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マンガ読みの年中休業うつらうつら日記(2022年12月24日~12月30日)

早いもので今年もあと1日を残すのみです。幸いコロナに感染せずに済んでいますが、この先はわかりません。引き続き用心しようと思います。今年は引っ越し、息子の結婚と家庭に大きな変化がありました。未来に向かって前向きに進んだ実感のある年でした。あいかわらずコロナ禍の中での生活は先がみえませんが、気持ちを明るく持って行きたいものです。

22年12月24日

前夜は定例金曜ZOOM飲み会に出たり入ったり。
翌朝早くから激安八百屋に自転車で遠征しようと思い、せいうちくんは早寝したけど、来週の宴会の出欠を取らなくちゃ。
とりあえず22時から入っていた3人は参加希望変わらずなのでまだ返事をくれてないHくんとYちゃんがZOOMに現れたら知らせてくれ、と一番正気を保てそうなSくんにお願いして落ちた。

ところが、また突然息子が泊まりに来ることに。
さすがに用事が多くて疲れているのと彼自身婚姻届けを出す2日前じゃないか!と断ろうかと思った。
しかし、独身の彼に会うのはもう最後だろう。
新しい籍に入る前の息子の顔をしっかり見て、できれば気の利いた人生観や結婚のコツをひとつふたつ伝授できたら嬉しい。
泊まりに来るがいいよ。
幸い晩ごはんの麻婆豆腐と青梗菜のオイスターソース味が残っている。

0時20分頃にSくんが「Hくん来た」と知らせてくれた。
参加の返事をもらって、おまけによく思い出したらYちゃんは今週実家に行っていて忙しいので、入れるかどうかわからないと言ってたんだった。
あとで個別に参加かどうか聞いておこう。

0時半ごろに息子が来たのでまたZOOMは落ちる。
入籍前の気分を聞いたら、幸せだそうだ。
大好きな人との結婚生活が始まるんだ、いくらすでに同棲してるからって特別嬉しいよね。
我々も一緒に住んでたアパートから一緒に式場に行ったわけだが、朝からケンカをして(と言うか、いつものように私が怒って)「もう式場に行かない!」とせいうちくんを困らせた覚えがある。
息子はめずらしく興味を示し、
「どんな理由でケンカしたの?」と聞いてきた。
そんなのとっくに忘れちゃったよ。大方せいうちくんが何か段取り悪かったんだろう。
結婚前から苦労をかけてすまないねぇ、せいうちくん。

息子が風呂に入ってしまい、せいうちくんは眠いけど息子が上がってくるのを待つと言うから私はZOOMに戻った。
Hくんはカラオケにもリベンジしたいそうだが、今回は水木一郎縛りだって公知されてるよ。
そう言ったら、「水木一郎か。それは困るな」って。
そもそも「キリンジ」や「ピーズ」なんて聞いたことない人たちに何をどうリベンジしたいのか。
まんがくらぶのカラオケはアニソンかせいぜい自分の好きな曲を大声で歌って、人が歌ってる時も知ってる歌だったら一緒に声張り上げるし知らない歌だったらその間に次に歌いたい歌を探すだけの、野蛮なカラオケなんだよ。
センスや歌唱力があったとしても誰も理解しない、不毛な望みだ。
もっと音楽好きな別の集団でやった方がいいと思う。

で、息子が風呂から出たので私もZOOMを出てまた息子とおしゃべり。
さすがにお互い疲れているので早めに寝たけどね。
起きたのが我々は9時。
息子が寝てる間に自転車で片道20分ぐらいの八百屋まで。すごく安いんだもん。

ところが!せいうちくんがおでんに必ず入れたい「三浦大根」はまだ出てなかったんだよ!
手巻き寿司に使う貝割れやシソの葉をいっぱい買えたのはよかったが、来週の平日に私1人でもういっぺん来るかなぁ。
顔なじみの売り子のおばちゃんに「あらー、また久しぶりねー」って言ってもらえた。嬉しい。

1年間マンガの紹介を続けてきた。
1日1作はけっこうキツくて苦労した。(数作ダブっちゃった)
もう二度とこういう企画はできまい。
それでも読んでくれる人たちにいろんなマンガを紹介できたのは嬉しいし、ナニカの達成感はある。
今週のマンガ紹介も先週と同じ、「このマンガがすごい 2023」からオトコ編オンナ編それぞれの第20位までの中で読んだことのあるものを挙げていきたい。


今日のマンガは山口貴由「劇光仮面」既刊2巻。オトコ編5位。
大学で「特撮美術研究会」通称特美をやっていた元のサークル仲間の1人が死んだ。
彼の葬儀に集まった5人のメンバーは、コツコツと手作りをしたアクタースーツ(着ぐるみ)で学生時代の活動そのものを再現し、仲間を弔う。
彼らは子供の頃に観た特撮にハマり、「星雲菩薩ネビュラブッディ」や「魔改探偵ベーアサーダ」などという名のなつかしいアクタースーツを自作し、装着し、世の中の小さな悪を懲らしめる活動をしていたのだ。
そのために過剰防衛どころか傷害罪の判決を受け、執行猶予が切れた今も慰謝料を払い続けている主人公・二矢(オトヤ)は元々生きている実感に乏しい性格だったが、正義の味方「空気軍神ミカドヴェヒター」に変身している時の感覚を「劇(まぶ)しい光に包まれた」と表現する。
実際に世の中に悪が現れそうな第2巻の終わりで、次巻以降彼らは人類を守ってくれるのだろうか。

22年12月25日

息子が入籍した!
昼頃に「これから(役所に)行くね」と連絡があり、数時間後に「出したよ」と報告が。
私たちにとっては初めての「子供の結婚」だ。幸せで胸がいっぱいで泣きそう。
式はいずれやりたいと考えているんだって。お金貯めなきゃね。
幸せそうな2人の笑顔の自撮りを送ってくれて、「ああ、婚姻届けを両側から持ったかっこうで窓口の人に撮ってもらおうとは思いつかなかったんだな」と2人の「インスタ映えしない態度」が微笑ましかった。
コント屋として不安定な生活を送る息子を選んでくれたカノジョに感謝している。
若い二人のこれからの幸せを祈り、見守っていきたいと思う。

せっかく写真をもらったのでSNSに載せたり友人たちにLINEで送ったり、目が回った。
張り切り過ぎて空回りし、あちこちで誤爆を起こした。
友人に別の友人の名前で呼びかけてしまったり、友人あてのLINEをこともあろうにカノジョに送ってしまったり。
祝福している様子しか書いてなかったから、「誤爆です…」と謝ったら彼女もすぐに「みなさんに喜んでいただけて嬉しいです」とお返事LINEをくれた。
午後はぐるぐると自分のしっぽを追いかけるような状態で、とてもくたびれた。

幸せになってほしい。
夫婦が仲良く生活していたらたいていのことはなんとかなる。
それこそ「健やかなるときも病めるときも 富めるときも貧しいときも」いつも互いの手を離さなければ歓びは2倍に、悲しみは半分になると思う。
私たちもお互いに大いに助け合って幸せに生きてきたので、息子たち夫婦もそうなるといいな、と心から願っている。

新年に泊りに来てくれるそうだ。
近所のとても美味しいケーキ屋さんに白いホールケーキを予約しに行ったら、さすがの評判の店、クリスマスの今日は普通のケーキを一切販売せず、予約を受け付けたクリスマスケーキを渡すだけで手いっぱいの様子だった。
お客さん用のテリーヌショコラとか年賀の挨拶用の箱入りレモンドーナツセットとかも買おうと思ってたけど、ケーキの予約注文だけして帰る。
「結婚おめでとう!カノジョ&息子」のプレート付けてもらうようお願いしたよ。
名前の順には気を遣っている。

年賀状にも、どっちを先に書くか迷った挙句、1ヶ月年上だからと「せいうちカノジョ様、息子様」で投函しておいた。
男の名前が先、って決まってるわけじゃないもんね。今じゃ混合名簿があたりまえなんだし。
息子は大黒柱でも稼ぎ頭でもないんだから、どっちを先にするかはいったんは悩みたい。

「あなたの入籍が嬉しすぎて興奮したから、ジョジョを1巻から読み返し始めた」と息子に知らせたら、「これまた長い旅路に」と言われたが、「人間讃歌は勇気の讃歌」と彼が教えてくれたからこの素晴らしいシリーズを読めたのだ。
「ジョジョリオン」が終わって悲しんでいたら、今度は「ジョジョランド」という新作を描くらしい。
息子と2人、楽しみにしている。


今日のマンガはオトコ編12位の安田佳澄「フールナイト」既刊5巻。
地球が厚い黒雲に覆われて100年、陽の差さない夜と冬の続く24世紀、酸素が不足した世界。
老齢や病気で余命の少ない人間に「種子」を植えつけて植物化させる「霊花」技術によって生み出される植物でかろうじて人類は酸素を得ている。
2年たてば完全に植物化してしまうが代わりに大金が与えられるので、いっときでも贅沢な生活をしたい者、子供や孫のために植物化を願い出る人たち。
数少ない富裕層は、彼らを材料にした高級木製家具を楽しんで生活している。
ものすごいディストピアものなんだが、達者な画風が画面の暗さにも負けず、「霊花の声を聴くことができる」主人公トーシローの行動を浮かび上がらせてくれる。
こちらもまだ事件が始まったばかりで世界がどう変わるのかわからず、手に汗握る。

22年12月26日

私にしては早起きをして、激安八百屋に電話して三浦大根の入荷を確認したうえで、自転車飛ばして買い物してきた。
こっちの駅前に戻ってアイスバーの補充もする。
今日はなんだか働き者だ。

午後は美容院。お正月だからいちおうきちんとしよう。
「2カ月は持つようにお願いします」と注文つけて前髪切ってもらったから、今の状態は「チコちゃん」みたいになってる(涙)

夜は2人ともぐったりしてて、夕食とお風呂をさっぱりとあきらめて冷蔵庫の残り物を適当に食べてすませ、早々に寝床へ。
でも、いくらなんでも19時から寝ようってのは無謀だったかも。
私は無限にジョジョ読めるからいいんだけど、いったんは寝入ったかに見えたせいうちくん、やはり寝つけないのか途中でトイレに行ったついでに目が覚めてしまったらしい。
仕事をしたりPC見たり本を眺めたりしているうちに眠気が来た、と言いつつ、結局眠ったのは23時半頃。

それでも「時間がぜいたくにたっぷりあったね。お風呂と食事って、意外と時間がかかるもんだねー」と2人で顔を見合わせた。
ピザを食べ続けるという謎のダイエットでそれぞれ4キロぐらいやせたので、このまま続けようかしらん。
少なくとも料理を作ったり食器を洗ったりの手間がいらない。
問題があるとすれば費用面と血圧だろう。

おととい水餃子を食べたら体重がアップしたので2人ともあわてて昨日と今日の食事を「冷奴」ですませたりしたのだが、やせる気配はない。
ピザじゃなきゃダメなのか?!
今後どうしていこうかしらん。


今日のマンガは「1122」でハマった渡辺ペコ「恋じゃねえから」既刊1巻。オンナ編第13位。
主人公・茜の友人・紫は学生時代に塾の講師とつき合っており、彼にヌード写真を撮らせた。
のちに彼はその写真を想わせずにはいられない彫刻を発表し、「自分の芸術」と言い切る。
モデルは紫と関係ない、と。
渡辺ペコはもともと人間や出来事のイヤーな部分を描写するのが上手いマンガ家さんだが、これはまた強烈に不快感がある。
「リベンジ・ポルノ」などを含めた性的搾取を受ける側からすれば、思い出したくもないことを衆目に晒されるわけだから。
本人の同意なく人目に触れるその作品はただの「アート」ですまされるものだろうか。
彼女の作品からはいつも「私を搾取するな!」という強烈なメッセージを感じる。

22年12月27日

さすがの引きこもりの私も、この時期は走り回っている。師だって走るんだからしょうがない。
今日は息子夫婦へのご祝儀用に新札を作るのに銀行へ行き、隣の本屋に息子が読みたがっている劉慈欣の「三体0」を買いに入ろうとして、ふと立ち止まって考えたらゆうべAmazonに注文したんだった。あぶないあぶない。
そこから駅の向こうにせいうちくんから頼まれた「おでんの材料」を買いに行き、こちら側に戻ってスーパーに行って足りない食材をさらに買い足す。
帰り道の足を伸ばしてケーキ屋さんに行き、お客さん用のケーキや年賀のご挨拶用を買う。
我ながらなかなか充実した買物ぶりだった。

ただ、疲れやすくはなっている。
息苦しくなったり動悸がしたり、ひざの関節や腰が痛くなる。
もう老齢だから仕方ないと割り切って、ゆるゆるやろう。
私の欠点は急ぎ過ぎることなんだろうから。
なにごともゆっくりやれればそんなに疲れないし、失敗も少ないはず。
もっとも行動に移る前にぐるぐる考えすぎる急ぎ方なので、実は失敗はさほどしないんだよ。

しかし久しぶりの料理は失敗したかもしれない。
私のせいだけじゃないのだ。
タラモサラダ作ろうとたらこ買ってきたら、ひと腹、つまり2本あると思っていたパック入りのたらこ、実は2枚に開いてあった!
妙に薄っぺらいと思ってはいたが、まさかこんなことが!
すでにじゃがいもをゆでてしまっていたので全体にたらこの量が足りないタラモサラダになったのは断じて私のせいじゃない。
もうスーパーのたらこは信用しないぞ。
明日は繁華街の魚屋さんに手巻き寿司の材料などを買い出しに行こう。

明日から8日間、せいうちくんはお正月休み。
しかし宴会をたくさん入れたので彼の自由になる時間はほとんどない。
「申し訳ないねぇ」と謝ると、
「僕だって宴会したいんだ!なんでも自分を中心に回ってて人に迷惑かけてるとか勝手に思うのやめて」とおかんむりだった。
久々の泊り客を迎えての宴会を楽しむといいよ。
酔っ払っても気にしないから、思い切り飲んでください、せいうちくん。


今日のマンガはオンナ編15位の雁須磨子「ややこしい蜜柑たち」既刊1巻。
もともとブックオフのBLの棚でよく名前は見かけていて、「あした死ぬには」全4巻で初めてしっかり読んだ。
今回の「ややこしい蜜柑たち」はひと言で言えば女友達の話。
友人の彼をふとしたきっかけで寝取ってしまった女性と、相手の女性側のさまざまな思い。
絵が「ヘタウマ系」のせいか、彼女の登場人物はやや表情に乏しく、何を考えているかわからない場合が多い。
いわゆる「不思議ちゃん」がそれぞれの棚に生息しているような。
熱烈な理解を喜ぶ私としては「なぜこの人たちはみんなこんなに淡々としているのだろう?」と気がもめて仕方ない。
その浮世離れが魅力なのか、雁須磨子。(そもそもペンネームがスゴイ)

22年12月28日

めずらしく私もせいうちくんと一緒に8時に起きる。
さあ、冬期休暇の始まりだ!
まずはせいうちくんが昨日仕込んだおでんの大根やこんにゃく、玉子を味付けし、さらに温める。
そして低温調理機にローストポークを仕掛ける。
そこまでやって、彼は師走の銀行に庶務の用事で出かけて行った。
私も午後には合流し、一緒に忘年会の買い出しをしていったん別れ、今年最後の心療内科通院をする予定。
18時からは3日間にわたる宴会の始まりだ。
忙しいぞ~。

今年もおでんの玉子は失敗していた。
茹でてよく水で冷やしたつもりだったが、殻がくっついて白身があばた状にでこぼこになってしまった。
こういう玉子を名古屋の友人Cちゃんは「性悪な玉子」と呼ぶ。
20個もの性悪玉子を剥いて、くたびれ果てた。
まあその分、味が表面にしっかりついていいか。
隠し包丁を入れたようなもんだ、と開き直っている。

10時半頃、銀行の用事2つのうち1つがすでに終わり、2つめの銀行の手続きが早く始められたから予定より早く終わりそう、との連絡を受けて、私も家を出る。
向こうの駅に着いて言われた銀行を訪ねて案内を乞うと、せいうちくんのいる商談ルームに連れて行ってもらえた。
銀行の手続きって色々大変だなぁ。
お義父さんの信託関係のようで、せいうちくん働き者!とあらためて感心する。
30分ぐらい同席して手続きが終わるのを待ち、一緒に師走の街に繰り出した。

100均の店でいくつか買い物をし、ロフトでお正月飾りを買い、いよいよ本番は勢いのある駅ビルの鮮魚と肉コーナー。
ただ、今日はまだどこの会社も仕事納めで動いているはずの日なので思ったほど混んではいなかった。
わりと楽に買い物できたよ。
新年に初めて夫婦として訪ねてきてくれる息子たちのために、彼が大好きな我が家のおせち定番のローストビーフ用に牛ももブロックを買う。
ひと塊で1万円近くする!しかしここだけは踏ん張らねば。
目まいがした状態のまま3度の宴会で食べる予定の手巻き寿司、ネタをあれこれ選んでいく。
正月前のマグロは高い。何もかも高い。
歯を食いしばって買いまくり、家計簿をつけるのは来年のことにしよう。
きっと新年から腰を抜かすだろう。

生ものを持って早く家に帰るべきせいうちくんと駅で別れ、私はお正月用の花を買い、麻痺した金銭感覚のまま駅ビルの2階を移動していたらあれこれ目について、つい息子夫婦へのお年玉プレゼントを買い込んでいた。
おそろいのエコバッグと箸を2つずつ。
箸は新年に使ってもらい、そのあとはうちで保管して彼らが遊びに来たとき専用に使おう。
レジに並んでいる間に、頭をわしわしと触ってもらうのが大好きなせいうちくん用にヘッドマッサージャーを衝動買い。
いかん、今、気持ちと財布のひもが同時におかしくなっている。

カフェでひと休み、とも思ったがもう病院に行ってしまおうと午後の診療がまだ始まっていないだろう2時過ぎ(看板通りなら15時開院)に訪れてみると、もう入れてくれるじゃないか。
おまけにすぐに診察室から患者さんが出てきて、私が呼ばれた。
先生、昼休みもなく仕事してるのかい!

息子の結婚の報告をし、「今年は引っ越しもあって大変な年だったけど、よくやったと思います」と言うと、
「うん、十分すぎるぐらいやったよ。来年はもう少しゆったりした年になるといいね」とねぎらってくれた。
今の状態のまま暮らしていけばいいらしい。
これから迎え撃つ宴会の日々を乗り切るため、頓服的な強力安定剤を6日分ください、とお願いしたら快く応じてくれた。
てっきり「そんなに宴会しちゃダメだよ」って言われるかと思ったのに。

処方箋をアプリで家の近所の薬局に送り、荷物も多いしくたびれたのでタクシー拾って帰った。
薬局前で降りたらちょうど薬ができたと返信が来たので、ピックアップして家へ。
せいうちくんは宴会の準備に入っており、予定より早く用事がかたづいてるから2人ともちょっと休憩を入れることにした。
せいうちくんはパジャマに着替えて眠り、私はベッドでマンガを読みながら風呂を溜め、お客さん前に入浴しておこう。

2時間ちょっと寝てリフレッシュしたせいうちくんと風呂上がりの私が待つ我が家に、最初に時間通り到着したのはリアルで会うのは6年ぶりぐらいのNくん。
過剰接待のあおりを食らって役所を辞め、実父の介護をしていて再就職してないと思っていたが、会うなり名刺をもらえた。
もう新しい仕事を始めていたらしい。
お父さんも、誤嚥の心配があるのでひとり暮らしはさせられないが、入浴の手伝いが必要な程度で思っていたほど重い介護ではないようなのでひと安心。
アラカンの人々が親の介護に追われているのは確かだが。

抗体検査をしてもらっている間に今夜のお客さんの長老、Gくん、Sくんが遅れながらも続々到着した。
全員の抗体検査が終わって本格的に飲み会が始まるまで1時間ぐらいかかっていたと思う。
全員シロで、とにかく乾杯だ。

タラモサラダとサーモンマリネを出し、お客さんたちが持ち寄ってくれたおつまみやお惣菜を広げたらテーブルがいっぱいになってしまった。
ビールで乾杯したあとはこれまた持ち寄りのワインやウィスキーをてんでに飲んでいた。
私はビール2杯で酔ってしまったので、あとはお茶を飲んでいた。

毎週ZOOMで会っている長老たち3人も、リアルで会うのは久しぶりだ。
まして皆の前に長いこと姿を見せなかったNくんが来てくれたので、おしゃべりがどこまでも弾んでいた。
酔っ払ったNくんがカウンタで赤ワインをこぼし、新築の我が家(もう1年も経ってるけど)の壁クロスにふた筋の紅い縦線を入れてしまったのが大事件。
みんなで一生懸命拭いて、目立たないようになった。
長老は嬉しそうに「昔、コンパに白スーツを着てきた女性に赤ワインをグラス一杯ぶちまけた」話を開陳していた。
Nくんを恐縮させてしまって、かえって申し訳ない。

参加の予定だったKくんは仕事の用事が長引いて不参加。
Nくん以外は今日は泊まりの覚悟で来ているのでペースが速い。
巻き込まれたか久々の宴会が楽しいのか、Nくんも相当酔っ払っていた。
予定の2時間を過ぎて3時間に近くなる頃、
「そろそろ帰らねば」と名残惜しそうに、しかし明らかにふらふらになって帰っていったNくん。
無事帰りつけるかな、と全員が心配になったよ。

ソファで寝込んでしまったGくんのおなかに長老が落書きするのはお泊まり宴会のお約束。
「マジックないか。油性は気の毒だ。水性のやつ」と言うので筆ペンを渡しておいた。
優しいね、長老も私も。


本当に珍しく早い進行で、22時ごろには長老が睡眠薬を飲み、寝る準備に入っていた。
だが夕方起きたばかりだ、と言っていてうとうとしがちなGくんが、彼にとっての起きてる時間帯に入ってガンガン飲み始め、ヒートアップして場が面白くなるばかりで長老は興奮しきってちっとも寝ようとしない。
やっと皆が布団に入ったのは0時ごろだろうか。
私が歯を磨いている間に寝室に1人で入ったせいうちくんの横にまたもぐりこんで、私と間違えて抱きしめる様子を撮影しようとGくんを先頭にした撮影隊が入って行ったようだ。
煌々と明かりがついていてベッドに座って本を読んでいるせいうちくんのぽかんとした顔だけを撮影して敗退していた。

せいうちくんはたちまち入眠したが、他の3人はその後もリビングでごそごそと活動していた模様。
こうしてせいうちくんの冬期休暇1日目と宴会第一夜が暮れていった。


今日のマンガはオンナ編17位、中村颯季・原作×ゆき哉・キャラ設定×尾羊英・画の「ふつつかな悪女ではございますが~離宮蝶鼠とりかえ伝~」既刊4巻。
とある時代の後宮で、5人の皇帝夫人たちの庇護を受け、次代の皇帝夫人となるべくそれぞれの「雛宮(すうぐう)」で育てられている「雛女(ひめ)」たち。
中でも皇太子の寵愛厚く、「殿下の胡蝶」と称えられる黄玲琳はその美しさと人柄とすべての技術にたけた才能でピカイチだった。
非常に病弱で、床に伏しがちなことを除けば。
翻って、家柄から雛女には選ばれたものの、居丈高で意地悪い性格、ねじ曲がった性根と不器量から「後宮のどぶネズミ」と蔑まれる悪女、朱慧月がいた。
炎を操る朱家の出である彼女は、「ほうき星」が流れる夜に道術を使って玲琳の身体と自分の身体を入れ替えてしまう。
気絶から覚めた玲琳は、慧月の姿になっており、しかも玲琳を楼から突き落とした罪を背負っている。
生まれて初めて「健康で少しも具合の悪くない身体」になった彼女はその運命をかえって喜び、魂の入れ替えについては口にできない道術の支配下にあっても生活を楽しみ、嫌われ者で罪人の慧月としてまわりの人々の信頼を得ていく。
一方、まんまと玲琳の身体を乗っ取った慧月だがあまりの病弱さに寝込むばかりで皇太子を誘惑するのもままならない。
人々がそんな2人の違和感をひそひそとささやくようになった頃、宮中に新たな陰謀が。
原作小説の出来が良いのだろうが、それ以上にマンガ化した作品がいいと思う。
可愛らしく、達者な絵だ。
ねこクラゲの「薬屋のひとりごと」に似た宮廷生活の描写が面白い。

22年12月29日

全員朝早く起床して、7時から駅前で「朝カラ」に挑戦する。
持ち込み自由なカラオケ屋なので、保冷バッグにビールをたくさん入れ、昨夜のつまみの残りも持って行った。
長老の勅令で今年亡くなった「水木一郎」の歌のみ、という縛りだったんだが、いかなまんがくらぶの面々でもそれで5時間はキツイ。
「マジンガーZ」や「キャプテンハーロック」を歌いつくしたあと、すぐに「今年亡くなったミュージシャンや映画関係者等」と改められた。


私は喜んでC-C-Bの「ロマンティックが止まらない」を歌い、皆もオリビア・ニュートン・ジョンなどを歌うがそれでも2時間たつ頃には、いつもは上限の20曲まで選曲予約がパンパンのカラオケなのに1曲も予約が入ってないって事態に直面した。
皆、苦し紛れに必死でスマホを操り、今年亡くなった人をググる。
「『エレキの若大将』の監督をした岩内克己が亡くなってる!」となれば加山雄三が若大将シリーズで歌ってそうな「白い砂の少女」や「夜空の星」を歌う。
「スタジオぴえろの布川ゆうじが亡くなってます!」となれば「クリーミー・マミ」が歌え、ボヤッキーの声の八奈見乗児が亡くなっているので「タイムボカン」が歌える。

混雑してきたら最短2時間で追い出されるはずのカラオケ屋なので覚悟していたのに、予想に反して朝カラコースをフルに5時間使えてしまった。
部屋代とソフトドリンク飲み放題(これで氷やジンジャーエールを手に入れ、酒を割る)で1人1100円。
なかなか安く上がったはいいが、こんなしんどいカラオケは初めてだった。

二手に別れて、せいうちくんはGくんと、私は長老とSくんを連れて買い物に。
金持ちのSくんは手巻き寿司のネタに「ウニ」を提供してくれとのリクエストにまったくひるまず、正月値段のウニをひと舟買ってくれた。太っ腹だ。
「せいうちさんがアカギのチョコバーを何十本もつかんで買うので驚いた」と言うGくんたちは先に戻っており、アイスやウニを冷蔵庫にしまったあとは18時からの宴会に備えてお昼寝の時間。
「昼寝つきの宴会は初めてだ」と皆で驚きながらそれぞれに寝る。
私はあいかわらず眠れなくて、その間に風呂に入っておいた。

参加予定のTくんが「前夜から喉が痛いので、時節柄欠席します。明日、病院に行きます」と連絡してきたので、新たな参加者はHくんと北海道から帰省のUくん。
Uくんが来るからこの宴会全体が開かれたようなものなんだよ。
空港からスーツケース引きずってやってきた彼を迎えて、せいうちくんが手巻き寿司の準備をしてくれる間に私は寿司飯をこさえ、手巻き寿司パーティーだ!
7人と人数が多いので、寿司の材料はカウンタに置いて皆そこで好きな具を取って手巻きにして席に戻ってないしは立って食べる立食形式にした。

さすがにウニが人気で、あっという間になくなった。
「足が早いので先に食べて始末してもらいたい」とせいうちくんが頼んだイカもよく売れた。
つけ合わせの野菜、貝割れと大葉ときゅうりもなくなった。
手巻き寿司は本当に重宝なパーティー食だ。
今回はちと人数が多かったが、楽ではあった。またやろう。
と言うか、新年早々2回やる予定なんだよね。

睡眠時間帯が太陽の運行とずれているGくんは手巻き寿司を食べる時以外ずっと寝ていた。
ソファに転がったきりあまりに動かないので、長老が心配し、
「みんな、定期的に彼をつついて生きてるかどうか確認するように」と言ったほどだ。
私も酔っ払ってお客さんが昼寝をしていた布団を敷き直して寝ていたが、誰も心配してくれなかったぞ。

しかし、私が会話に参加しないというのは意外な効用をもたらすものだ。
普段はワインの話以外あまり自分のことをしゃべらないUくんが、長老から昔のまんがくらぶの話を聞いて喜んだり、聞き上手なせいうちくんにいろいろ話したりしていて面白かった。
私が入るとつい、人の話をまとめてしまったり自分の話に持って行ったりするので、なかなかUくんのようなタイプの本音は聞けないのだ。

「うさこさんは、息子さんが結婚する、その相手の方に感謝する言葉をFBに書いています。これは、素晴らしいことですよ。子供にとって親にそう言われるほど嬉しいことはありませんよ。とてもとても素晴らしいです」と興奮していたUくん。
まんがくらぶには親とうまくいかない人が多い。
戦争を経験している世代なせいなのか、子供の東大合格という期待が叶ってしまっているせいか、親が世間的な価値観を重視しすぎる傾向があるようだ。
Uくんは現代日本の親子関係が全体に歪んでいると思っているらしく、
「外国では他人に殺されます。日本の殺人、これは実は家庭内が多いんです。親が子を殺す、子供が親を殺す。おかしくないですか?」
「日本と韓国で、10代の若者の死因の一位は自殺です。おかしいでしょう。なんで親に言わないで悩んで自殺するんですか。親に言えない構造なんです」
と力説していた。

そこらへんで起きて話に混ざったが、もう23時近い。
昨夜泊まったSくんは「僕にも家庭がありますので」と早々に帰っていた。
Hくん、都心のホテルを取ってあるUくんは一緒に駅へ向かう、と言って帰った。
楽しい宴会だったなぁ。
この楽しさはちょっと口や筆では言い表せない。
長年の友人が集まって、長い時間をしゃべって過ごす。
コロナ以来、こういう機会はずいぶん失われていたんだと思い知る。

2人を見送ってしばらくしてやっとGくんが起き出した。
よく考えたらHくんとUくんはGくんとはほとんどしゃべってないんじゃないだろうか。
洋楽に詳しいHくんは高見沢さんを「世界では何番目ぐらいのギタリストでしょうか?」と私に聞かれ、「400位ぐらいですかねー」と適当に言ったので詰め寄られ、また、
「皆さんは知らないでしょうが〇〇という有名なギタリストがいて」という発言が「皆は知らないが私は知っている、というマウント」と叱られたせいか、後半あまりしゃべらなくなってた。
Uくんの迫力に押されていたのかもしれない。

せいうちくんがお風呂に入って本格的に飲み始め、4人でいろいろ笑い転げた。
酒が入っていると箸が転んでも可笑しい。
長老が「ホモは嫌いだ。SDGsとかうるさい」と言うので、かっとして、
「性指向はいろいろある。私はせっかく生まれてきたSDGsの芽を摘みたくないんだ」と言い返してしまった。
LGBTと間違えるだろうと、長老が罠を張って待っていたのに見事にハマってしまった。くやしい!
こういうところで間違えると本当に恥ずかしいじゃないか!
Gくんがあっさり要約する「持続可能な性癖」も可笑しすぎて腹立たしい。
ああ、これから数年はこのトラウマに悩まされそうだ。
ADHDとADSLを間違えたりする人を笑えない。

楽しい会話は3時近くまで続き、それでやっと我々は寝た。
リビングからは長老とGくんの楽しそうな声がずっと聞こえていたよ。
宴会2日目、終了。


今日のマンガはオトコ編4位の末永裕樹・原作、馬上鷹将・画の「あかね噺」既刊4巻。
落語家を父に持つ娘の、落語への挑戦物語。
男の子スポーツものが多いジャンプで、女の子の落語って文科系はわりと珍しいんじゃないだろうか。
そもそも落語はテーマとして非常に面白いが、一方描きにくい難しいものだ。
主人公・朱音のまっすぐさは少年ものに負けない力強さを持ち、男子読者から「女の子」扱いされない迫力がある。
息子から「面白いよ!」と言われて買ってあったのがまさかの第4位。
いいマンガ読みに育ってくれたなぁ、我が息子よ。

22年12月30日

朝の11時に起きたら、長老とGくんはもう起きて朝飲みしながら大型テレビでYouTubeの鉄ちゃんサイトを見てた。
雪景色の中をひたすら列車が走るのを、運転席後ろのポジションからずっと撮ってる。
乗り鉄であるGくんはよくこの手の映像を見てるらしい。
「さすが4Kだ。YouTubeの画像も綺麗に補正してある」と2人とも感心してたみたいだ。

せいうちくんを起こし、やっと箸をつけてもらえたおとといから製作の「おでん」を食べる。
13時頃までそうやってぼんやりすごし、「この家は客をすぐ追い出したがる。そんなに2人きりになりたいのか」と昨夜は悪態をついてたGくんもすんなり帰ってくれた。
ほらほら長老、スマホ忘れてるよ。
きっと今から2人で繁華街のヨドバシでPCとか冷やかし、回転寿司を食べるんだろう。
良いお年を。

「やったね!2泊3日の宴会を成功させたよ!2人でやり遂げたね!」と手を取り合って喜び合い、しかし今日はもうレコード大賞の日であると気づいて愕然とする。
私が休んでいる間にせいうちくんが家中の掃除をしてくれた。
あとはこの日記を上げてしまえば今年の用事はすべて順調にしまいだ。
この3日間、お客さん最大7人の宴会をきちんとやり切れるかどうか、とても心配だったんだよ。
楽しく終われてよかった。

喉が痛いからと昨夜の宴会を欠席して病院に行ったTくん、検査の結果、陽性だったそうだ。
「タイミングによっては皆さんに感染させていたかもしれません」とメールが来て、確かにTくん、ナイス判断だった。ありがとう。
心からお見舞い申し上げると同時に宴会の無事を喜ぶ。


今日のマンガはオンナ編15位のSEKO KOSEKO「マダムたちのルームシェア」。
ついに出た、様々な理由からのシニアおひとりさま女性が中年後をどう過ごすかを描いた作品。
女性のルームシェアマンガは多数あるが、時代が進んだと感じる。
私のまわりでも「老後はルームシェアしようか」とか「女性だけの小さな老人ホーム的ルームシェアを考えている」などとの発言を聞く。
そろそろ親を送ったあとの生活を考える年頃なんだろう。
人生を最後まで主体的に楽しむ、新しい女性の生活スタイルのひとつとしてとてもいい提案をくれたマンガだ。
自分は性格に問題があるので他の女性たちと暮らすのはきっと断られると思うが、憧れるなぁ。
女性にも男性にも、選択肢が増えるのは素敵なことだと思う。

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