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ストレスについて本気出して考えてみたアラサーテレビディレクター

「帯状疱疹の原因はストレスですから、休息を取るだけではダメです」
と医者に言われた。
「ストレスの原因を取り除かないと、根本的な解決になりませんから」


と、言われても、
最近仕事で徹夜が続いていたわけでもないし、制作の佳境でもない。
プライベートを振り返っても、特に深い悩みはない。
所謂ちりつも、小さなストレスの積み重ねなのだろう。

自覚がないなら、なおさらちゃんと分析をしなきゃ。
会社に断って1週間まるっと在宅ワークに切り替え、ゆるゆる考えた。





まず、最近の仕事から振り返る。

最初に思いつくストレスは、オミクロン株の拡大でロケが急遽キャンセルになったこと。
数日がかりの勝負どころの撮影で、準備万端だっただけに悔しかった。
でも、理由がコロナなので、誰のせいでもない。
誰のせいでもないが、スタッフや取材先にスケジュール変更の迷惑がかかってしまった。
申し訳ない。誰のせいでもないけど。



もうひとつは、新しい人間関係が急増したこと。
私が属する番組チームはもともと数人で制作していたが、訳あって最近 数十人に拡大された。
新たなスタッフの皆さんは、親切で仕事熱心な方ばかり。本当に有難い。
でも、私自身が実は知り合いを増やすのがちょっと苦手だ。
初対面の人と仲良くなるのは得意だけど「得意=好き」ではない。
許されるなら”いつめん”で固まっているほうが精神衛生状態は良いタイプだ。
名刺を配りまくりながら、ちょっと人疲れしたのかもしれない。



そして最大の悩みが、自分の立場が変化したこと。
今まではいち下っ端ディレクターとして気楽に働いていたのだが、最近ちょっと背伸びしたポジンションにつきつつある。
テレビ業界は私のように新卒入社⇨20代からディレクターになる人が意外と稀なので(なぜか他業種の経験を経てからテレビ業界に来る人が多い)、
その結果、自分より10も20も歳上の先輩方に意見を述べなければならない場面が多々ある。
特に最近は、そうしたシーンに朝から晩まで直面しっぱなしだ。

「ここで私みたいな小娘がしゃしゃりでたら”生意気”って嫌われるよな…」とびびる自分を、「いやでも、番組のために意見を言うのは大切なことだから」と腹が座った自分が押さえつける日々。
周りとの距離を測って、会議での座り位置、言葉遣い、情報共有をする人の順序などなど、気にし出すとキリがない。メールの書き出しは「僭越ながら…」ばかりだ。
気にしすぎだと分かってはいるものの、最年少の緊張はなかなか解けない。
この役割を全うするには、今一度、腹を括り直す必要がありそうだ。



プライベートはどうだろうか。
自分がどんな時にイラっとするかを片っ端から挙げてみたら、些細なことばかりで笑ってしまった。


ゴミ箱が溢れそうなとき、
湯船に髪の毛が浮いていたとき、
筋トレをする時間がとれなかったとき、
洗濯物をベランダで干せず乾燥機ばっか使ってるとき、
花瓶の花が萎れたままのとき、
ベッドシーツと枕カバーがしばらく洗えていないとき、
追い払ったはずの鳩がひょっこりベランダにやってきたとき、
アラームで目が覚めてしまったとき、
ヒール履こうと思ったのに雨が降ってたとき、
毎週聞いているラジオをうっかり聞き逃してしまったとき、
ouraのデータがうまくとれてなかったとき、
今日帰ってくるって言った同居人が連絡なしで帰ってこなかったとき、
クロームキャストの読み込みがうまくいかないとき、
そして、料理ができていないとき

特に、「自分で料理したものを自分で食べれない」ことは、私にとってなぜかとてもストレスらしい。外食やUberや惣菜レンチンが数日続くと、無性に虚しくなる。

逆に、自炊できた日はすこぶる気分がいい。
できたての温かさが身体に染みるのか、料理の過程が創作意欲を満たすのか、「自分のために自分の手間と時間を投資した」実感なのか。
理由はわからないが、とにかくキッチンに立てた日は嬉しい。別に料理の腕は平凡だし、凝ったメニューも作れないが、最悪 納豆ご飯と卵焼きだけでも作れたら満足だ。


数日間 朝昼晩自炊をした。些細な生活ストレスもできるだけ避けた。そしたら、あっという間にご機嫌になった。気分は最強無敵。
心の健康って簡単なことの積み重ねなんだなぁ〜と小学生のようなことを今更実感した。あぁ白湯がうまい。







***

ストレスフルだと言われる東京で
ストレスフルだと言われる仕事をしながら
ストレスについてここまでざんざん書いたところで、
オードリー若林さんがラジオで話していたことを思い出す。

若林さんがモンゴルにロケに行った際、
悠々自適に暮らす遊牧民を見て「ストレスを感じることはありますか?」と尋ねたところ、そもそも彼らの言語には「ストレス」にあたる言葉が存在していなかった、という話だ。




私がここまで挙げたものって、「ストレス」なんだろうか。
結局ただ「仕事上の課題」と「自分のご機嫌の取り方」を列挙しただけかも。

そう思うと、「ストレス」ってあんまりいい言葉じゃないなぁ。
人に話して盛り上がる話題でもないし、他人のストレス話を聞いても全然楽しくない。むしろ不愉快。
使いすぎるとネガティブになる、呪いみたいな言葉。安易に使うのやめよ。



さすがにモンゴルの遊牧民にはなれないけど
私の帯状疱疹の原因は「仕事が次のフェーズに差し掛かっていて、最近自炊できてなかったから」に決めた。

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