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鮫革命(シャークレボリューション)

※この記事は『BAD CGI SHARKS 電脳鮫』のネタバレを含みます

 本を読むときや映画を観るとき、私は新しい何かが欲しくなる。「その発想はなかった」が少しでも含まれていればグッとくるし、 それが好みの状態でお出しされれば小躍りしてしまう。本作『BAD CGI SHARKS 電脳鮫』はまさにその好みだけで一点突破してきた。

 本作ではクソCGサメが登場人物を襲う。このサメは水を必要としない。陸を漂い登場人物を追いかけまわす。ただし走って逃げる主人公たちよりも遅い。

 サメは何度もフリーズしカメラを貫通する。ただCGの出来はサメ映画の中ではそこまでひどくない気もする。サメは周囲のオブジェクトと融合し、奇怪な姿へと進化していく。そしてついには自らの存在理由を探り始める。

「それが私の存在理由か?だから私の脳は殺意で満ちているのか?」

 自らの存在理由を探る作品は名作が多い。ゴシック小説の代表、メアリー・シェーンの『フランケンシュタイン』では、まさに自分が何者かという問いが『フランケンシュタイン』をただのパニックホラーと違うものにしている。本作でもクソCGサメは後半、サメ映画におけるサメの在り方を知り、サメ映画のサメ代表として一つの選択を突き付ける。

 B級映画らしいシーンやあるあるの楽しさを超え、はっとする驚きに満ちた作品だった。サメ映画愛好家はぜひ見てほしい一作品だ。


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