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マンガ読みの年中休業うつらうつら日記(2022年9月10日~16日)

大きな台風が九州南部を襲いました。多くの被害が出たようです。東京でもうちの前の小路が冠水したり、埼玉の息子の近所ではすねまで来るほどの冠水だったり、大雨でした。コロナ禍の最中の避難生活は困難を極めたと思います。九州の皆様、ご無事でありますように。エリザベス女王の国葬も行われ、来週はわが国の元総理大臣の国葬があるでしょう。今でも釈然としませんが。

22年9月17日

昨夜の定例ZOOM飲み会。
先週、翌日に実家を訪ねてお母さんのケアを同居の弟さんと話し合うと言っていたAさん。
今週はそのへんもっと詳しく話してくれたが、やはり要領を得ない話みたいだ。
どうも弟さんの言うことがおかしいようで、
「電話が盗聴されている」「スマホをなりすましに乗っ取られた」「機種交換しようにもスマホ会社の販売員が怪しい。細工されるかもしれない」などと言い出しているそうだ。
どう説得しても聞く耳を持たないらしい。

正直、そこにいた全員が弟さんの精神状態を心配している。
統合失調症の人が主張することの見本市のようだったからだ。
そうするとお母さんよりまず弟さんを医師に診せるなり投薬をしなければならないかも。
お母さんのケアマネさんと連絡を取って、第三者の目で事態を見てもらったその結果を聞くのがいいのはないか、とだいたいの結論が出る。
実際、他にやりようがない気がする。

義父と義母を看取り、今後は実母の介護をしていこうとしている経験豊富なBさんからの意見が大変貴重で役に立ったようだ。
我々もせいうちくんのお父さんが特養に入ったばかりなので、介護離職をして苦労をしょい込んでいる形のAさんの弟さんには施設を検討し、1人きりの介護から手を引いてもらうのがいいのではないかと思う。
それぞれの考える「親孝行」の形が違うだけで起こっている対立だし、施設入所が必ずしも悪いことではないだろう。

おおむねその話でもちきりで、Aさんも現在抱えている困惑や悩みを友人たちと共有できてほっとしたのはでないか。
コロナ禍で互いに会うことも難しい時期が続いているので、こんな時はZOOM会があってよかったなと感じる。

せいうちくんはあいかわらず仕事に追われており、ZOOM会には参加していたものの途中でスマホに仕事の連絡が入ったりしていた。
それを自分のマイクをオフにせずスピーカーをオフにしてしまったものだから、突然電話の相手と話し始めた様子がZOOMに流れており、皆さんからの「せいうちさん、仕事ですか?マイク、オフになってませんよ?!」の声は聞こえてなかった。
あわてて別室から私が飛んでいき、知らせたが、様々な事故が起こるもんだ。
特に漏洩するような話でもなかったのは幸いだが。

せいうちくんが寝てから私はいったん落ちたZOOMに戻った。
AさんBさんCさんと長老がまだ話を続けていた。
部屋主のGくんは本日車中泊の旅に出ているため、ギガを節約するのでZOOMは不参加、とFBで早々に表明があったのでいない。
またひとしきりAさん一家のこれからを話し合い、次第にみんな落ちて行った。
最後、長老と2人で30分ぐらい話して面白かった。
「じゃあ、これで終わりましょうか」と40分の区切りをきっかけに終わったのが3時過ぎだったか。

Gくんは同居していた甥御さんがすぐそばのアパートに引っ越すためレンタカーのワゴン車を使ったところ、荷物を運びこんでいるところを駐車禁止違反シール貼られたらしい。
罰金を納めなくてはならなくなり、一気に単価の上がったレンタカーを使わずにおくものかと、車中泊旅行に出発したという。
さすがは行動の人、Gくんである。
来週はその旅行の話が聞けるだろう。

翌日、せいうちくんは朝から仕事、私は寝ていた。
そのあと一緒に買い物に行き、仕事をはさみながら休日とも言えないような休日を過ごして、明日は大宮まで出かけて息子のカノジョとお母さまと会う予定。
台風が近づいているようだが、天気は大丈夫なのか。
いいビアガーデンがあるから行こう、との話だったが、天気次第では屋内のお店になるだろうな。
飲み過ぎて帰れなくなった時のためにもう泊まる気満々でビジネスホテルの予約を取っている。

今日のマンガは堀田つぐみ・原作、小畑健・作画の「BAKUMAN バクマン。」全20巻。
だいたい先週書いてしまったような気もするが、高校でクラスメートの秋人(あきと・シュージン)から「おまえは絵が上手い!原作を書くオレと組んでジャンプマンガ家を目指そう!」と誘われる最高(もりたか・サイコー)。
初恋の相手、亜豆も声優になる夢を追っており、両想いを確認した2人は「ジャンプで漫画を連載する夢がかなってアニメになったら、そのヒロインの役を亜豆がやる」という夢が叶うまで会わないことを決意。
実際にはサイコーの入院、亜豆の親友ミホとシュージンの結婚式などで会ってしまうが、基本メールと電話だけで励まし合う2人。
ひとクセもふたクセもある他のジャンプマンガ家たちとの交流の中、連載をいくつも重ねて次第に夢に近づくサイコーとシュージン。
実に後味が良い。「努力・友情・勝利」があますところなく描かれている。
小畑健は絵が上手いし、堀田つぐみとのコンビには「DEATH NOTE」全13巻、「プラチナ・エンド」全16巻など傑作が多い。

22年9月18日

夕方から大宮でカノジョとお母さまと飲む予定。
息子は仕事で同席できないが、指輪を渡してのプロポーズが終わったことだし事実上、超略式の結納のようなものだと認識している。

天気が怪しいのでカノジョに確認したところ、ビアガーデンはやはり営業していないだろうから駅ビルのイタリアンのお店を予約しておいたとのこと。
気が利いて行動力の人である。ありがたい。
大宮までは乗り換えひとつで案外楽な道のり。
座れさえすればあとは時間がややかかるというだけのお出かけだ。
家を出る時から大雨だったので家の前の小道が冠水しており、サンダル履きの私はまだしもせいうちくんの靴下とスニーカーはぐしょぐしょになって一歩ごとにぎゅっぎゅっと音を立てていた。

幸い電車内ではずっと座っていられて、大宮駅に立つ我々。
思っていたよりずっとずっと大きな駅前、繁華街だ。
前に息子を訪ねた時は車だったので駅を通らなかったため、まったく初めての大宮駅。
とにかくホテルにチェックインして、できればせいうちくんの靴を乾かそうと思う。
徒歩10分ではあるが雨が激しいのでタクシーに乗ろうと思ったが、皆さん同じことを考えているらしくタクシー乗り場は長蛇の列。
しかもタクシーはフル稼働しているのかたまにしか来ない。
しばらく待って「これはムリ」と思い、戦線離脱して歩き始める。
ここのタイムロスが痛かった。

何とかホテルまでたどり着き、せいうちくんに足元を乾かすようにと言ったのだが、彼はコロコロトランクで持って来た靴下を履き替えればいいと思っていたらしい。
靴を乾かさなかったら乾いた靴下を履いても何の意味もないじゃないか。
「ああ、そうか」と納得して備えつけのドライヤーをスニーカーに突っ込んで片方ずつ乾かし始めた。
部屋に入ってすぐ始めないと、時間ないぞ。

できれば大浴場にも入って体を温めておきたかったがそれほどの時間はなく、なんとか両足とも少し乾いた状態で靴を履くことができた。
「足元が乾いてると大変安心。うさこの言うことはいつも正しいね」とせいうちくん。
思いつかない方がおかしいんだってば。
まったく、この人は「自分が心地よくなるための行動」に思いが至らなすぎる。
我慢強いというか、与えられた状態を変えようと思わないのは性格的に大きな欠点であろう。
そのへんを補うために私がいると言っても過言ではない。

雨は上がっており、それ以上足元が濡れることはなくギリギリの時間に待ち合わせ場所に着いた。
カノジョはもう来ており、「今着いたばかりです。遠いところをありがとうございます。母はあとからお店に合流します。行きましょう」と先に立って歩き始めた。

広いイタリアンのお店だった。ピザ焼き窯がある。
お母さまを待つ間にだいたいの注文を決めておいた。
ピザを2枚と、580円足すだけで量を倍にしてくれるパスタを2種類ぐらい。
「2時間飲み放題」をつけた方が安く上がるかも、となってそれをつけましょう、と。

カノジョの手元がずっと気になっていたんだが、左手の人差し指に息子が贈ったサファイヤの指輪をつけてくれていた。
でも人差し指ってことは、エンゲージリングをはめる薬指には大きすぎたってことかしらん。
聞いてみるとその通りだそうで、今度近くの指輪屋さんどこでもいいから行って、リングゲージを使って正確なサイズと共に息子経由で指輪を戻してくれたら、こちらで直しをしますから、と伝えておいた。

お仕事上がりのお母さまがやってきて、ご挨拶ののちとりあえずオーダーする。
先ほど決めたあたりでお母さまも問題ないそうなので、食べ物を頼むついでに飲み放題で3人が生ビール、カノジョは桃と紅茶のアルコール入り飲料を頼んだ。
お酒が来て乾杯し、さて、話の始まりだ。
お会いするのは2度目だからそれほど緊張しないでいけるぞ。

前半はまあお互いの家族の話をする感じ。
ごきょうだいのうち結婚しているのは1人だけで、そのお兄さまが今、奥さんの育児うつで困っているらしい。
お母様の近所に住んで、保育園と小学校に通う2人のお孫さんを同居の長女さんとお母さまが週末は見て、カノジョもその手伝いをしているんだって。
だから「実家が大変なら近くに住んだら?」と言って大宮から下北沢に通っている状態の息子は、
「優しいですよね。なかなかそこまで思いやってくれる男性はいませんよ」とお母さまから高評価を得たのだろう。

結婚の話に近づいたのでぐいっと出て、
「指輪も受け取っていただけたわけですし、もう認めていただいたと思っていいでしょうか?」と尋ねてみた。
答えは、「私、息子くんを待ってるんですよ」。
つまり、プロポーズして指輪を受け取ってもらえたら、とにかく親に(お父さまは亡くなっておられるのでお母さまに)きちんと挨拶をし、結婚したいと言いに来るのが筋だろう、と。
確かに。息子はそんなご挨拶もまだしてなかったのか!

お母さまはまっすぐな気性の方で、結婚についていまさら反対も何もないけど(「むしろ、今やめられたらこっちが困っちゃいますよ笑」)、挨拶に来て筋を通してほしいのだろう。
そこが終わらないと結婚式自体の話には持ち込めないようなので、息子に早く行くように言っておくことにし、今回は具体的な話にはならなかった。

でも、大事なことはお伝えした。
「『お嫁に来てもらう』『せいうち家に入ってもらう』という考えはまったく持っていません。2人の考えの通りに暮らしてもらいたいし、我々もカノジョ本人やお母さまやごきょうだいたちと良い関係が築ければと期待でいっぱいです。でも、あくまで結婚するのは本人たち2人でなので、何もかも彼らの問題だと思います。姓ひとつとっても、カノジョに『せいうち〇子』になってほしいとはまったく思っていません。むしろ下の名前で活動している息子の方がそちらの姓を名乗らせていただいても不都合はないと考えています」

お母さまは少し驚いたようだった。
「お父さん、お母さん、ずいぶん新しい考えをお持ちなんですね。長男さんなのに、よろしいんですか?」
「第二子だからというわけでもなく、長男という意識を持ったことはありません。家を継ぐとか名前や墓を残すとかも関係ないです。あくまで若い2人が自由に結婚してくれればと思っています」
お母さま自身が農家の嫁を務めて夫の急死ののちに子供たちを連れて婚家を飛び出したぐらいだから、我々があまりに何もかもかまわないのでかえって無責任と思われることもなく、いい印象を持っていただけたようだ。

生ビールをジョッキに2杯、白ワインを1杯飲んでいた私はこのへんでかなり消耗し、緊張で表情筋が固くなって顎の関節が攣りそうなぐらいだった。
ちょっとうとうとしてしまった。
「お母さん、大丈夫ですか?」と言われて「はい!」とは言ったが、けっこうヘロヘロであったことだろう。
最初はお食事をしたあともう1軒、今度は居酒屋的なところでゆっくり、と思っていたのだが、イタリアンで飲み放題をつけたため、思いのほか長く時間を過ごしてしまった。
明日はお母さまとカノジョで孫たちを遊びに連れて行くのだそうだからあまりお引き止めもできない。
それでも17時から21時半ぐらいまでお話ししたのだから、相当な長居である。

こちらからは近所のケーキ屋さんのレモンドーナッツ10個詰めをお渡しし、お母さまからは「もみのり」とアマノフーズの「味噌汁セット」をいただいた。
生活の中で役に立つちょっとしたものを贈るのが上手な方だと、前回の「高級出汁の素」「つゆダレ」小瓶セットの時と同じように驚嘆した。

駅でお母さまと「今度ぜひ一緒に温泉旅行に行きましょう!」「大宮は意外と来やすかったし、いい街でとても気に入りましたのでまた飲みに行きましょう」と声をかけてお別れした。
カノジョと息子のアパートは我々のホテルと同じ方向なので、カノジョと3人でぽつぽつ歩く。

カノジョも晴れ晴れとして楽しそうだった。
分かれ道でお別れし、ホテルに帰って男湯と女湯が時間交代制になっている大浴場、とりあえず女性の時間に間に合ったので私は風呂に入りに行った。
もどってきたらせいうちくんはほとんど寝ていた。
「もうじき男性のお風呂になるけど、行かないの?」
「うん、今日はもういい」
「スゴイね。息子が挨拶に行きさえすれば、もうじきに結婚だよ。式の前に入籍もアリだから、ホントにすぐかもしれないよ。息子が、結婚しちゃうんだよ!」
「ホントだね~!結婚!」
2人で興奮して、でもすごく疲れているのでベッドに横たわったままじたばたする。

そうだ、息子は今夜イベントから帰ってくるってカノジョが言ってたから、明日の朝大宮を発つ前に彼に会えるかも。
というより、こんなに近くまで来て会わずに帰れるものか。
Messengerで連絡とったら「ぜひ会おう!」となったので、とりあえず寝よう。

ああ、嬉しい。
しっかりしてて優しく可愛いカノジョが、息子と人生を共にしたいと言ってくれている!
自分たちの子供が結婚する!
考えているようで考えたことのないリアルにぶち当たった感がある。
嬉しいなぁ。

今日のマンガは小玉ユキ「青の花 器の森」全10巻。
長崎・波佐見の町で陶芸工房に勤め、絵付けを担当している青子。
過去に恋人に裏切られた経験から恋に憶病になっている。
そんな彼女の前に現れた、海外で作陶活動をしていたが波佐見で磁器を学びたいと修行にやってきた年下の男性、龍生。
窯の火災で親友を亡くした彼は工房の誰にも心を開かず、ただ自分の陶芸を追求する。
しかし、彼の陶磁器に青子が絵付けをしたのをきっかけに次第に青子に心を惹かれていく。
青子も、再会した過去の恋人との思い出を吹っ切り、自分の仕事をしようと決心する。
そんな2人が少しずつお互いを理解し、一緒に食器を作っていこうとするさわやかなラブストーリー。
作陶って大変なんだなーと初めて知るお仕事マンガでもある。

22年9月19日

ぐったり寝た翌朝は起きるのも面倒くさくて朝風呂も朝食も全部パス。
10時のチェックアウトには間に合うようにベッドから這い出して荷造りをした。
息子は10時にホテルの前で待ってると言っていたが、「少し遅れそう」と言ってきて、その次に彼の家とホテルの間ぐらいにあるカフェの地図を送ってきて「来られる?」と聞いてきた。
合理的なヤツだな。
どうせカフェとかに行こうと思ってたので徒歩3分ほどのそちらに向かう

息子は店の前で待っていた。
彼らはモーニングセットを頼み、私は食欲がなかったのでチョコレートケーキとアイスコーヒー。
こんな時でも甘いものなら食べられる気がする。

席に着いて、さっそく息子に昨日の報告をする。
「とにかくあなたがお母さまにご挨拶しに行かなければ話が進まない。向こうは待っていらっしゃる」と言うと、
「わかってる。すぐに行くよ」との返事。
まあ週末はお店のイベントで忙しかったし、先週プロポーズしたところだから遅すぎるということもあるまい。

イベントの話も聞いた。
清里の方のキャンプ場の会員になってる人がいたので、そこに1泊して、夜はさまざまなパフォーマーが出演したそうだ。もちろん息子も。
大きなキャンプファイヤーの火柱の動画を見せてくれたから、
「カブスカウトとボーイスカウトやってたのが役に立ったね」と言うと、
「うん、薪組みや火起こしの経験は必要だね。炎の大きさを調整しなきゃいけないし。他にも3、4人、スカウトやってた人がいて、助かったよ」って。
子供の頃にやってた体験が実際に役立って、よかった。

私「天候が悪かったらきっぱりと中断する勇気も大事だってスカウトで教わったよね。今後もいろんなイベントでその勇気は必要だよ」
息子「そうだね。とにかく事故がないようにしなきゃってよくわかったよ。今回はたまたま雨が降る前にやれたけど、中止になることもあり得たね」
成長しているなぁ。嬉しくなるよ。

先週、姉の息子がパフォーマンスパブに来てくれて、4時間も話し込んだんだそうだ。
「動画制作関係の会社に勤めてるって。うちのメンバーが配信グループを立ち上げたんで、ずいぶん話が合って、仲良くなってた。嬉しいね。今度、お母さんたちにも挨拶に行くって言ってたよ」って。
あと、私が以前にその甥に対して「あなたのお母さん(私の姉)とは必ずしも今、いい関係とは言えないけれども、それとは関わりなくあなたと息子には普通につき合ってもらえればと思っている。若い世代の幸福を願っている」とメッセージを送っていたのを読んでくれたようで、息子が言うには、
「お母さんからそういうメッセージをもらったのが嬉しかったみたいだよ。それがなければ会いに行こうと思わなかったって」だそうだ。
率直に気持ちを伝えておいてよかった。

今日のマンガは鈴ノ木ユウの「コウノドリ」全32巻+「新型コロナウィルス編」1巻。
大病院に勤める産科医が主人公だが、彼には裏の顔がありジャズピアニストの「ベイビー」としてライブ演奏を行う。
素顔も略歴も不明な「ベイビー」の謎として「時々急に演奏をやめて帰ってしまう」ことがあげられるが、それは緊急に病院から呼ばれる「オンコール」を避けられないからだ。
がんの母親が生後間もなく亡くなってしまい、施設で育った彼は出産を「ひとつの奇跡」として大切にし、それぞれの母親や夫婦にとって良い結末になるようベストを尽くしている。
時に死産や子宮摘出などの事故もあるが、患者に寄り添い、赤ちゃんに寄り添って産科医療を支える。
私も「胎便吸引症候群」や「VBAC(帝王切開後の経腟分娩)」などなつかしく大変だった日々がよみがえり、たいそう敬虔な気持ちになった。
お産は1回1回が奇跡だ。
作者の息子が4歳から小学校いっぱいぐらいまで時々登場人物のカットを描いている。
その場面をまた父親がひとコマエッセイマンガにしたりするわけだが、漢字を習うようになった息子から「静かって漢字は、『青が争う』って書くんだね」と言われて成長を感じる、って場面があった。
自分も高校生の時英語の家庭教師に「静かって、『青い争い』なんだね。なんか、とっても『静か』の凄味を感じる」と言って、
「うさちゃんは言葉に対する感受性が面白いね」と言われたことを思い出した。
世間の10歳児並みかぁ。

22年9月20日

台風14号で九州南部は散々な状態らしい。
東京でも雨が強く降ったりやんだりしていて、気温はとても涼しい。むしろ寒いぐらい。
この季節初めて、寝室の窓も扉も閉めて寝た。

眠りやすい気温にはなったものの、精神的に不調みたいだ。
昼間本を読んでうとうとしていたら、イヤな夢をみた。
ガリガリにやせ細った母が布団に横たわって、「死にたい、死にたい」と言っている。
私がどれだけ実家でつらい目に遭ったかを訴えようとしても、声がかすれてうまく言えない。

しまいに「そんなに死にたきゃ、死なせてあげる」と言って嘘のように軽い母の身体を担ぎ上げ、夜のベランダに出た。(場所は誰の家とも言えない見知らぬ室内だった)
5階らしく、「ここから投げ落とせばたぶん死ぬだろう。そうしたら私は殺人犯になってしまう。刑務所で暮らすのはイヤだ」と思ったらついに投げ落とせなかった。

室内に戻ると隣室に姉がいる。
なぜか裸でのしかかってきた。
なんだかレイプされそうで必死に起き上がろうとするが身体がもつれてうまく動けない。
姉は大きな口を開けて私を頭から喰おうとする。
大声でせいうちくんを呼んで助けてもらおうと2、3回名前を呼び、最後は甲高い悲鳴を上げたらしく、書斎で仕事中のせいうちくんが驚いて寝室に飛び込んできたようだった。

名前を呼ばれたのは聞こえなかったけれども「絹を裂くような悲鳴」が聞こえたんだそうで、とても驚き、あわてていた。
なんとか夢の話をすると、
「大丈夫だよ。もう大丈夫。お母さんは死んじゃったしお姉さんもいないよ。もう誰もうさこにひどいことをしないよ」と励ましてくれ、あたふたと会議に戻って行った。
申し訳ないことをしたよ。

よく考えると、息子から甥の話を聞き、いずれ訪ねてくるだろうと思ったら、想像してたより心の深くまで入り込まれているようだ。
姉に怒っているし、もう二度と会う気はないけれど甥はまた別の話、息子と次世代のきずなを作ってほしい、とかなり本気で考えていたつもりなのに、そう割り切るにはまだまだ実家との関係が切れていなかったんだろう。
このところあまり母や姉のことを思い出したり夢にみたりしなくなっていたのは、せいうちくんが自分のお母さんに悩まされている、そのことで母や姉との負の関係を一部清算できていたのかもしれない。

夜、少し話す時間があった時、せいうちくんの意見もたぶんそうだろう、と同じだった。
まだ問題が解決されずに自分の中にあるのを意識して、過去を思い出してひとつひとつ納得していく「認知療法」を続けていくしかなさそうだ。
ああ、しかし怖かった。
しばらく世界がぐるぐる回っていて、家の間取りもわからなくなるほどだった。
引っ越しをしてまだ半年しかたってないせいもあるんだろうけど。

今日のマンガは清水玲子の「輝夜姫」全27巻。
乳児の時に竹やぶで発見され、土地の持ち主である画家の伯母に育てられた少女、晶は伯母のレズビアンの相手をさせられたりヌードを描かれたりする苦痛が高じており、ある日謎の少年たちユイとミドリに誘拐される。
同じように様々な事情で人生をやり直したい若者が集まり、「キャンプU・G(アンダーグラウンド)」のサバイバルを生き抜いて新しい国籍と身分、大金を手に入れようとしていたが、嵐の中、島にたどり着けたのは1機の輸送機だけだった。
秀才だがクラスメートを殺しててしまった聡、詐欺窃盗罪で追われる守、アメリカの人気俳優ミラー、元バスケの選手だったが事故で引退を余儀なくされた黒人サットン、詐欺師の双子桂と楓、そして健康面で不安のある碧と彼を唯一の話し相手とする由。
保護者から同性愛関係を持ちかけられて悩んでいた晶を含め、全員がこの島の孤児院で育った子供だった。
晶を愛している少女、まゆも加わって奇妙な島での生活が始まるが、これはほんのプロローグ。
実は彼らは世界中の重要人物に何かあった場合に臓器や肉体を提供する「ドナー」だったのだ。
「ドナー」として殺された少年たちはある日突如覚醒し、自分たちの過去を取り戻す。
謎の疫病が蔓延する世界でこの「ドナー計画」は何のために立てられたのか。
すべては「月の石」が原因だった。
いやー、絵がものすごく綺麗なのでお話も盛り上がること盛り上がること。
長いけど、一度は読んでみてほしいなぁ。

22年9月21日

心臓の検診に出かけた。
明日が休診日であさっては祝日なせいか、昼近くなっていてもかなり混んでいた。
ワーファリン値は1.7でやや低すぎる。
蜂窩織炎で抗生剤ものんでいるため、正確な評価が難しいようだ。
とりあえず1.5mgだったものを1.75mgに戻す方向で、2週間後に再検査しましょうって。

なんだかイヤな夢ばかりみる。
母や姉、甥まで出てくる実家がらみのものが多い。
先日みた悪夢同様、甥の存在がきっかけとなって侵襲が始まったものだろうか。
プールなのにいつの間にか水着が脱げていて裸になってて笑われるなど、実家には何やら性的トラウマもあるような気がする。
風呂に入っていると父が洗面所近くをうろうろしていたり間違えたふりをして扉を開けたり、風呂上りにバスタオルを巻いてすぐ前の自分の部屋に駆け込んでいると母親から「たまにはパパにおっぱい見せてサービスしなさい」と言われ、実際母や姉は平気で全裸で歩いていたなど、ちょっと普通じゃない感覚がある。

うたた寝するたびに悪夢をみるのですっきりしない。
深く眠りたくて安定剤等を多用しがちなのが余計に悪夢を助長している気もする。

今日のマンガは短編集を2冊ご紹介。
江口寿史の「寿五郎ショウ」と「江口寿史の爆発ディナーショー」。
それ以外の短編集も全部面白いんだが、とりあえずこの2つを。
息子あたりに聞くと、江口寿史はすでに「イラストレーター」の位置づけらしい。
「ストップ!ひばりくん」を描いていたぐらいのことは知っているらしいが、「本業はイラストレーターでしょ?」と無邪気に聞かれると何と言っていいかわからない。
一枚絵が上手すぎたためにマンガを描かなくなってしまったのは実に惜しいと思っているからだ。
またマンガ描いてくれないかなぁ。
でも、ギャグ漫画家を続けすぎると「白いワニ」が見えてきちゃうって言うし、つらい職業らしい。
「爆発ディナーショー」の方に掲載されている「理想の父」シリーズは我々のバイブルで、リッチでモテモテの金持ち父さんが「甘やかしてダメになるようなヤツはしょせんダメだ」と息子に好きなようにさせておくのを金科玉条のように大切に思っている。

22年9月22日

週末は連休だし、昨日は休診日だったから今日こそ皮膚科に行かねばならない。
「蜂窩織炎」は治ってきているようだが明日で抗生物質が切れるから、診療してもらって必要ならさらに抗生剤をもらわないと。

朝、頑張って7時50分に起きて予約を取るためPCの前でスタンバってたのに、いつまでたっても予約受付画面が出ない。
「おかしいなー?」とトップページを見たら、なんと「9月22日(木)は休診となります」って告知されてた!
金曜の朝には薬がなくなるので、最悪でも土曜日に何とかして行くか?
かなり混むらしいけど。

それともあと丸1日薬のんだら完全に治ると踏んで医者に行くのは月曜日にするか?
それも週末が怖いしなぁ。
こんなことなら連休明けの火曜日に行っておくべきだった。
ドクターからも「連休が終わった頃、見せに来て」と言われたってのに。
不安に駆られつつ、とりあえず薬のんで様子見ていよう。

幸い雨が降ってなかったので、景気づけにケーキを買いに行く。
こないだ食べたプリンアラモードがおいしかったのでまた食べたい。
でもショーケースの中になかったので聞いてみたら、土日しか出してないんだそうだ。
残念だが、せいうちくんには大好きなモンブラン、私は初めてのベイクドチーズケーキにチャレンジする。
今日はいちおう三連休の始まりなんだから、せいうちくんの仕事がどんなに忙しくても少しはお休み気分を味わいたい。

こないだドーナッツ1個サービス券をもらったのでさっそく使う。
3個買って、「おひとつ無料にしましょうか?それとももうひとつ持っていかれますか?」と聞かれて、もちろん増やす方向だ。
ケーキとドーナッツを入れた袋を渡す時、「自転車でお越しですか?ケーキは意外と縦揺れに弱いので自転車の前カゴには入れず、手に提げてお持ちください」という定番の言葉をついに言われない日が来たぞ!
それだけ常連さんになってきたってことだ。
しかし、どうしてどこに住んでもお菓子屋さんの常連になってしまうのかなぁ…

今日のマンガは「ハガレン」でおなじみの荒川弘「銀の匙」全15巻。
札幌の中高一貫の進学校に疲れてしまった八軒は、寮のある田舎の農業高校を受験する。
主に農家の子供が集うこの高校で、実習で朝4時からニワトリの世話をしたり馬術部に入ってこれまた早朝から厩舎の掃除やエサやりをしなければならない中、これまでとは違う人間関係を築いていく八軒。やがて同じ馬術部の御影に淡い恋心を抱くようになり、自分の将来を真剣に考え始めた。
北海道での青春マンガと言うと我々の世代ではやはり「麦ちゃんのヰタ・セクスアリス」であったりもう少し最近だと「動物のお医者さん」だったりするのだが、荒川弘のこの作品もまた名作だ。
息子に「なんで『ハガレン』みたいな異常な世界観を描いた直後にこんな明らかに普通の高校生たちが描けるのかねぇ」と尋ねたら、「それが作家さんの幅ってもんでしょ」と切って捨てられた。しくしく。

22年9月23日

せいうちくん、とっても久しぶりにまったく仕事の入らない1日。
たっぷり朝寝してからテレビ見たり本読んだりしようと思ってたら、早めの夕食ぐらいから具合が悪くなっていた。
たぶん過労だろうって。
今日はZOOM飲み会に元気に出られるって言って喜んでたのにな。

息子が来月半ばにカノジョのお母さまに挨拶に行って、月末には入籍すると言っている。
ちょっとあわてて「入籍前に向こうのお母さま含め5人で会えないか」と聞いてみた。
やっぱ、お食事会とかしたいじゃん。
六曜に凝っているというお母さまが決めた日取りだそうだ。
とりあえずよしながふみの「きのう何食べた?」に出てくる上野の鰻屋さんを予約してみた。
息子にURLを送ったら、「ありがとう!お高い店だ」と返信が。
ちゃんとこちらでご招待するからさぁ。

カノジョにもそこでお食事どうですかとLINEで聞くと、よしながふみ読んだことあるって言ってた。
知っているなら話が早い。
さて、お母さまのスケジュールと卦はどう出るだろうか。

今日のマンガは羽生生純の「ジュウマン」全5巻。
ある日突然長野の山奥に現れた巨大な物体。
時おり触手を伸ばしたり形を変えたりしながら大きくなっていく。
生命体はすべてこの物体に飲み込まれてしまうため、このまま膨張を続けたら日本中が飲まれてしまう、と国が危惧し始めるのと同時に、まったくつながりのない老若男女5人が巨大化して集まってくる。
彼らはこの「マンジュウ」を食うことができるのだ。
こうして政府の管理下に置かれることになった「ジュウマン」は警報が出るたびに巨大化してマンジュウを食べに集まってくる。
しかし彼らの人間としての生活は次第に蝕まれ、仲間割れも起こして任務は支障だらけになった。
戦う気のないジュウマンはマンジュウに食われてしまい、最後に残った2人のジュウマンはどうなるのか。
シュールなギャグマンガと言えばいいのか、ちょっとしりあがり寿味もある体当たり型のマンガだった。

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