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おおたかのサウナに生息するドラゴン

「スパメッツァおおたか竜泉寺の湯」に行ってきた感想回。ここはサウナシュラン2022の1位に選ばれた施設だ。

結論、総合力が高く、コスパがめちゃくちゃ高い。スーパー銭湯というより、ハイパー銭湯。包括性(インクルーシブ)と排他性(エクスクルーシブ)が融合した施設と感じた。

日曜の朝9:00に到着したが、混んでいた。サウナでは既に行列ができている、やはり人気店、恐るべし。

逆に10:30くらいからの方が空いてきた。もしかしたら朝割(朝9:00までの入店)で駆け込み客が流れ込んだタイミングだったからかもしれない。

今後は10:30くらいのタイミングで入店を狙ってみることにしよう。

本題に入る前に、僕はサウナ(というかあらゆる商品・サービス)はざっくり2種類に分類できるのと考えている。

A: サウナ起点(アート的)
B: ターゲット起点(マーケティング的)

例えば、ウェルビーはAだし、今回のスパメッツァはBに分類される。ウェルビーは「自分はこれが好き!」が具現化されたサウナであり、その世界観がある。

そこがウェルビー系列と知らなくともなんとなく「ウェルビーっぽい!」というのが分かる。これは経営者が表現したいサウナ起点だから。その世界観が好きなサウナー(ターゲット)たちが形成されていく順番。マス向けではない。

一方、スパメッツァのターゲットが先にいる。「サウナが好きな父母+子供」がターゲットにおり、そのターゲットのキャッチャーミット目掛けて火の玉ストレートを投げる。

だからちびっ子向けお風呂もあるし、サウナもあるし、電気風呂もある。これが一般的なスーパー銭湯の形。ターゲットがマスなので、年齢に関係なく、楽しめる施設であり、ここが包括性である。

スパメッツァのサウナはドラゴンサウナ、メディサウナ、塩サウナの3種類。いずれも中学生以上でなければ入れない。スーパー銭湯でありながら排他性を感じた点だ。

個人的にはメディサウナと塩サウナが好きだった。スーパー銭湯にも関わらず、どのサウナにもテレビが設置されていないのは意外だった。英断だ。

ドラゴンサウナは5つのサウナストーブが存在感を発揮。10分ごとのオートロウリュのシステム。

キャパは40人ほど(10人×4段)なのでかなり大きい。回転率も高く、行列でもそんなに待たない。外で待っている側から見るとありがたい。

ただ、中に入っている側から見ると、回転率が高いとドアの開閉やら利用者の移動やらが発生してなんか落ち着かないんだよなぁ。

毎時00分にはドラゴンロウリュという5つのサウナストーブを使ったオートロウリュが行われる。ドラゴンロウリュのタイミングで上手く最上段に引っ越せた。

ドラゴンロウリュは5つのサウナストーブに水が一斉に噴射される。噴射から10秒ほどの時差を経て肌に熱が伝わる。これを3周繰り返すので結構な熱さだ。

ドラゴンロウリュの際にバックグラウンドの音楽も流れるが、この演出が少し安っぽく感じた。逆にない方がいいんじゃないかなと思った。

あとは「サ黙」「会話しない」などの貼紙がサウナストーブの柵に貼られている。こういう注意書きは世界観を既存するなぁと。

没入から世界が現実に戻される。飛行機内で映画を見ていて機内アナウンスが流れ現実に戻る的な感じ。館内放送がある施設でも感じてしまう。(スパメッツァは館内放送はなかった)

まぁ色んな属性の人たちが来店するので仕方ない部分はある。ルール破りの利用者による周囲の利用者のUX毀損と天秤にかけての判断だろう。

次はメディサウナ。メディサウナはキャパが8人なので常時待ちが発生。

セルフロウリュができる。今回はバーチというヴィヒタのアロマであり、上野の北欧と同じ。セルフロウリュで室内に香りが充満すると森が脳内に広がる。

香りでブランディングするって凄く大事。嗅覚は五感で唯一大脳にダイレクトで届くので記憶に残りやすい。視覚や聴覚に訴求するマーケティングはあっても嗅覚はまだ空席なので活用しても良い。

セルフロウリュは砂時計でインターバルを可視化する ジートピアと同じシステム。利用者が入れ替わり立ち替わりするサウナでは必須だよね。

最後に塩サウナ。ミスト系。なんと泥パックもあり贅沢な塩サウナだ。湿度が高いので塩もすぐ溶ける。

男性にも泥パックは人気。髪が濡れてて前髪をオールバックにしつつ、泥パックをしている人が多かった。室内に"蒸しジョーカー"(真っ白な顔のサウナー)が何人も発生していた。

水風呂も3種類。その中の1つはなんと8℃のシングルだ。スーパー銭湯でシングルは勇断である。さらにメディサウナの横にある水風呂の深さは157センチ。安全上、中学生以上でなければ入れない。ここら辺からも排他性を感じる。

157センチというかなりの深さの水風呂は久々で、熊本の湯らっくすの記憶が蘇ってきた。

外気浴スペースはととのい椅子の数が多い。横になれるベッドタイプと合わせると、20-30はあったのではないか。椅子タイプは足を乗せる台があり、やはり分かっているなぁ、と。

そして今回の収穫としては「温冷交代浴」だ。

言葉だけ聞くと目新しいことではいが、ポイントは43℃熱湯と8℃の冷水の振れ幅だ。この35℃の振れ幅の交代浴は、冷水から熱湯に戻った際に全身の毛細血管が一気に開いていく感覚が分かる。

なんか昔、どこかで経験したことのある感覚。。

こ、これは以前近所にあった「麻布黒美水温泉竹の湯」だ。竹の湯では43-45℃くらいの熱湯とバイブラ式のキンキンの水風呂があるので温冷交代浴には最高。昔よくやっていた。

水は熱伝導率が高いので一瞬で温まるし冷える。これを6回くらい繰り返した。もしかしたら、もしかすると温冷交代浴のマイブームが来るかもしれない。

ここまで温度の振れ幅が大きい温冷交代浴ができる施設もあまり多くない。この温冷交代浴のためだけでもスパメッツァを訪問する価値がありそうだ。これが今回の1番の発見かもしれない。

そんなこんなで2時間以上満喫。これでなんと1,080円という安さ。コスパが良すぎる。入館から退館まで全て自動で完了できるシステム。スタッフの方たちと一言も介さず完了できてしまう手軽さ。

そこにはコミュニケーションが発生しないが、これだけ利用者が多いのだから合理的な判断。

施設の機能がめちゃくちゃ高い大事本だからこその強者の戦略。弱者がコミュニケーションを取り除いたら(人を売っていくことをやめたら)勝ちはなくなるので、ここは真似してはならない点。

最後はサ飯の余談。スパメッツァのあとは近くの施設の中国ラーメン揚州商人でサ飯。

初めて行ったがめちゃくちゃ美味しい。やはりサウナ後の汁物は身体に染み渡る。

そもそも身体が何を食べても美味しく感じる状態になっているが、そうでなくともこれは美味い。サ飯として揚州商人は今後も選択肢に含めたい。

揚州商人のスーラータンメン

そんなこんなで、スパメッツァは子供からおじいちゃん、サウナーまでが楽しめる内包性かつ、排他性も感じられる総合力の高いハイパー銭湯であった。

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