほとんどが「サーモンラン」だ。

 『Splatoon3』のサーモンランには「イクラ投げ」が追加されてくれたことで、格段に遊びやすくなっている。前作ではタワーやカタパットは倒してもほぼ金イクラを回収することができなかった。でもイクラ投げのおかげでだいぶ持ち帰れるようになった。時間ギリギリのタイミングでの「あと1つ」が間に合ってくれるし、前作ではあり得ないような数の金イクラを回収することができるようになった。イクラ投げは良い仕組みだ。

 ただまだ引っ掛かるところはあるわけで……。

 引っ掛かるのはスコア加算ルール。ウェーブ3をクリアすると評価が20ポイント上昇するわけだが……。そこに到達しなければ基本的に「ワークオーバー」となる。
 これがしんどい。

 ウェーブ3をクリアしたときのみ評価スコアがプラスになるのだけど、そのポイントがたったの20。一方、ウェーブ1で全滅してしまうとマイナス20。ウェーブ2で全滅するとマイナス10。ウェーブ3をクリアしない限り、評価スコアがプラスになることはない。これがしんどい。

 難しいステージでブキ構成が滅茶苦茶なときは普通にウェーブ3までなかなか到達できない……ということもある。そういうとき、どんどん評価スコアがマイナスされていく。この時がとにかくしんどい。
 プレイヤーの心情としては、ゲームで遊ぶ限りには気持ちをスッキリさせたい。爽快な気分になりたいと思ってゲームと向き合っている。ところが現状の仕組みだと、むしろプレイヤーを「しんどい」と思わせる局面が多い。

 まず気になるのはウェーブ3までクリアしたときの加算ポイント。20は少ないんじゃない。30ポイントくらいあってもいいような気がする。

 ウェーブ3まで到達し、納品数を達成したが全滅してしまった……というケース。いや、仕事はきちんとこなしたわけだから、評価ポイント0というのはどうなんだ? カタログレベルのポイントもなし。景品も少しくれるが……。達成ポイント獲得までの条件が厳しいように思える。

 金イクラ100以上納品達成!
 リザルトを見て「頑張ったなぁ……」と思うのだけど、ゲームのほうからもなにか顕彰してくれてもいいんじゃない? 100以上でクリアできたら評価ポイント+5とか……。頑張った「証」がほしい。
 それをいうと、ウェーブ3をクリアしなければ評価なし……というのは考えてみるとどうなのかと。
 金イクラ100以上回収したのに、全滅でクリアできず……ということもある。その時も評価ポイント0ってどうなんだ?

 オカシラシャケ撃破!
 でも撃破成功した場合と、撃破失敗した場合も特に評価は変わらず。オカシラシャケ戦を経験するとウロコが手に入るのだけど、その手に入る数も特に変わらない。撃破しても「金のウロコ」すら手に入らない場合が多い。
 プレイヤーの心理としては「撃破した」という証がほしい。

 現状の仕組みだと、プレイヤーに「しんどい」と思わせる要素が多い。とくになかなかウェーブ3までたどり着けず、どんどん評価スコアがマイナスされていくとき。「いかにスコアをマイナスさせるか」ということに重点を置きすぎている。これが「サーモンランがしんどい」と思わせる要因になっている。
 ウェーブ3をクリアすることがゲームの目的だけれど、その途上で倒れた場合でも、何かしらプレイヤーの健闘を顕彰してくれる仕組みがあるべきではないか。さらにうまくやり遂げた場合は、評価スコアがプラスになってくれてもいいのではないか。

 レギュラーマッチでもプレイ内容に応じて表彰があるのだけど……だからなに? っていう感じ。別にこれで獲得できるお金やカタログレベルのスコアが上がるわけではない。ただ「私が一番エリアを塗っていた」という事実を知れるだけ。
 だからなに? という仕組みではなく、その顕彰がスコアに反映させる仕組みが欲しい。

 修正を入れるなら、基本的に仕組みをアッパー気味に変えたほうがよい。マイナス修正はプレイヤーのモチベーションを下げるだけ(『Splatoon』はどちらかというと、発想が「減点方式」)。修正が入るところはいつも、ごく細かいところだけ。大きな仕組みの変更はなかなか出てこない。今のところ、「スコアを得る機会をいかに限定させるか」……というところに重点を置いているように見える。
 オンラインゲームはなにかとスコアの獲得を難しくさせる傾向がある。以前はMMORPGをやっていたのだけど、普通にお金を稼ぐだけでも大変。武器を一つ買うのに金策を一ヶ月もやらねばならない。レベルを1つ上げるのにも数十時間のレベル上げが必要。やがて「これはやってられんわ」と続けるのを諦めてしまった。結局、オフラインゲームのほうが楽しい……というのが結論だった。
 そういう、「しんどい」と思わせる仕組みを無自覚にやってしまっている。ここには手を付けて欲しい。

 ゲームは基本的に、「しんどい」と思われたら負け。「しんどい」と思われたらほとんどのプレイヤーはそのゲームから離れてしまう。「しんどい」以上に「楽しい」と思わせる要素を増やして欲しい。まずプレイヤーの健闘を顕彰してくれて、それがきちんとスコアに反映されること。この仕組みがないとゲームで遊ぶのがしんどい。どうにか爽快感を獲得しようと、ずるずると長時間遊ぶことになってしまう。

 ゲームで遊ぶ人は、みんなが無限に時間のある暇人ではない。時間を決めてその時間内だけしかゲームで遊べない……という人の方が多い。でもそういうときに無慈悲なゲームオーバーを突き付けられると、「気分転換しよう」とコントローラーを握ったのに、逆にどんよりした気分で突き放されてしまう。
 ゲームオーバーになったとしても、なにかしらその過程に顕彰される要素があれば、まだ気分的に軽くなる。せめて「ここまで進めた」ということの「足跡」となる証が欲しい。『Splatoon』にはそういう仕組みがない。

 任天堂はこういう仕組みに関するところはひどく頑ななところがある。例えば今作と同じく野上恒がプロデューサーを務めた『あつまれどうぶつの森』。ゲームを始めると最初に、しずえさんの特に意味のないメッセージが表示される。
 このメッセージが「意味のある内容」に変更されるまで1年かかった。

 『Splatoon』のゲーム最初のメッセージ……これも3作目になってやっとスキップされるようになった。

 任天堂のこういう傾向から考えると、今作のうちに「これは変えたほうがいいんじゃない」という部分も変わらないかも知れない。次世代機の第4作目に期待しよう。


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