見出し画像

J.M.ウエストン問題

問題一覧

(2020.3.19、12.7改編)
どうも、こんにちわ、ぼくを取り巻く数多の問題について、よりよい未来のために研究します。今回のテーマは革靴。だいぶぼくが抱える「問題」の本質に近づいてきた気がします。

最初になのですが、なぜ靴が好きなのでしょうか、ぼくは。前世は足だったのかもしれません。あるいはムカデ。これまで、スニーカーを始め、浅く広く、大概の靴は履いてきたと思います。
そんな現在、死ぬ時に履いていたい靴は何ですか?と、そんな質問はあるはずもないだろうけど、もし聞かれたらウエストンのブローグ、と答えると思います。ハントダービーでもいいですけれど。

25年ほど前は、オスが色気づくと、ファッション誌を読み始める習慣がありました。その中で、◯◯カジュアル、みたいな風潮というか、まぁ流行り、ですかね、数多のムーブメントがありました。「オレはデルカジ(ファッション・モデル風のカジュアルスタイル。マーク・パンサーさんがメンズノンノのモデルやってた頃の感じ。懐かしい)がいいなぁ」とか。

そんな流行りを見つつ、日々高校に通うわけですよ。ぼくは自由な公立高校だったので下駄履いて登校してもよかったのですが、革靴じゃないとダメなとこもあるみたいでした。そんな事情を知ってか、あるいはターゲットとなる若いサラリーマンを狙ってか、ファッション誌では一定程度、革靴についての記述や特集があったように記憶しております。定番特集なんでしょうね。
それを見て、高校生であればリーガルとかBASSのローファーくらいでしょうかね、入門編として入手できるのは。そして誌面ではローファーについて、東の横綱がオールデン、西の横綱がJ.M.ウエストンといった紹介のされ方だったように覚えています。オールデン、いろいろお伝えしたいことはありますが、また今度。

前置きが少し長くなりましたが、そうしたわけでウエストンです。歴史はこんならしい。

ジェイエムウエストンは1891年、エドゥアール・ブランシャールがフランス中部の街・リモージュに開いた工房からスタートした。当初はフランスの伝統的な靴作りを 行っていたが、創業後間もなく参加した息子・ユージェーヌによって、最初の変革がもたらされた。ユージェーヌはより近代的な靴作りを目指し、グッドイヤー製法を学ぶべく米マサチューセッツに渡る。

(中略)'22年、パリ・クルーセル大通りに一号店を、'32年にはシャンゼリゼにニ号店をオープンし、勢力を拡大していったジェイエムウエストン。助年代には定番の「180」口ーファーも登場し、現在クラシックラインとして展開される傑作たちが次々と生まれていった。

メンズEX

ふーん。でも助年代ってなぁに?

そして一般的に、靴の愛好家(?)に最初に想起されるフランスの靴、というとウエストンなのではないでしょうかね。それかジョンロブ?それともパラブーツかしら?

ただ、一般的に知られているジョンロブは、ロンドンのブーツメーカーのジョンロブがパリに出した支店を買い取ったエルメスの靴なので、一般的に想起されるジョンロブは本当にジョンロブなのか?と聞かれると、「まぁエルメスだよね」って答えてしまうかもしれません。

ちなみにロンドンロブがこちら。こっちが元祖な気がする。
https://www.johnlobbltd.co.uk/

パリはこちら。ロンドンより華やか。ロンドンロブとパリロブは、日本の店舗で言えば名古屋にある味噌煮込みうどんの山本屋の総本店と総本家みたいなもの?それとも餃子の王将と大阪王将みたいな関係?違いは。

https://www.johnlobb.com/ja_jp/

コツコツ突っ込んで行ったり、名品の生まれや定義といった革靴の総論になりそうなので、それはまたの機会にして、まずはウエストンについて論を進めたいと思います。オールデンも革靴総論も「またの機会にして」とは言いつつ、蛇足で付け加えると、レディメイドな革靴の最高峰はエドワードグリーンと言う人もおりますね。それには異論ありませんけれど、ウエストンも忘れないでね。とりあえず経験したことのあるウエストンについてまとめてみます。だって恋してるのですもの、ウエストンに。


#641ゴルフ  2000年4月〜

画像1
ツリーのプレートが外れたのでアロンアルファで止まってます

ぼくが最初に巡り合ったウエストンはゴルフでした。たしか2000年にChamps-Élyséesで買いました。シューキーパー込みで6万円しなかったくらいの値段だったような記憶。ただし、箱なんてついてこなくて、ロゴ入りのずた袋で渡されました。

画像2
ちょっと昔の箱です

上記が通常付属はずの箱。ですが、ふくろしか貰えなかった。お前みたいな黄色い猿には箱はまだ早い、という判断だったのでしょうか。

画像3

サイズは今見たら7-D。ジャストサイズ。

画像4

古き良き旧ロゴ。

とにかく頑丈、らしい。「世界中を飛び回るジャーナリスト御用達」みたいな触れ込みもありますね。外回りの営業マンにはもってこいの一足なのかな、と思い、ゴルフ履いてる若者ってちゃんと身の回りの品を考えててかっこいいよね、と錯誤して購入。

リッジウェイソールというのか、ウエストンソールというのか定かではないのですが、ゴム底です。雨が多い日も安心。と思ってたら、結構濡れたな、というのが印象。あと、足に合わないせいか、はたまたよく歩いたせいか、履いていた当時はゴルフが魚の目のできる原因なんじゃないかと思っていました。

ぼくは身の回りの品、雑に扱って、丁寧にケアするのが好きなのですが、ゴルフは雑に扱いすぎたせいか、トゥ部分に傷が出来てしまい、しばらく休憩させていました。

画像5

頑張って磨くと治るみたい。思い切って磨き屋さんに出したのが良かったのかもしれません。とはいえ、今も休憩中ですけれどもね。

あと、641と言えば、パラブーツが流行ってる時に、その上位互換として少し注目されてましたね。ま、どうでもいいですが。

それと、ウエストンといえば、かなり小さめなサイズをレコメンドされる、という都市伝説があります。昔はそうだったのかもしれませんが、今はそんなでもないみたいですよ。

#641ゴルフ  トリプルソールバージョン(不所持)

あらやだ、2020の新製品。後輩に教えてもらいました。急ぎ見学に行って参りましたので、ざざっと印象を。

1)7-1/2-Dを試着しました。ハープピッチ上がってるだけあってシュッとした印象。コバの張り出し具合は後述する590ほどでは無いように感じました
2)製法が少し違うだろうから、というか、ソールがトリプルなんでその分だけ高さが増しているように感じました
3)ソールは後述する180に近い、というかトゥのチップが無い点、踵にラバーチップが入っている点で一緒。ただし、180はヒドゥンステッチですが、こちらは丸出し、というかむき出し
4)ウィズはDとEしかないらしい。なんでよ。7-1/2のCがあればなぁ。。。

そして気になるお値段、キーパー込み価格で19万円と少し。ゴルフってこんなに高い靴なんでしたっけか?考えさせられますね、これは。

なぜ考えるのか?いくつか理由があります。

1)履かない問題
ここ3年ほどで革靴を履いたのは、去年、地裁に行った時と一昨年お葬式に行った時、くらい。めでたい席はいい加減な格好でいいことが多いので革靴を履く機会がめっきり減っております。買ったとしても、鑑賞すらしない気が。。。まず、新品の670と180をどうにかしないと。。。
2)優先順位の問題
実際問題、手持ちのウェストンズでの寵愛具合としては、初代590、初代670、590の2号機、という順番。他、そもそも履いてないしね。なので、履くにしてもこの3足をベースに行きたいわけですよ。新たに配備してもこの三本柱には食い込めない気が。。。
3)(未確認ですが)強度の問題
配備したとして、フツーに歩けばものの数日でアウトソールの1枚目のつま先がなくなると思います。返り易くなるまで絨毯の上だけを歩くような生活じゃ無いとかなりハードなことになってしまいそう。。。ジョンウィックという映画に出てくる、コンチネンタルホテルの支配人とか、そうした立場の人じゃ無いと難しいんではないかしら、これは。あるいはつま先にラバーチップ入れてしまうか、あるいは慣れるまでラバーを貼っておくか。
4)ウィズ問題
7Dでソールだけ違うって、もったりとしたゴルフの問題を何も解決できておりませんね。

再び、頻繁に革靴を履くような生活に戻ったら購入検討しようと思いますが、しないかもしれません。多分見送ります。

#590トリプルソールフルブローグダービー 2014年11月〜

画像6

ゴルフから月日は流れ、好きな洋服、欲しい洋服を見つけた場合、躊躇はするものの、なんとか買えるくらいの身分になった頃、何故かピストルズ熱が再燃しました。

昔はみんなジョージコックスの偽物のラバーソール履いてました。多分、ブルーハーツとかジュンスカとかに憧れてたのでしょう。翻って現在、まぁその当時なので今からしたら少し前ですが、ラバーソール履きたい!!とばかり思う日々を過ごしていて、実際、フットザコーチャーとかコムデギャルソンとか、まぁギリギリ許してもらえるかもしれないラバーソールを履いて仕事してましたが、やっぱこれじゃあいかんな、と思い、新たな出会いを探していたら出会っちゃったのです、590。底厚いじゃん。

比較対照したい、ジョージコックスとかがどっか行っちゃったので画像はないのですが、ラバーソール感溢れる重厚なソールです。トリプルなので。

で、買いました。サイズは7-D。これは買っちゃいけなかった。めでたく地獄入りです。

画像7

新ロゴ時代に突入。

趣味人として尊敬すべき人がぼくには二人います。一人は藤原ヒロシさん、もう一人が松任谷正孝さん。590、松任谷さんも履いてますね。古いブログなので、サーチするのが面倒ですが、「松任谷 ウエストン トリプルソール」でググると画像出てきますよ、たぶん。2009年時点で30年履いているらしいです。ぼくはまだ6年くらいなので、これからですね。

そんで590。名品だけが持つ独特のオーラをまとってます。そのように感じます。確か38才の誕生日の日に日本に届きました。計算しますと、松任谷さんは28歳の時に手に入れたみたいなので、遅れること10年、気長に履いていこうと思います。

惜しむらくは、アイレットが1.5個少なくていいんじゃないか?というシルエットなんですね。もっとノーズ長いほうがいいんですよね。と、そんな細かいことに悩むのもアホくさいので、タッセルつけて履いてます。

前述した641や以降の677、180あたりは「J.M. Weston Icons」と記されてますけれど、590は「Great Classics」という表記ですね。

#677ハントダービー 2015年11月〜

画像8

次はハントダービー。通称、というか別名?ド・ゴールと呼ぶ人も居る、ウエストンで一番ヘビーな一足です。もちろん、値段もヘビー。遠い昔、165,000円で売られていました、確か。
インフレかつ円安の今となっては165,000円も高くも無い気もしなくも無いような、そんなムードもなくは無いような感じですが、とはいえまともな感覚の人からしたら「は?宝石でも入ってるの?その靴」といったところでしょう。ところが2024年の今だと451,000円(税込)というちょっとびっくりするプライスになっています。なんだなんだ、なんかおかしいんじゃないか?でも巨額の臨時収入があったので、「おかしいんじゃないか?」と思う気持ち以上に頭がおかしくなってて入手します。バブルばんざい!サイズは590同様7-D

別名のド・ゴールって、あれです、フランスの軍人。

軍人というか政治家ですね。個人的には鄧小平と並ぶ政治家だと思いますが、ド・ゴールは政治家というよりは英雄か。パリのメトロの駅にシャルル・ド・ゴール・エトワールって駅がありますが、止まるたびに胸が震えました、意味もなく。

そんなハントダービーですが、「重戦車」とか形容されてますね。弩迫力です。もともと、狩猟用のブーツだったものをむりくり短靴に変えたもの、とかなんとか。

画像25

袋状のベロのあたりにその名残がありますね。

登山靴なんかによくあるノルヴェジアン(ノルヴェジェーゼ等、呼称は様々)製法、らしいです。アッパーとソールを縫い付けるステッチにさらにもう一本、別に加えたもの?装飾的な意味合いが強いようにも思えます。実際のところ、この製法で有名になった靴屋、ステファノブランキーニとかシルバノラッタンジとか、その辺を扱ってた店の人に聞いたら「飾りです」とは言ってました。オールデンのチャッカーとかパラブーツなんかにも追加のステッチは見られますね。

画像26

こんな感じ。つま先も縫い目が表に出てこないような仕上げ。

そして、これも真偽のほどは定かではありませんが、このハントダービーを縫える職人、もう数名しかいないみたいです。欲しくなって、お店に行って、適切なサイズがあればいいのですが、大抵、在庫が無いため注文になります。そして早くて3ヶ月くらい、遅いと1年以上待たされます、到着を。

ただ、これには少しトリックがあるみたいで、メーカーとしてもある程度は在庫になるようなサイズを作っているみたいなんですね。つまり、作ったらすぐに売れるサイズ。7-9あたりはウィズ(幅)もバリエーションを揃えているので、このあたりにはまるとすぐに、といっても数ヶ月かかりますけれど、届きますが、6以下だと新たに作ることになるので、後回しにされるみたいですね。

考えてみますと、他国のものではありますが、これも伝統工芸だと思います。しかも実用性がある。なんと素晴らしい。こういうものに関しては、仕送りする感覚で定期的に買ってあげたいものです。でも45万はなぁ。。。

とはいえ、救国の英雄の名前を冠した靴を履けるなんて、それも金出せば出来るって楽チンじゃないですか?ド・ゴールも履いてたんですよね、ハント、嘘かどうかは知りませんけれども。もしホントだとしたらド・ゴールコスプレ出来るわけじゃ無いですか。そう考えたら、まぁ高いけど仕方ないかな、と。なんかおかしなこと言ってる感じがとてもしますけれども。

で、履き心地。590よりもかかとが小さいです。購入してから結構時間が経ちますが、まだ馴染んでません。そんなに履いてもないのですけどね。。。いわゆるウエストンの頸、ってやつかもしれません。

ところで、ハントは「ブラックロシアンカーフ」となっております。他は大抵がボックスカーフ。

厳密にいうロシアンカーフ、1700年代にロシアで鞣されたトナカイ革、は現存はしているみたいです。300年以上経っていて、本当に使われているのだったらすごいことですよね。以前は641にもロシアンカーフという名前の素材が使われていたようで、ぼくの641もロシアンカーフですが、実際のロシアンカーフとは異なるロシアンカーフ風の高級な素材、と考えておけば良さそうです。ロシアンカーフについては補稿あります。

#590トリプルソールフルブローグダービー二足目 2016年頃から

最初の590と677で気づきました。なんだかノーズが短くないか?と。いずれもエッジ(コバ)が張り出しています。そして590は高さがあり、677はモカなのでボリュームがあります。ゆえにレングスが短いと、ぽってりした印象になります。

違う違う、もっとスマートな感じにしたいのよ。そのため、レングスを長くし、ウィズを下げるとちょうどよくなるのではないか?という疑惑を抱いてしまいました。一回こういう疑惑に取り憑かれるともうどうしようもなくなります。

そしてもう一つの疑惑。セミオーダーって実はいいんじゃないか?疑惑。こうなるともうやるしかない。

画像9

で、やりました。サイズは7-1/2に一つ上げ、でウィズはCで一つ落とす。ボディのレザーとタッセルのレザーが微妙に違う。そこそこ自由度あって、タッセルも二層構造になっており、一段目と二段目で素材違い・色違いを選択できます。セミオーダーばんざい!!

まず、箱から違う。

画像10

通常はこちらですが、セミーオーダーだと下記。

画像11

青い。

画像12

スライド式ボックス。キーパーも料金に含まれてます。須らくこうあって欲しい。

画像14

ただ、通常のキーパーの方がしっかり作られている気がします。

画像13

並べてみました。うーん。赤いインソックはなくてよかったな。アイレットの裏側も赤でして、これは下品というかパチ物感が醸成されてしまいました。ただ、シルエットは大幅に改善。スニーカー的にカジュアルに行く時は最初の590、スーツの時はこの新しい590がいいみたい、な気がします。

#677ハントダービー二足目 未使用

こうなってくるともうダメです。最初のハントのもったり感。なので590同様、レングスを上げ、ウィズを下げて注文。注文したのも忘れていた頃に到着しました。モカの先の部分はレングスが短い方が長い。禅問答のようですが。

画像15

そして大問題。到着してから1年以上経ちますが、まだ履いてません。

画像16

ソールも綺麗。ヒールは履く前にスチールチップ外しました。これはとても大切な人の結婚式とか、お葬式がデビュー戦となるのでしょうか。ただ、その頃にはぼくが既にこと切れてる感じもします。

#180シグニチャーローファー 、ただしトリプルソール 売却済

そうしたわけで、しばらく革靴への歪んだ愛情というか偏愛は小康状態を保っていました。セントラリアの火事みたいな感じですかね。

サイトの名前がヤバいw

と、ある後輩というか変態というか親友がいるのですが、彼もウエストンを定期的にアレしないと死に至る病に罹患しているらしい。先日、ちょっと情報交換した際に、なぜか気づいてしまいました、これに。

なんだと。。。こまったな。。。

画像17

まぁしかたない。サイズは7-C

ローファーには興味無いのですよね。で、このくらいのごついソールのローファー、ジルサンダーので既に持っていたりしますが。。。あんまり履かないし。。。ていうことはこれも。。。

そしていろいろ変わってました。

画像19

箱はポップに。値段がハードなのは変わらず。

画像20

ロゴは旧ロゴ。180はずっと旧ロゴなのでしょうか。ミステリー。あと踵部分のカウンターがスウェードです。通常の180はスムースレザー。

180、現代史に残る名品だと思うのですよ。カバンで言えばバーキンとかケリーと同じレベル、たぶん。著名人の名前が付いてないだけ。と、思うと、みんなもっとド・ゴール欲しくなってもいいんじゃないかな。180もゲンズブールとかプラティニとかカミュとかブレッソンとか名前つけてあげればいいのに。と、思いましたが、ド・ゴールって誰かが言っただけで正式名称はハントなんですよね。

で、一連のトリプルソール問題なのですが、180が590や677(ハントも言ってみればトリプルソール)と決定的に違う点が。

画像18

スチールチップが入っていない!!なるほど。いいんじゃないですか、これは。しばらく絨毯の上だけで歩かないと、あっという間にトゥがなくなってしまいそうですけれどね。

で、当面、身分が上がることも、ホテル暮らしになることも無いだろうし、そろそろ命が尽きると思いますので、身辺整理の一環として売却しました。一回も履かないまま、ね。

◆ウエストンを取り巻く諸問題について

ここまで見てきましたが、我ながら狂っているとしか思えません。靴は一度履いたら数日休ませた方がいいようですが、上記の方々、1年以上休んでいる方もおられます。休みすぎ。

休ませた方がいい理由として、汗や水分をちゃんと抜いた方がいいから、らしいですね。湿ったまま使うとダメージが抜けなくなる。が、ウエストンに共通して言えるのが、レザーと製法の強さでして、連続着用しても大丈夫な気もします。そして本題ですが、レザー、とてもいいです。特にソール。擦れてくると、毛足の短い上質なヌバックみたいな肌触りになります。

画像21

触ってもらいたい。トウ、ヒールともにスチール入りの二代目590。

他の革靴に比べ、耐久性はとても高いと思います。一時期、というか今も履きますが、週一くらいで履いていたエドワードグリーンのチャッカーブーツ(実は売却ずみ)、二年ほどでソールのレザーが薄くなってペコペコするようになりました。恐ろしくなったのでラバーを貼りましたが、グリーンのソールはザラザラした感じでした。山とか戦地を歩くように考えられている、上記の590や677と同列にしてはいけないのでしょうけれどね。。。

実際、最初の590、多分死ぬまでソールは張り替えなくていい気がします。一方、悩ましい問題が二つばかりあります。一つ目がスチールチップ。

画像22

雨の日の地下鉄の階段とか滑ります。こけたことはありませんが、こけそうになってひやっとしたことは何度もあります。加えて、車に乗降する際、踵のスチールで傷をつけてしまうことがあります。実際に傷つけました。。。塗装の厚い車だったので、地金までは行きませんでしたが、軽自動車くらいであれば錆びさせる要因になっていたかと。

それと、カツカツ音がします。尾行が必要な刑事とか探偵向きではない。そこで考えました。ヒールはゴムにしよう、と。実際問題、職業は刑事でも探偵でも無いけれど。

そうなると、連鎖的にもう一つの問題が発生します。ウエストンは直営店以外で修理すると、以後、直営店で修理を受け付けてくれなくなります(多分、そう言ってました)。そして直営店の修理は高いのです。多分、国内の工場でやってると思うのですが、ユニオンワークスやその辺でやってもらう場合に比べて相当割高です。

いざとなった時に正規のサービスを受けることが出来なくなる、というのはそこそこ心理的圧迫要因だったりしまして、連鎖的に発生するこの後者の問題のせいでチップ交換は逡巡しておりました。

が、しばらく590を履いてみて「これはチップ以外に永遠に修理は必要ないな」と判断したため初代590と二代目677のヒールはユニオンワークスで交換することにしました。

画像24
初代590

こうなりました、ゴルフも買ってから20年以上経過しましたが、まだソール交換しておりません。昔よく履いていたトリッカーズは5年ほどでオールソール交換した覚えがあります。寡聞というか自分の経験の中だけですが、他のブランドの製品に比して、圧倒的な頑丈さがあります、ウエストン。

ぼくが身の回りのものを選ぶ際、ベースになっている考え方に「今身につけてかっこいいもの、10年後にもっとかっこよくなっているもの」ということがあります。これが当てはまるのは革製品とデニム、あとは時計くらいなものですが、ウエストンはまさにそれ。

一緒に歩いたそこかしこの路地、旅先、様々なところに眠る記憶の呼び水になってくれる愛すべき仲間です。

画像25
180はドナドナされてますが

最後に整列。長蛇の陣。軍隊みたいになってきました。ドーヴァーの地獄についてもそのうち記してみようと思います。それではまた。

◆【補稿1】ロシアンカーフについて

1700年代の帝政ロシアにおいて生産されていた、トナカイの原皮を材料とする高価な皮革。コードバンと並んで幻の革と呼ばれるほど希少性が高い。これは、ロシア革命の前後辺りの時期にそのなめし製法の詳細(なめし剤・道具・工程など)が失伝し、2008年現在、工程の再現及び再生産がほぼ不可能視されているためである。

別にコードバンは幻じゃねーし、なめし製法も古い文書とかでわかりゃしないのかい?と素朴に思ってしまいます。1973年に沈没船から現物が発見されたようですね。

ほー。

かなり詳しい。

こうして見てくると、名前だけ、というか実際のロシアンカーフとは何もかも違うのでしょうね、ウエストンのロシアンカーフは。イギリスかどっかの鞣し屋さんが作ったとかいう噂も聞きましたけれど。

調べている途中、思ったのですが、ウエストンに限らず、革製品全般で、様々な意見がありますね。デュプイの革がいい、とか。昔はウエストンもデュプイを使っていた、とか。

実際のところ、ウエストンの革はどうなってるのでしょうね。自社で作ってる、と聞いたこともありますが、今度、お店の人に聞いてみようかな、と思います。でもわからなかったりするんだよなぁ。。。

付随して思ったのが、革の良し悪しは何で決まるのだろう?ということ。タンナーがよければいい、と盲目的に主張する人もいますが、そうなのでしょうかね?

これまた信憑性のない話ですが、デュプイとかで新しいのが入ると、最初に車屋が持って行って、次に家具屋とエルメスが、次に他が、みたいな話を聞いたこともあります。車屋の革といえば、昔ロールスロイスで使われていたコノリーという有名なタンナーがありますが、今は消滅してしまってますね。クロムハーツもコノリー使っていた、という噂を聞いたことがあります。良い革なのでしょう、コノリーは、きっと。それにしても信憑性の無い話ばかりで我ながら嫌になります。

が、どうも腑に落ちない。本当にそうなのか?と。「◯◯だから」と盲目的に信じちゃうのって、権威的というか、奴隷根性というか。。。知りたい、本当のところを!そこで思い出したのが、イギリスの高級車で知られるベントレーの話。

ロールスロイスよりスポーティー、アストンマーティンよりエレガント、って感じですかね。ディーラーの人に聞きましたが、このベントレー、自社の製品に使う革は子会社の牧場で育てた牛の革を使うそうな。そして、シートの革は牡牛のみ。雌牛は出産の際に体型が変わりますが、それに応じた皮質のようで、長年張ってるとダメになってしまうから、らしいです。なんかすごい。鞣しはどうしてるのだろう。。。

これを聞くと、革用に品種改良された種の雄牛で、傷も少ない若い個体の革がベスト、な気がします。その上で、いい鞣しをするのがいいのでしょうね。1)原材料の育成(製造)、2)原材料の加工、3)加工品の加工を完全に自社一貫でやれるところなんぞないでしょうから、1)と2)を完璧にやれるタンナーがベストで、その2)を適切にチョイスして製作できる3)の製品だとバッチリな感じ。まぁ、それにしても、1)と2)はブラックボックスすぎるので、やっぱり本当のところはわからない。。。

出来ることとしたら、製品を手にして、自分で使い、自分の目で見て、経験に基づいた知識を身につけていくことだけですかね。コツコツやっていきましょう。

◆【補稿2】下取りプログラムについて

ふーん。APCがやってるバトラープログラムみたいなやつですね。

180が15,000円、180アリゲーター(たぶんこれは80万くらいするんじゃないかしら)が90,000円、590が25,000円、670が70,000円。。。そうですか。。。参加する人はいるのでしょうかね。他より高く引き取ってくれる、という点で優位性はあるのかな。



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?