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心理的安全性と心理的安全性憧れ

何でも聞いて!何でも言っていいんだよ。我々は平等で上下なんて無いんだから!

「心理的安全性憧れ」の企業が増えて、こんな事をよく聞く様になった。
憧れてるだけに、中身が伴ってない企業に出会う。
もう2社ほどそんな会社に出会ってしまい、もはや心理的安全性の話をしてきたら、それは「危険信号」と捉えている。

ちなみに心理的安全性(Psychological Safety)とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のこと。1999年に組織行動学を研究するエドモントンソンさんが提唱した心理学用語で、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義している。メンバー同士の関係性で「このチーム内では、メンバーの発言や指摘によって人間関係の悪化を招くことがないという安心感が共有されている」ことが重要なポイントの様だ。

だからなんだ?と思う人は聞いてほしい。
この心理的安全性が保たれているチームと保たれていないチームでは売上げに差が出るというのだ。Googleが全世界のGoogle社員のチームを調査したところ、心理的安全性が保たれている vs 保たれていないでは、営業利益に20%以上の差が出たらしい。マジかよ、Googleである。

当然と言えば、当然の結果かもしれない。押さえつけらた環境下では自分のベストなパフォーマンスを出すのは難しいだろう。イチローならやれるのかもしれないが、我々はイチローではない。
大袈裟に言うと、雑談ができる環境がちょうど良いのかもしれない。またGoogleの例を出して、Googleの回し者の様だが、Googleのヒット作の多くは雑談から生まれているらしい。マジかよ、Googleである。

この心理的安全性が本当に保たれている企業は素晴らしそうだが、心理的安全性憧れの会社は要注意だ。
私が出会った2社の話をしよう。

1社目
自由やオープンカルチャーを掲げるA社。自由とオープンを傘にシニアが言動を牛耳っている。新入りでもアイデアは出せる。発言は止められない。ただ採用されることは無い。前例のないアイデアは尚更だ。
自由とオープンを傘に歯に絹着せぬ物言いで、いじめの様な状態が広がり、全てを染めていった。
出世するには染まるしかない、そんな雰囲気の会社である。

2社目
家族経営スタートアップ。家族経営にしたくない、と、口では言っているが、実情は家族経営宜しく。トップの意見は既に2票が投じられている状態。強い同調圧力が会社全体を染めていっている。その2票が神の2票だ。もはや心理的安全性を保つ気も無いかもしれないが、業界をリードしたい気持ち満々なので、成長には避けて通れない選択だろう。

日本企業は同調圧力に染まりやすいのでは無いか。流されるのは楽だ。歯向かうのは体力がいる。それでも心理的安全性に憧れる。
自分達はイノベーティブな集団なのだと言いたいのが1割、新しい働き方を受け入れていますと言いたいのが1割、自分達は違うと言いたいのが1割と、複雑なソーシャルポリティクスが絡み合って心理的安全性憧れ会社は誕生していそうだ。

心理的安全性を謳うことは、プラスなのだろうか?マイナスなのだろうか?
会社にとっては評価に繋がりプラスかもしれないが、社員にとってはそうでも無いと言うのが私の感触だ。心理的安全性憧れという紛い物を見つけ出すには、働き始めないと分からない。これはコスパが悪い。

どうかお願いです。私たちは心理的安全性に憧れていますが、現在それは担保されていません。将来的にそうなったら良いなと思うし、そうしていきたいと思っています、と、正直に言って欲しい。

皆さんの会社は心理的安全性が保たれていますか?それとも心理的安全性憧れですか?

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