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日々記2024.04.02~06

先日、京都の誠光社という本屋に行った。

隣のカフェが満席だったので、予約待ちしている間にじっくりと棚を見て回った。

『歌というフィクション』という本が目に留まる。まえがきを読むと、何も詳しくないけれど興味はある言語学に関連させて「歌」を読み解くというような内容のようなので、いつか読みたいと思う。

続いてアガンベンの『バートルビー』論を手に取る。アリストテレスの名が見えて、いつか見たツイートを思い出す。アリストテレス、プラトン、トマス(アクィナス?)、スピノザ、カントの理解度が、現代哲学の理解度を左右するというような内容で、いつか読めたらなぁと思っていた。そういうこともあり、いつか読むことができたらなぁという思いを熱くするのだった……

右に左に、前に後ろに目を向けていく。

これまたツイッター情報なのだけれど、グレゴリー・ケズナジャットさんの『単語帳』が書店でなかなか見当たらない、と。見当たらないということは(比較的)レア。レアなものに滅法弱い僕は本と本の間にその薄い一冊を見つけて、あらすじを読んだ。

前回の日記で、翻訳に関してどうのこうのと言ったんだけど、それに際して、そういう翻訳に関してどうのこうのする人が主人公の本が気になっていた。

これは長くなるけど。

最近ジャズ喫茶に行った。素人だ。そこで出会った曲があまりにもよくて、僕はジャズを少しずつ聴くようになり、ジャズの映画を見たりもした。

今までは正直なところ、敬遠していた。ハマるかどうか、とか、知識を渇望するようになるか、とか、聞きどころをわかったほうがいい、とか、膨大な知識があってはじめて楽しめるものなんじゃないか、とか、一見さんお断りの店があったり、とか、これが好きっていうととにかく腐してくる人がいるんじゃないか、とか。理由はいろいろあった。

けど、ジャズ喫茶に対する憧れもあった。その道の人からしたら鬱陶しいかもしれない。そう思って遠慮してきた。

けど、ふと思い立って、妻にも助けられて二人で行って、出会った曲が素晴らしかった。

そこで思った。もうにわかでもなんでもいい。

人生でとにかく「いい」って思えるものには、触れられるだけ触れておくべきだと思った。別にジャスの名盤を根こそぎ知らなくてもいい。知ってればなおいいけど、知らなくてもいい。絶対に賛同されないだろうけれども、それでもいいから、知っておくべきだと思ったのだ。まぁなんだかんだで本を読んだりしているのだけれど。

そんなこんなで、シティポップもちょっと齧っている。というより齧りはじめだ。

それと関連して、わたせせいぞうのコミックを買ってみたりもした。残念なことに去年だか一昨年だかのアニメは見逃してしまったのだけれど、これから『ハートカクテル』が増えるかもしれない。

そのアメリカっぽさ、というと安い言葉になってしまうけれど、明るくカラッとした感じがいいなと思って、似た感覚を持ってそうな『遠いアメリカ』を買い求めた。かねてから集めていた片岡義男や小林信彦なども引っ張り出した。

多分そういうアメリカっぽさが好き理由は、幼少期にディズニーチャンネルをよく見ていたからだと思う。

僕はそういう色んな魅力的なものに手を出して、鳥に掻っ攫われそうなギリギリのあっさいあっさい水面で生きている。海抜0mm。

それじゃダメだと思っていたのがジャズ喫茶前、それでもええかと開き直ったのがジャズ喫茶後。そういうわけです。

ほんで、そうそう。

『遠いアメリカ』も、『単語帳』も、おそらく(まだ読んでないからわかんないが)翻訳する人が主人公だ。そうした翻訳する際の決断みたいなもの、選択の葛藤なんかがもしあったらいいなと思って、『単語帳』を買うことにした。色んな興味というか、「好き」が僕には絡まっていて、少しでも関連があると容赦なく色んなものを巻き込んでいくのだ。

すると、一冊のZINEが気になった。ピンク色が映えていた。
縦はA5サイズだが、横は通常の単行本の三分の二程度。
手に取り裏を見ると『つくづく2023年11月号』「特集=まずは、勉強の手前から」とある。
もう忘れてしまったけれど、紹介文が書かれたカードがあり、勉強とは何かとか、研究との違いは何かとか、そういうことが書かれた本である、とのことだったと思う。
近頃研究について悩んでいたため、また、勉強についても悩んでいたため、購入した。

もう一回りしていると、多田道太郎についての編集グループSUREが出した本があった。
ほう、と思ってスルー。もう一周し、「文学と風俗研究のあいだ」というサブタイに引っ張られるようにして手に取る。研究と何かしら、というテーマが今の僕には引っかかるらしい。
パラパラと立ち読みして、買うことにした。座談が無類に面白かった。
荒井さんという多田道太郎に師事していた研究者が、多田道太郎の影響を受けていると指摘されたと述べている。どういうことかというと、多田も荒井さんも、「飛躍する。そして、論理性がない。」(山田稔・黒川創 編『多田道太郎 文学と風俗研究のあいだ』SURE・2023)とのことだった。
謙遜はあると思うし、僕なんかとは比べようがないとは思うけれど、僕もたいがい飛躍し、論理性がない論文を書いてしまうので、失礼ながら親近感が湧いた。
僕みたいに頭が悪い人間には研究というのはなかなか難しいものだ。もはや悲しくもない。
だから、勉強とか、研究とか、言葉の使い方とか、頭の使い方とかを考えなおしたいというか、他者がどう考えているのかに興味がある。
今回の誠光社の購入ラインナップからは、そういう悩みがありありと表れていると今思う。

四月より前のことを書いていて、四月のことがまったく書けていない。
一日から始まり、しばらく新人研修があり、そのうちその学校での初授業なのだけれど、人見知りで人付き合いが苦手なため、正直憂鬱。
それでも自分を奮い立たせるため、以前読んだ文具の本に載っていたいくつかのアイテムでテンション上げる。
一つはMD用紙を使用している書き心地抜群で太めの罫線があって便利なダイヤモンドメモ。もう一つは、書けるアクセサリ(多分)と謳われるクロスのボールペン。
なんかツイッターで(ツイッター見すぎ)センスの話が出てて、要は作り手にセンスがあるのであって、その受け手・買い手にセンスがあるわけではないから勘違いするなみたいな内容だった。多分その人からしたら僕なんて鼻につくクソ野郎だと思うんだけれど、辛い辛い仕事の時くらい、奮い立たせる何かくらいあってもいいじゃないと思っている。
さっき書いたジャズとかシティポップにかぶれるのと同じで、楽しくねぇことばっかりなんだから、せめて何も気にせずいいもの、楽しいもの、素敵なものに触れていたい。

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