野口良平「幕末人物列伝 攘夷と開国」 第二話 高山彦九郎(5)
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彦九郎は、30数か国を精力的に遊歴した旅行家であり、体系的著作のかわりに彼が書きのこしたのは、29種41冊の膨大な旅日記だった。
総髪帯刀の彦九郎は、列島各地を一人の草莽(在野の有志者)として見て歩きながら、「義」とは何かを語り合える師友とのネットワークを作った。各地の善行者を訪ねてはその記録を作り、勝手に顕彰したりもした。
遊学や修業、講やおかげ参りなど、さまざまな身分や