野口良平「幕末人物列伝 攘夷と開国」 第二話 高山彦九郎(7)
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失意の彦九郎を江戸で力づけたのは、十年来の友人で中津藩士の簗次正(1751-1829)だった。簗は、同藩の蘭学者前野良沢に一節截(古風な尺八)を習い、良沢の息子達(良庵)とも親しかった。彦九郎はその縁で前野家の客となった。
前野良沢(1723-1803)は、長崎留学中に入手したオランダ語の解剖学書『ターヘル・アナトミア』(原文ドイツ語)の翻訳を主導し、杉田玄白、中川淳庵、桂川甫周