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万物の理論

 アインシュタインの相対性理論は、一見奇妙な結論を導き出しています。しかし、特殊相対性理論が発表されたのは1905年、今から100年以上前の話です。一般相対性理論も1915年頃の第一次世界大戦中に発表されました。
 私達が「奇妙」と考える理論は、1世紀も前に発表されその正当性が証明されています。それなのに何故、相対性理論は奇妙に思えるのでしょうか?

 それは、日常生活での物理現象をほとんど説明できるニュートンの力学がすでに完成しており、それを学校(高校)までに学んできたからです。
 自分も高校の物理で衛星の軌道や地球の脱出速度を計算できたときには、世の中のすべてを理解できた気がしました。また純粋理学ではなくそれを産業に応用する工学では、ほとんどがニュートンの力学を応用しています。
 長大橋、超高層建築物もニュートンの力学で設計できます。

 では、ニュートンの力学とアインシュタインの理論の違いは何でしょうか?それが相対性理論は奇妙と思わせているものです。
 ニュートンは空間の座標軸と時間を絶対的なものとしており、それは普段の生活では当たり前のこと。通常はそれを疑う人はいないでしょう。特殊相対性理論がそれを否定したあとも、基礎力学の理論としてのニュートン力学が教育現場で採用されたのは当然のことです。

 相対性理論は時間も空間も(あわせて時空)相対的なものであるとしています。自分とAさんで、体験する時間も空間も別物ということですが、それを体感するまでには、お互いが光速に近い移動を必要とするため人間の生活レベルではそれを体感できません。

 とは言え、相対性というものは簡単に理解できます。
 有名な空想実験ですが、時速100km程度で走っている電車の中と外を考えましょう。近似的に電車を秒速30mとします。
 電車に乗っている人は手にボールを持っています。高さは1m。これを手から落とすと、1秒ちょっとで電車の床に落下します。ここでは計算式を省きますが、ボールは1秒ちょっとで約1m移動しました。
 この電車が透明なガラスでできていたとします。電車の外から見ている人には、電車の中の人がボールから手を離して1秒間の間に、垂直方向に1m、水平方向に30m移動しています。斜め下に移動したように見えます。移動距離は三角関数で計算できますが、簡略化して電車の車内の人には1秒間に約1m、車外の人には30mちょっとボールが移動したように見えます。
 電車の車内、車外から見てボールの落下速度は30倍ほど違って見えます。

 観測する人の立場によって、時間や空間が違ってくるというのが現代の物理学です。光速に近いロケットが開発されれば、そこに乗っている人の時間は地球の人の時間より遅く進み、パイロットが見る空間はより短く見えるでしょう。映画「猿の惑星」でみなさんご存知の法則です。

 万物の法則と言いましたが、現在ではこの世界、すなわち宇宙は約138億年前のビッグバンで誕生しました。

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 ビッグバンといえば、このような画像が想像できますが、これは近似ですね。宇宙は無から始まり、空間も時間も大きさのない無から始まりました。このような画像は、宇宙の外から見たビッグバンの火の玉です。ありえない画像ですが、ビッグバンを理解するのには有効です。

 人類が何故宇宙の始まりを理解しているのか?それは奇跡に近いのですが万物の法則に近づいているからです。人類の歴史は数万年ですが、いま人類は138億年前の宇宙の始まり、10の100乗年後の宇宙の熱的死を理解しています。これは奇跡です。

 宇宙の始まりは質量無限大の大きさのない点から始まったとされます。特殊相対性理論は光速に近い理論、一般相対性理論は天体の重力の理論です。重力とは非常に弱い力です。鉄のボールでさえ、磁石の力で地球への落下を免れます。

 この2つの理論で宇宙の始まりを論ずるのは難しい。宇宙の始まりが微小な点ならば、極小世界を理解する理論が必要となる。その鍵が量子論、その中でも近年は「超弦理論」です。一般には「超ひも理論」でしょうか?

 光速時の特殊相対性理論、重力場の一般相対性理論、素粒子の「ふるまい」を扱う量子論。これらはいまのところ相容れない理論ですが、「超弦理論」で統一されば、万物の法則なる可能性があります。これは、最近亡くなったホーキング博士が目指した人類の究極の目標です。

 量子論は相対性理論以上に不可解ですね。最近では「量子コンピュータ」というのが開発が進んでいます。自分の頭のななかでは「エンタングルメント」という言葉がグルグルしています。

 壮大な宇宙を説明するには、素粒子の振る舞いを示す「エンタングルメント」がと言う概念が必要に思われます。

 万物の理論、これを統一できたときに、宇宙の奇跡が実現できるときでしょう。


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