見出し画像

「宇宙の話で何時間でも盛り上がれる」という奴が一番つまらない|「趣味の話」【ガムトーク第2回】

 トークの話題を提供してくれるボードゲーム・カードゲームの『ガムトーク』。今回はその中からランダムに引いた「趣味の話」を書く。

他愛のない話の必要性、宇宙の話のつまらなさ

 私は趣味の話が大好きだ。自分が話すのはもちろん、他の人の趣味について聞くことが大好きだ。初対面の人には「ご趣味は?」と聞きたいし、実際に聞くと「お見合いかよ」と言われてしまうが、それでも聞きたい。その人が何について興味を持っているかで人柄も分かるし、自分の分からないことを掘り下げて聞けるきっかけになり得るからだ。話している方は好きなことを話せて気持ち良いし、良いことしかない。

 が、最近になって趣味の話を望んでない人がいることに気付かされた。

 先日、久方ぶりに妻の実家に行ったときのこと。私は妻の親戚と顔を合わせるのはわずか2回目ということもあり、これを機に少しでも仲良くなりたいと思っていた。どこかで趣味の話とか、好きな〇〇みたいなこと話をして、あわよくば自分の話もして距離を縮めようと思っていた。
 そんな中、義母と義姉夫婦の間で行われる会話。孫の話。それのみ。背が伸びた、学年で一番大きい、野球の試合でどうだった、そんな他愛のない話ばかり。別々に暮らしていて互いの情報が少ない2組の共通の話題として、孫というテーマは非常に分かりやすい。納得できる。
 しかし、これは私が求めているものとは真逆だ。その人の興味とか、芯とか、そういうものを知りたいのだ。別にそれは共通していなくても、共感できなくても良い。私はギャンブルを一切やらないが、パチンコで稼ぐためにいかな努力をしているか聞くのは楽しいし、アイドルにはまったく興味がないが、何がそんなに魅力的なのかという熱量のある話は聞きたい。

 だが、私のような考え方の人は意外と少ないようで「もし価値観が違ったら」と恐れて、踏み込まないのが一般的なようだ。思い返してみれば、私自身趣味や好きなものについて聞かれたことはあまりない気がするし、踏み込もうと思っても相手があまり話してくれなかったことがある。
 仕事のような利害関係がある相手や、親戚のように縁を切れない相手に対しては他愛のない話をするのが普通なのだ。私の方が少数派なのだ。

 余談だが、私の前の職場の社長が自慢げに「社長同士の飲み会のときには宇宙の話で何時間でも盛り上がれる」と言っていたことがあるが、それもそういうことなのだろう。ただ、私は素人の妄想しかない宇宙の話はつゆほども興味がなく、冷めた目で見ていた。どうせ次のような話だろう。「宇宙は広いのだから宇宙人は絶対にいる」、「人間より文明が発達した星があるから、宇宙人はすでに地球に来ている」、「酸素がないところで生きられる生物や、温暖でない気候に適応した生物が広い宇宙にはいる」、そんな可能性はゼロではないからいくらでも妄想ができるような話、しかも素人による話は本当につまらない。というか、そんな話ができる自分を面白いと思っている奴が一番つまらない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?