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編集工房けいこう舎マガジン
2022年4月3日 01:08
壺井栄をナメるなよ !(その6) 栗林佐知←(その5)からつづき■ 主婦を大事にせよ! というフェミニズム 当時の女性読者からも指摘があるように、「ミネ」=栄の結婚観は、やはり、今日の私たちの目からも、いかがなものかと思われる。 小説「妻の座」は、まごうかたなきフェミニズムの叫びだが、壺井栄じしんは、「家族制度は女を不幸にする」といった思想を持っているのではないのだ。 娘時代、郵
2022年4月3日 00:34
壺井栄をナメるなよ !(その5) 栗林佐知←(その4)からつづき■「妻の座」への評価 それにしても、このモデルになった出来事は、いろんな点で「変ちくりん」である。 「妻の座」については、のちに(後述)、さまざまな論評が登場したが、その多くは、モデルとなった人々の行動への批判のようだ。 そして、当時の男性評論家でさえ(いや、1970年代以降の男性より、1950年代の男性のほうが進歩
2022年3月27日 02:23
壺井栄をナメるなよ !(その4) 栗林佐知←(その3)からつづき■「妻の座」のあらすじ 「妻の座」は、そんな栄の戦後の停滞期の中で書かれた、特別な作品だ。 まず、内容、あらすじを追ってみよう。 ……4人の子どもをかかえ、愛妻を亡くして困っていた「野村」(モデル:徳永直)は、「裁縫ができて優しい人」を紹介してほしいと、同じく進歩的な作家仲間である「ミネ」(モデル:壺井栄)に頼む。