オナベ、ポルノ映画館へ行く
暇すぎて書いたnoteの存在も、何を書いたかも忘れてしまったが、前回から早一年以上が経っていた。
忙しかった仕事も一区切りついたので気がむくままにテキトーに書いてみるとするか。
数年前、ホルモン注射を打って数年後の冬の夜、私は某地方の古びた映画館の前に佇んでいた。
ホル注から数年、ソープ、ヘルス、ちょんの間と様々な風俗を経験した私はとうとう更なる魑魅魍魎の世界へと足を踏み入れようとしていたのだ。
ポルノ映画館、知っている方はどのくらいいるのだろうか。VHSやDVDが発達し、ネットや携帯で手軽に映像や出会いが手に入る今日この頃、誰がこの場所を必要としているのか。どうにも気になった私は仕事の出張終わり、ホテルに帰る前にオネーちゃんと遊ぼうという上司を振り切ると、よりディープな世界へと足を向けたのだった。
映画館はかなり老朽化しており、建物には昭和風の看板が建てられ、そこには女の裸と映画のタイトルが書かれていた。
入口は独特の雰囲気があり、若干気圧されながらもチケットを購入する。受付は対面式ではなくパチンコ屋の換金所のように手だけが出るシステムとなっていた。
劇場の扉を開けるとさらに暖簾のようなものがかかっており、そこを開けると中は真っ暗で左右には薄明かりのなかガラスケースに昭和のエロビデオと思われるビデオパッケージがいくつか飾られ、右奥には喫煙場所、さらによくわからない個室のような場所があるように見えた。
雪国らしく灯油ストーブの匂いがうっすらと鼻を掠めた。
映画からいきなり聞こえる女の喘ぎ声。
中はとにかく暗く、目が慣れるまで時間がかかった。
目がなれてくると館内はあまり広くなく、お客は自分を含めそう多くはないように思えた。こんなにお客が少ないのに何故か後ろの手すりに捕まって立見をしている客もいる。
ワタシはとりあえず映画を見るべくテキトーな席に座った。映画の内容は覚えていないが、とりあえず10分から20分に1回男女の交じりあうシーンがあるといった予想通りのものだった。
予想通りでなかったのは、映画ではなくそこにいる人達だったのだ。
映画を見ているはずなのに、何故かウロウロ歩き回って何かを物色している人、どう見ても男に見える女装の人、その人に寄っていくどう見ても若くはないおじいちゃん。男女の交わりのシーンになると聞こえるカサカサとした音、個室と思われる場所から聞こえる水音、衣ずれの音。
なんだここは。
映画そのものより周りが気になって仕方ない。
しばらくするとワタシの後方遠くから野太いため息が聞こえてきた。そーっと振り向くと後ろの手摺りの辺りでサラリーマンと思われる男の人が数人の男に囲まれていた。、、、目を凝らしてみるとどうやらパンツを穿いていない。
股間辺りにはオジさんの頭が、後ろにも別のオジさんがいてサラリーマンの胸を弄っている。
興味が勝ってチラ見をした。微かに聞こえる水音、サラリーマンの吐く息。
暫くしてワタシはようやく気づいた。これはハッテン場と言われる場所ではないのか。
…見なかったことにしよう…
そう思い映画に目を向けるべく振り変えると、いつの間にかワタシの右隣には角野卓造よろしくハゲの太ったオジさんが座っていた。
こんなにガラガラの映画館に隣にオジさん。
後ろでは揉み合う男達。
さすがに鈍いワタシでもわかる。
これは危険だ。
席を移るべく反対側を見るとなぜかそこにも別のオジさん。
真後ろを振り返るとついさっきいなかったはずのこれも見知らぬおじさんが座っている。
オジさん祭りだ。
いや、祭りではなく危険だ。
躊躇していると右のオジさんの手がワタシのデニムの太ももの辺りに延びてきた。
思わずオジさんを見る。
、、、ダメだ。全く受け付けないフェイスだ。
ケンドーコバヤシなら考えるが角野卓造は苦手だ(角野さん、ごめんなさい)
“マジ、ありえねーから”ワタシはハッキリそう言い切ってオジさんを振り払い席を立った。
デリーでインド人を振り切った経験のある私には日本人を振り切ることなど造作もないわ!とばかりに。
オジさんは追いかけては来なかった。
後ろを見ると先ほどのサラリーマンはフィニッシュを迎えたようで、周りの男達は去っており、彼は茫然と座っていた。
映画を一本も見切っていないワタシは気を新たに再度映画に集中することにした。
この異常な雰囲気がそうさせたのか、はたまた一昨日打ったホルモン注射のせいなのか、大した内容でないのに関わらずワタシは徐々にムラムラし始めた。
宿泊先のホテルまでは歩いて20分ほど。
悩んだワタシは決めた。そうだ、トイレで抜こう。
席を立ったワタシはトイレへと移動した。
個室に入りズボンを下ろし、いざという時誰かが入ってくる音がした。
小便かと思っていると、足音がどんどん近づいてくる。
足音は、ワタシの個室の前で止まった。
コンコン
ノック音がした。
。。。。。
もしや角野卓造が追いかけてきたのか。
こちらはパンツを下げたまま、逃げ場もない。
圧倒的に不利ではないか。
またノック音がする。
恐怖でしかない。
卓造が諦めるまで待つしかない。そう決めて気配を消していると、足音は少し遠のいた。
と思ったら隣の個室に入る音が聞こえた。
今の隙に出るか?いや、その先にさっきの残りの2人がいたら中々大変なことになるのではないか。
いや、その前にパンツをはこう。
パンツとズボンを急いで上げた時ワタシは更に驚愕した。
穴がある、、、!
そう、トイレの壁の丁度股間部分の高さの所に穴が空いていたのだ。さっきは性欲に負けて気づかなかった。
そっと穴を覗くと見てはいけないものが。
目だ。
相手も穴から覗いていたのだ。
ああ、ホラーだ。
今は12月なのに。お化けは夏に出るんじゃないのか。
慌てて穴を近くにあったトイレットペーパーで塞いだ。
さて、これからどうする。
考える間もなく、再度壁から聞こえるノック音。
卓造に犯される。
というか、多分モノがないから怒られる。
ノックを更に無視していると、足音は隣の個室を離れまたドアの前に移った。
ヤるかヤラれるか。
お尻は残念ながら未開発に近いのだ。
数年前、M性感でオネーさんに悪戯され、それから3日間もの間尻の具合が悪くなった時から未開発のまま人生を終えようと私は固く心に決めていたのだ。
何度目かのノックで覚悟してドアを開けるとそこにはある意味信じられない光景があった。
そこにはワタシと背丈も同じくらいの若い男が下半身を露出させて立っていた。
ついでに下もギンギンに勃っていた。
男はいきなりワタシにこう言った。
“あなたの舐めさせてくれませんか”
流石に混乱したワタシは
“すみません、色々ムリです”
といって下半身を晒したおにーさんを置いてトイレを出て、そのまま急いで映画館を出た。
雪に足を取られ滑りながらも早足で駅まで歩くとそこはいつもの見慣れた現代の光景が広がっていた。
ホテルに帰り混乱した頭を整理させながらネットでその映画館を検索する。
やはりハッテン場としての要素が強い映画館だったようだ。
月日が経ち、一昨年出張ついでに訪れてみるとその映画館は閉館していた。
また一つ古き風景が消えていってしまったと些か残念に思うとともに経験値をさらにあげたワタシは思った。
おにーさん、ごめん。アナタはイケメンだったから舐めるぐらいしても良かった、と。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?