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影響力の武器をまとめてみた 其の一

「かちっ・さー」

様々な種の動物がしばしば固定的で自動的なパターンがあることに気づいた。
これは固定的動作パターンと呼ばれるが、こうした行動の連鎖は、人間の自動的反応(かちっ、さー)と似ている点で注目されている。

「かちっ、さー」とは行動パターンを録音したテープが場面に合わせ再生ボタンをかちっと押すとさーとテープが回ることを表している。
考えずとも勝手に行動できるようにすることで人間は無意識に楽している。
この自動行動が騙されたりする原因になっていることが多い。

このような手っ取り早い反応の利点は、その効率性と経済性にある。
役立つことが多い信号刺激に自動的に反応することによって、人は貴重な時間やエネルギー、精神を節約できる。
この反応の欠点は、愚かで高くつく間違いを犯しやすくなることである。

利用できる情報のうち、たった一片だけに反応することによって間違いを犯す可能性が増す。
間違いを犯す可能性が一層高まるのは、ほかの人間が何か利益を得ようと企んでいるときである。
彼らは刺激信号を操作して、自分が望む反応を相手にとって不適切な場面で引き起こさせようとする。

承諾の過程の多くは、自動的で簡便な反応を行おうとする人間の習性にのっとったものである。
私たちの文化の中では大多数の人が、承諾を導く信号刺激を備えている。
そしてこれらの信号刺激を、自分の要求を通す武器として用いる人びとがいる。


返報性~昔からある「ギブ&テイク」だが…

社会学者や人類学者によると、人間文化の中で最も広範囲に存在し、最も基本的な要素となっている規範の一つに返報性のルールがある。
このルールとは、他社から与えられたら自分も同じようなやり方で相手に返すように努めることを要求する。

行為の受け手が将来それに対してお返しすることを義務付けるので、人は自分が何かを他者に与えてもそれが決して無駄にならないと確信できる。

全人類はこのルールを忠実に守るべきこと、守らないと重大な社会的不承認を被ることを子供のころから叩き込まれる。

他者の要求に応ずるか否かの決定は、頻繁に返報性のルールからの影響を受ける。
承諾誘導のプロたちが好んで使う儲けの手口の一つに、最初に何か与えておいて、相手からお返しを求めるという方法がある。
このやり方が使われる特徴が三つある。

返報性のルール三つの特徴

第一に、このルールが非常に強い力を持っている点。
その強さは普通であれば要求に応ずるか否かを決めるはずの諸要因の影響力を凌駕してしまうほどです。

第二にこのルールは望みもしない行為を最初から受けた場合にも適用される。
借りを作る相手を自分で選びにくくなり、その選択を他者にゆだねることのになる。

このルールは私も衝撃を受けた、もらって嬉しかったなどと関係なく望んでいないものをもらっても何かを返さなくてはという感情になるのだ。
保険の営業なんかでやたらサービスされて仕方なく保険の商品を買うなんてことあるよね。
#ド偏見

第三にこのルールは不公平な交換を助長する場合がある。
恩義を受けっぱなしにしているという不快な感情を取り除こうとして、人は受けた親切へのお返しに、それよりも大きな頼みを聞いてしまうことが多い。

ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック

返報性のルールの基本型に応用を加えて承諾を引き出すやり方がある。
最初に親切を施してその見返りを期待する代わりに、最初に譲歩して、そのお返しとして相手の譲歩を引き出すのである。

相手の譲歩に返報しなければならないという圧力を使って承諾を引き出す。
次にそれよりも小さな要求に引き下げる。そうすると要求の引き下げが譲歩に見えるため、小さな要求が通る傾向が強まる。

「拒否したら譲歩」法を用いた場合、相手がイエスという傾向が強まるだけでなく、相手がその要求を実行し、将来の同じような要求にも同意する傾向が強まる。

返報性のルール防衛法

返報性のルールを使って私たちを丸め込もうとするものに対する最善の防衛法は、他者の最初の申し出を杓子定規に拒否することではない。
むしろ最初の親切や譲歩は誠意をもって受け入れ、後に計略と分かった時点で、それを計略だと再定義しておくことである。

再定義が成功すれば、受けた親切や譲歩のお返しをしなければという気持ちにはならないのである。



次回影響力の武器まとめ続き。




















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