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ブログ:映画の話

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映画の感想文。
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記事一覧

映画感想 エクソシスト 信じるもの(2023)

 悪魔憑きの物語は再び動き始める……か?  『エクソシスト 信じる者』は2023年のアメリカ映画。『エクソシスト』シリーズは本作を含めて6作品あるが、本作は第1作目以後のストーリーはなかったことにして、第1作目の続編……ということになっている。『ターミネーター:ニューフェイト』や『ハロウィン(2018)』なども続編はなかったことにして第1作目(あるいは2作目)の続き……ということになっているが、本作も同じ路線である。  監督はデヴィッド・ゴードン・グリーン。監督、脚本、プロ

映画感想 スクリーム6

 レガシークエルの新しい教科書。  『スクリーム』シリーズ6作目。前作は『スクリーム(2022)』とナンバリングが入ってなかったためにわかりづらかったが、今作は改めて『スクリーム6』となっている。ちゃんと前作もシリーズの中の1本に加えられている(だったら前作は『スクリーム5』にすれば良かったのに)。『スクリーム』の4作目と5作目が間に10年の空白があったが、今作は前作が劇場公開された数週間後に続編発表。その年の内に撮影が開始され、翌年3月に全米公開された。日本では劇場公開さ

映画感想 インシディアス5 赤い扉

 あれから9年……悪夢は再び目を覚ます。  『インシディアス 赤い扉』はシリーズ5作目。時系列としては、第2作目の後となっている。『インシディアス』は時系列がバラバラに作られてしまったので、整理すると3→4→1→2→5というのが正しい順番。ただし、その前の作品を踏まえた内容になっているので、時系列順に見るとかえってわかりづらくなっている。  今作の監督はパトリック・ウィルソン。『インシディアス』シリーズで主演を務めていたお父さんが、今作では初めての監督を務める。『インシディ

映画感想 牛首村

 駄目映画とは、どういう映画のことなのか?  今回は、和製ホラーを視聴しましょう。『牛首村』は2022年公開。ホラー映画のベテラン、清水崇監督。『犬鳴村』『樹海村』に続く村シリーズ第3弾……ということは、2作目を見逃しているのか。北陸地方に実在する坪野鉱泉が題材となり、実際の場所でロケもされた。  興行収入は5億6000万円。  『牛首村』に関する情報は、いろいろ探ったけどこれくらいしかなかった。まあたまには3行で終わってもいいでしょう。  それでは前半のストーリーを見て

映画感想 SMILE/スマイル

 青田買いしておきたいホラークリエイター。  今回は掘り出し物ホラー映画。Netflix配信映画『SMILE/スマイル』は2022年に米国劇場公開。日本では劇場公開もビデオ販売もされず、ネット配信だけされた作品。  監督のパーカー・フィンは1987年生まれだから、『SMILE/スマイル』が制作された時はだいたい35歳頃だ。映画監督としてはまだ若い。2019年頃、パーカー・フィンはチャップマン大学ドッジ・カレッジ・オブ・フィルム・アンド・メディア・アートのステージBで『ロー

5月19日 水原一平野球賭博事件ハリウッドでドラマ化(?)という話を聞いて思ったこと。

 水原一平による野球賭博事件がハリウッドでドラマ化するそうな……。  といっても、私は野球のことなんかな~んにも知らない。興味もまったくない。どうやらそういう事件があったらしい、しかもそれがドラマ化かあるいは映画化するかも知れない……という話をどこかで聞いた……程度の知識と関心しかない。 (私は野球知識もないし、関心もないから、水原一平や大谷翔平の顔もわからない。タイトル画像に写真を使っているが、合っているかどうかもよくわからない)  でもこの話題について、2つほど思うとこ

映画感想 女神の継承

 嘘か本当かわからなくなる、ホラー映画の秀作!  『女神の継承』は2021年制作公開、タイ・韓国合作の映画。映画の舞台はタイ、出演者はすべてタイ人で構成されているが、カメラの後ろ側にいるスタッフはタイ人と韓国人混成部隊……という構成になっている。  監督のバンジョン・ピサンタナークーンはWikipediaにページすら作られていないので、彼のプロフィールを少し掘り下げておこう。  バンジョン・ピサンタナークーン。1979年生まれ、タイ出身。タイ人の中でも中華系。バンコクのチュ

映画感想 シェイプ・オブ・ウォーター

 クリーチャーとの性愛を本気で考えた作品。  『シェイプ・オブ・ウォーター』は2017年のアメリカ映画。この作品でギレルモ・デル・トロ監督は第90回アカデミー賞作品賞・監督賞・作曲賞・美術賞を受賞。他にも第74回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞、第75回ゴールデングローブ賞で監督賞と作曲賞。他にも様々な栄誉を得た。  もともとの着想は、デル・トロ監督が子供時代に見た『大アマゾンの半魚人』。この作品の半魚人とヒロインが恋に落ちていたら……というところから着想をはじめ、リメイク

映画感想 ゴジラ-1.0

 『ゴジラ-1.0』は2023年11月公開の映画。監督はVFXクリエイター出身の山崎貴。初代『ゴジラ』よりもさらに前の時代である、「終戦直後」を舞台にした初めてのゴジラ映画だ。戦争が終わり、いよいよ復興……という時代にゴジラが出現し、徹底的にどん底へ叩き落とす、という物語になっている。  本作は第96回米国アカデミー賞で視覚効果賞を受賞。米国アカデミー賞で視覚効果賞を受賞するのは日本映画として初。アジア映画としても初。監督が同時に視覚効果賞を受賞したのは『2001年宇宙の旅』

映画感想 ミッション・インポッシブル7 デッドレコニングPART ONE

 今回もイーサン・ハント/トム・クルーズは飛んだ!  2023年公開『ミッション・インポッシブル』シリーズ7作目。タイトルは『デッドレコニング PART ONE』。原題は8作目のタイトルが変更になるらしく、劇場公開時に付いていた「PART ONE」が消えてしまうらしい。ただでさえ何作目かわからなくなるこのシリーズだから、「PART ONE」は残しておいて欲しかった。日本版には「PART ONE」は残っている。  監督のクリストファー・マッカリーはもともとは脚本家で『ユージュ

4月4日 『マトリックス』の第5作目が作られるそうです。その話を聞いて思ったこと……。

 マトリックスの5作目が制作決定!!  ただし、ラナ&リリー・ウォシャウスキーは制作から外れる。「制作総指揮」に名前を入れるそうだが、これはたぶん、名義だけを置いて制作に参加しないやつだ。ウォシャウスキー姉妹は制作には触れないのだろう。 (名前を置いておくだけで、権限は発生するので、変なモノを作らせないくらいの抑止力にはなる)  最初の『マトリックス』の頃を思い出そう――。  あの頃のウォシャウスキー“兄弟”は凄かった。その前作である『バウンド』からすでにキレッキレだった

映画感想 すずめの戸締まり

 あの時の心残りを辿って。  2022年は大作アニメが次々に公開された年だった。2月に『鹿の王 ユナと約束の旅』、4月にヒットシリーズ『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』、8月に『ONE PIECE FILM RED』、そして12月に『THE FIRST SLAM DUNK』。そんな年の11月に劇場公開されたのが本作『すずめの戸締まり』だ。他にもアニメ映画は多く、ほぼ毎月1本以上公開されていたほどだった。果たしてこの年のアニメ映画を全部見たという人はどれだけいるのやら。  2

映画感想 アリスとテレスのまぼろし工場

 「臭い」は生きていることの証。  岡田麿里監督第2回作品『アリスとテレスのまぼろし工場』。2013年9月に劇場公開。制作は前作『さよならの朝に約束の花をおくろう』に惚れ込んだ制作会社MAAPAが岡田麿里を監督として招聘。岡田麿里はその当時執筆中だった小説をそのまま企画として提出し、映画制作が始まった。  副監督は前作ではコア・ディレクターとして関わった平松禎史。平松禎史が絵コンテから作画までを担当した。  制作会社がPAWORKSからMAPPAに変わったのでスタッフは基本

映画感想 さよならの朝に約束の花をかざろう

 アニメ史上もっとも美しいエンディング。  『さよならの朝に約束の花をかざろう』はPAWORKS制作による2018年の作品。監督・脚本・原案は岡田麿里。岡田麿里といえば、アニメ界隈では知らぬ者はいない大ベテランの脚本家。『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない』『凪のあすから』『キズナイーバー』など岡田麿里脚本のヒット作は数知れず。その岡田麿里による原案による初の監督作品が本作。  副監督としてサポートに回ったのが篠原俊哉。『色づく世界のあすから』『凪のあすから』『RDG