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人工知能(AI)・ディープラーニング・ニューラルネットワークの概要【高校情報2】人に求められる資質・能力の変化(学習5)

【動画】人に求められる資質・能力の変化(学習5)

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今回は、人工知能AIの発展の歴史と情報システムの発展、これからの未来を生きる人に求められる資質・能力の変化について解説していきます。

通信技術の発達により,複数のシステムを連携させ,新たな社会生活上のサービスが生まれるようになってきています。

例えば、災害情報共有システムである、Lアラートでは、
情報発信を行う市町村、都道府県、中央省庁などそれぞれに設置された防災システムの情報をLアラートのシステムに集めています。
そしてその情報を、情報の伝達を行う、テレビ事業者、ラジオ事業者、ネット事業者、携帯電話事業者などに配信し、テレビ・ラジオ・インターネット等様々なメディアを通じて地域住民に届けられます。

引用:総務省|平成28年版 情報通信白書|防災×ICTの推進 (soumu.go.jp)

また、コンビニなどの小売業で導入されるPOSシステムでは、販売時点の商品情報が記録され、商品管理の手間が減るだけでなく,売上時の情報を記録し仕入れを担うシステムと連
携することにより,売れ行きの良い商品を無駄なく仕入れられるなどの効率化が図られるようになってきています。

個人が利用しているAmazonなどのショッピングサイトについても
購買情報から商品の発送データが運送会社に送られ,その配送情報がネットショッピングサイトの個人ページに反映されるだけでなく,電子メールやLINEなどによる配送日時の連絡も行われています。
また、配送日時及び配送場所の変更なども柔軟に対応できるようになってきています。

再購入の際には,自分の購買履歴から簡単に再注文ができたり,また,自分や他人の購買履歴データベースからその人に合ったお勧めの商品を表示してくれます。
このような、Webサイトの閲覧者に対しておすすめの商品やコンテンツを表示する機能をレコメンデーションと言います。

このように,ネットワークを通じていろいろな情報システムが連携していくことにより,私たちの社会生活は更に便利になってきています。

★Society5.0
情報システムが互いに連携して発展した近未来の姿としてSociety5.0があげられます。
Society5.0は、超スマート社会とも呼ばれていて、「必要なもの・サービスを,必要な人に,必要な時に,必要なだけ提供し,社会の様々なニーズにきめ細やかに対応でき,あらゆ
る人が質の高いサービスを受けられ,年齢,性別,地域,言語といった様々な違いを乗り越え,活き活きと快適に暮らすことができる社会」と定義されています。

また、第4次産業革命によって,新しい価値やサービスが次々に創出され,人々に豊かさをもたらす,人間中心の社会であることも示しています。
これまでの情報社会では、人が情報を集め,分析し,操作してきたものが,
Society5.0では,センサ情報が自動収集されてAI(人工知能)がそれを解析し,最終的に人間に提案したりします。
また,工場での生産においても、自動的にロボット自身が操作を学習して生産できたりするなどが挙げられます。

情報システムの連携とともに,(AI)人工知能の発展も私たちの生活に大きな影響を与えています。
近年、AI(人工知能)という言葉を多く聞くようになったと思いますが、,人工知能の研究は1950年代から続いています。
その、状況は大きく3つの大きなブームに分かれると言われています。

1950年代後半~1960年代の第一次人工知能ブームでは,探索と推論がテーマで圧倒的なコンピュータのパワーを用いて探索し,あらゆるパターンを推論するというもので、例えばチェスの対戦様なものでした。しかし、チェスのようなルールのある限定したもの以外では条件を付けることが難しく,1970年代は冬の時代を迎えることになりました。

1980年代の,第二次人工知能ブームは,エキスパートシステムと呼ばれる専門的な知識を学習させ,特化したAIを作るというものでした。
しかし、生活に役立てようとしたときに,専門的な知識以外で深く関連する「常識」や「抽象的な表現」を体系付けたり学習させたりすることが非常に難しく,再び冬の時代を迎えることになりました。
コンピュータが知識を得ることの難しさは「知識のボトルネック」と呼ばれています。

2000年代から現在も続く第三次人工知能ブームでは,人工知能自身が知識を獲得する機械学習が実用化され,更に知識を定義する要素もディープラーニングなどにより習得可能になった
ディープラーニングとは、深層学習とも呼ばれ、
十分なデータ量があれば、人間の力なしに機械が自動的にデータから特徴を抽出してくれるディープニューラルネットワーク(DNN)を用いた学習のことです。

よくわからないと思うので、もう少し掘り下げて説明していきます。
ニューラルネットワークとは、人工知能を作るための仕組みのことで、生物の脳を構成する神経細胞であるニューロンの構造と働きをモデルにしたものです。
ニューロンは、動物の脳で情報処理と情報伝達に特化した機能を持つ神経細胞になります。

ニューラルネットワークは、データを入れる入力層、入力層から流れてくるデータを処理する中間層、結果を出力する出力層で構成されています。

さらに、ディープラーニングは、複数の中間層からなるもので、十分な学習データさえあれば、ニューラルネットワーク自体がデータ群の特徴を自動抽出することが可能です。

今説明したAI関連用語の関係性を説明していきます。
まず人工知能(AI)は一番大きな枠組みで、コンピュータに人間と同様の知能を持たせようという取り組みやその技術のことを言います。

その中に、機械学習があります。
機械学習は特定のタスクをトレーニングにより実行できるようになるAIのことで、人が特徴を定義します。

機械学習の中にニューラルネットワークがあり、その中にディープラーニングがあります。
ディープラーニングは今説明したようにマシンが特徴を自動で定義します。

ビッグデータを「ディープラーニング」を用いた人工知能の学習モデルで扱うことにより,今までは不可能と思われていた囲碁のトップ棋士をAIが破るということが現実となっています。

機械学習については、教師あり学習などさらに色んな種類がありますので、また別の単元で詳しく説明していきます。

人工知能が実際のサービスにおいて果たす役割としては,「識別」「予測」「実行」という大きく3種類があるとされています。
まず、識別では「音声認識」や「画像認識」「言語解析」など,
予測では「数値予測」や「ニーズ予測」など,
実行では「作業最適化」や「作業の自動化」など
が挙げられていて,これらの役割や機能がそれぞれ組み合わさって実用化されています。

人工知能は,今後,識別・予測の精度が向上することによって適用分野が広がり,ディープラーニングや,より新しい手法が開発され,更に向上していくと見込まれています。


ディープラーニングをベースとするAIの技術的発展について,2020年代前半には,家事・介護等の他者理解など文脈に合わせた環境認識・行動がとれるようになり,更に翻訳などの言語理解も進んでいくとされています。

しかし、学習の元となるデータに不備や悪意があった場合,現在の人工知能は,判断した内容そのものが常識や倫理的に適切かどうかを判断することができません。
そのため、誤った判断や行動をとってしまう可能性があります。
人間中心で,人がより便利で幸せに生活するためにも,人工知能をどのように学習させ役立てていくのかは,人間が適切に決めていく必要があります。

そのためには,コンピュータの仕組みや特性を理解し,データベースやプログラミングなどの情報技術を身に付け,新たな価値を生み出すとともに,哲学や倫理学などを学び,それ
を適切に活用できるようになることが重要になってきます。

総務省「平成26年版情報通信白書」によると,
仮にこのままの速度で演算速度が向上していくと仮定すると,2025年には,人間一人の脳を完全にシミュレーション可能な性能に達するとあります。

また、アメリカの学者であるレイモンド・カーツワイル氏によれば,2029年にはAIが人間並みの知能を持ち,2045年には,AIなどの技術が自ら人間より賢い知能を生み出すことが可能となり,人間の知能を超え,人間の想像を超越して社会が進化していく「シンギュラリ
ティ」(技術的特異点)が来ると予測しています。

一方では、現状は,AIの定義が明確に定まっていないので,何をもってシンギュラリティの到来とするかの判断が困難であるという考え方もあります。

ただ,いずれの場合もAIが今後ますます発展し,人間社会に入り込んでいくことには疑う余地がなく,そして,人間の仕事を代替していくことについても多くの予測がなされています。

―――
しかしAIやロボットによる、自動化が難しい職業もあります。
抽象的な概念を整理・創出する能力が求められる、創造的思考力が必要なものとして
例えば、芸術,歴史学・考古学,哲学・神学など

そして、理解・説得・交渉といった高度なコミュニケーションをしたり,サービス指向性のある対応が求められる ソーシャル・インテリジェンス

役割が体系化されておらず,多種多様な状況に対応することが求めらる、非定型 があります。
―――
AIはあくまでも人間の命令に基づくコンピュータです。
AIにどのような振る舞いをさせるのかという手順を決め,AIが出したデータのまとめを解釈しながら最終決定を下すのは人間です。
AIの仕組みや特性を知ったうえで,そのインタフェースは人間にとって分かりやすくデザインされ,人間がストレスなく活用できることが重要になってきます。

今回の、人工知能AIの概要 人に求められる資質・能力の変化の単元は以上になります。
最後までご視聴ありがとうございました。

【キーワード】

POSシステム、情報システム、レコメンデーション、Society5.0(超スマート社会)、ディープラーニング(深層学習)、ディープニューラルネットワーク(DNN)、ニューラルネットワーク、機械学習、シンギュラリティ(技術的特異点)

【引用・参考文献一覧】

文部科学省 教員研修用教材

https://www.mext.go.jp/content/20200609-mxt_jogai01-000007843_002.pdf

出版各社 情報Ⅱ検定教科書(キーワードを抽出)

Society 5.0 - 科学技術政策 - 内閣府 (cao.go.jp)

総務省|平成28年版 情報通信白書|人工知能(AI)を利活用した事例 (soumu.go.jp)

レイ・カーツワイル - Wikipedia

ディープラーニング(深層学習)とは? 機械学習との違いや仕組み、実用例をわかりやすく解説 - 株式会社モンスターラボ (monstar-lab.com)

#ディープラーニング #人工知能 #情報

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