野口良平「幕末人物列伝 攘夷と開国」 第二話 高山彦九郎(11)
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11(最終回)
6月19日、筑後久留米の旧知の医師森嘉膳宅に現われた彦九郎は、明らかに異状を呈し、指で歯を鳴らし歯ぎしりを繰り返すので、森は脈を診て薬を与えた。
森家の客となった彦九郎は、1日ずつ父、祖父、祖母を拝んだ(『筑紫日記』、17日には母を拝んでいた)。
26日、旅日記などの書類をたらいの水に浸し、揉み破りはじめる。なぜそんなことをするのかと森が問うと、狂気なり、と答えた。