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【気づき】ハサミムシが今アツい

先日会社の避難訓練があった。
地震が発生したというシチュエーションで社員全員が屋外の避難場所に集合するという流れだった。

全員居るかどうかの集計をしている時間が長くて前の人の背中をぼーっと眺めていたらそこに一匹のアブラムシを発見した。1mmくらいで翅が生えている薄緑色のハナクソみたいなやつね。

髪の毛の何倍も細い触角をぴょこぴょこ動かしながら背中を這っているアブラムシを見て

「そういえば俺には触角が生えてないな…」

と思った。これは多分俺が虫じゃないからだと思う。虫じゃなくて良かった。
逆に言えば俺の知る限り昆虫には皆触角が生えている。
もっと言えば触角だけじゃなくて脚は6本3対だし体は頭・胴・腹の構成だし、大体の場合翅も生えている。

ここで「同相器官」という言葉を思い出した。
クジラの胸鰭と人の腕、鳥の羽根のように、形は違えどその起源が同じと考えられている器官の事だ。

昆虫の同相器官について考えたら面白いかもしれない。
例えばカマキリの鎌とバッタの前脚(この表現で合ってんのかな?)とか。
これらも同相器官だが前者は強力な武器で、後者はただ草にしがみつくだけの機能しかない。
情けないバッタ。だからカマキリにむしゃむしゃ捕食される。

ハンターハンターのヒソカが天空闘技場でカストロに言った
ヒソカ「キミの敗因は容量(メモリ)のムダ遣い♥」
という格言が脳裏を過る。

ヒソカ「バッタの敗因は同相器官のムダ遣い♥」

ヒソカもそう言ってるし、どうせ進化させられるなら強い方がいいに決まってる。
前脚は鎌にして顎はクワガタにして脚はバッタにしよう。
なんかそういう仮面ライダーが居た気がする。
ここらへんで避難訓練が終わる。有意義な訓練だった。

後日ある昆虫の存在を思い出す。

ハサミムシだ。

よく考えれば意味が分からない奴が居た。尻にデカいハサミが付いている昆虫なんて他に見たことが無い。それどころかあのハサミの同相器官にあたる器官が分からない。
「腕が10本生えてるゴリラ」なんてものは居ない。哺乳類は皆腕が2本・脚も2本と決まってる。昆虫は手足が6本3対、頭・胸・腹で出来ていて触角と翅が生えているものだ。
ただハサミムシだけは尻にデカいハサミが付いてる。
そんなことある?腕が10本生えてるゴリラは案外身近に居た。

「ハサミムシ」で調べるとすぐに真相がわかった。
どうやらあれは「尾毛(びもう)」という器官が進化した姿らしい。
この尾毛はコオロギやゴキブリ、カゲロウなどで顕著な器官とのことだ。よく思い出してみればゴキブリの尻からも2本の毛のようなものが生えていた気がする。ハサミムシ以外の昆虫はこの尾毛を触角のように利用するそうだ。

ハサミムシ、凄すぎる。他の昆虫が触角のように使っている器官を強固に進化させて武器にするなんてロックンローラー。髪の毛を武器にする中国武術の達人みたいだな。使える器官はフルに活用する姿勢には学ぶべきものがある。

今、ハサミムシがアツい。

おわり

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