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【高校情報1】個人情報保護法・プライバシー・肖像権/情報社会の法規とモラル(学習3)

◆◆はじめに◆◆

文部科学省:高等学校情報科「情報1」教員研修用教材  
第1章 情報社会の問題解決
 学習3 情報に関する法規・情報モラル

高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(本編):文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1416756.htm

学習3の個人情報の部分について解説しました。
肖像権とプライバシーマークについては、教員研修用教材には詳細ありませんが、現行の「社会と情報」の教科書には説明があるため、それもまぜて動画解説しています。

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◆◆動画解説◆◆


◆◆文字おこし◆◆

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先に問題です。
20世紀は〇〇が富を生む、21世紀は〇〇が富を生むといわれています。
それは何でしょう
正解は
20世紀は石油が富を生む、21世紀はデータが富を生むです。
今話題のAI人工知能も様々なデータが蓄積されて、どんどん進化してきています。
データを扱う上で注意しなければいけないものは個人情報

今日は、情報に関する法規、情報モラルから個人情報保護について学んでいこう

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今の情報社会では、インターネット等を通して個人の情報が頻繁にやり取りされているよね。
例えば、AmazonやYahoo等でものを買ったり、何かのサービスに加入する場合も住所氏名電話番号などが必要になることが多いよね。

2003 年に成立した「個人情報の保護に関する法律」略して「個人情報保護法」では,個人情報を
 「生存する個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述などによって特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ,それによって特定の個人を識別することができることとなるものを含む。),または個人識別符号が含まれるもの。」と定義している。

特に、氏名、住所、生年月日、性別の4つを「基本四情報」という。

 個人情報の例としては,マイナンバーやパスポート番号などの個人識別符号をあげることができる。
同姓同名がいない場合は,氏名がわかれば個人を特定することができるよね,
他にはDNA,虹彩,指紋,声紋などの生体情報も個人を識別するものとして利用することができる。

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誰にでも、他人に知られたくない情報があるよね。
例えば、本や薬の購入履歴、食べ物や音楽の好みなど他人に勝手に踏み込まれたくない個人の私生活上の自由を「プライバシー」という。

最近は写真や動画が簡単にスマートフォンで撮影できるからプライバシーには気を付けなければいけない。
本人の許可なしに顔写真などの肖像を撮影されたり、利用されたりしない権利を「肖像権」というんだ。
友達が写っている写真をSNSなどでやり取りしたい場合は、事前に本人の承諾を取っておく必要があることを覚えておこう。
そして、有名人の場合は、肖像自体に商品価値がある。それを他人に勝手に使われない権利をパブリシティ権と呼ぶ。

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個人情報が流出すると、プライバシー侵害などのトラブルになる可能性がある。
個人情報に対して適切な保護措置を行っている会社などの事業者に与えられるマークとして、プライバシーマークがある。
これは一般財団法人日本情報経済社会推進協会が制定しているものなんだ。
このマークを取得することで、事業者は個人情報の保護に関して信頼を得ることができ、消費者はその事業者が個人情報の扱いが適切であるかを判断することができる。

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OECD(経済協力開発機構)では,「プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドライン」をプライバシーの勧告として公表している。
これは,OECD プライバシー8原則ともよばれていて
1.収集制限の原則             5.安全保護の原則
  2.データ内容の原則            6.公開の原則
  3.目的明確化の原則            7.個人参加の原則
  4.利用制限の原則             8.責任の原則
となっている。

 日本では,この勧告を受けて法整備が行われ,2003 年に個人情報保護法が成立し,2005 年に全面施行された。
2015 年の改正の際に「3年ごとの見直し規定」が設けられて現在に至っている。

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 個人情報は自分でコントロールしていくものだから,当然だけど個人データを勝手に第三者に提供したり,提供されたりしてはいけない。
法人の場合もグループ会社や子会社への提供も第三者への提供となる。
提供する場合には原則としてあらかじめ本人の同意を得なければならない。
ただし,犯罪や生命にかかわる場合等は例外的に,本人の同意を得なくても個人情報を提供することができる。

●法令に基づく場合(例:警察,裁判所,税務署等からの照会)
●(本人同意取得が困難で)人の生命・身体・財産の保護に必要
 (例:災害時の被災者情報の家族・自治体等への提供)
●(本人同意取得が困難で)公衆衛生・児童の健全育成に必要
 (例:児童生徒の不登校や,児童虐待のおそれのある情報を関係機関で共有)
●国の機関等の法令の定める事務への協力(例:国や地方公共団体の統計調査等への回答)
●委託,事業承継,共同利用
出典:「個人情報保護法ハンドブック」(個人情報保護委員会)
  (https://www.ppc.go.jp/files/pdf/kojinjouhou_handbook.pdf)

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個人情報保護法は,随時改正されている
 2015 年の改正では,パーソナルデータの利活用を推進するため,本人の同意を得ずにデータの受け渡しが可能となるよう,適切な加工を施した情報を匿名加工情報として新たに定義している。
適切な加工とは,特定の個人を識別できないようデータを加工するとともに、元の個
人情報への復元を不可能にする加工のことなんだ。

20世紀は石油が富を生む
21世紀はデータが富を生むといわれている

匿名加工情報を活用することにより,
例えば、ポイントカードの購買履歴や交通系IC カードの履歴等を複数の事業者間で分野横断的に利活用することにより,新たなサービスやイノベーションを生み出す可能性

医療機関が保有する医療情報を活用した創薬・臨床分野の発展や,カーナビ等から収集される走行位置履歴等のプローブ情報を活用することにより渋滞予測や天候情報の提供等,国民生活全体の質の向上に寄与する可能性がでてくる。
  出典:「匿名加工情報」(個人情報保護委員会)
  (https://www.ppc.go.jp/personalinfo/tokumeikakouInfo/)

「様々な形をした、様々な性格を持った、様々な種類のデータのこと」
をビッグデータと呼ぶ

今、話題になっているAI 人工知能もこのようなデータの蓄積によって、精度が向上しているんだ。

今回の個人情報と前回の動画で説明した知的財産権も合わせて、情報モラルを身につけていこう。






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