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年中休業うつらうつら日記(2023年7月8日~7月14日)

23年7月8日

前夜の定例ZOOM飲み会、たまにはとせいうちくんも張り切って参加した。
来年からの身の振り方が大方決まったので、Gくんと共同所有するハイエースを早く買ってくれ、と頼みたいらしい。
だがすでにガンガン飲み始めたGくんは言う。
「買おうとは思ってるんだ。中古屋に行かなきゃなぁ、と思う。だが、そうするとフルートを吹かなきゃいけないのと同じように胃のあたりがキュっとなるんだな」

先週の日記に息子の結婚式で中島みゆきの「糸」をギターとフルートで歌おうと思っている我々が、そのことを考えると胃がキュっとしてフルートもギターも見たくなくなるという現象について書いたのだが、さっそくその切り返しを食らってしまった。
やんなきゃいけないことがあるのって、ホントにイヤだよね。
Gくんもハイエースはゆっくり探してくれ。

「ドワンゴとかタウンエースでいいんじゃないか」と茶々を入れる長老よ、話をよく聞いているのか。
Gくんと我々はハイゼットで3人の車中泊は狭すぎる、って痛感してもっと大きい、3人でゆったり寝られる車を探そうとしているのだぞ。
「長老は、そのタウンエースでは何人で寝たんですか?」と聞くと、
「カミさんと2人だ」。
あなたの亡妻はとても小柄な人だったじゃないですか。
そんな人と2人で寝られたからって、3人旅の話している時にツッコまないでくださいよ。
酔っぱらいは、無視。

無視、と言えば、虫。
参加者の1人、Sくんの背景がどうも和室っぽいと思ったら、白馬の方に旅に来ているのだそうだ。
それがなんと「虫の人の集まり」で、宿は虫の人で貸し切りなんだって。コワイコワイ。
日頃から私にはあまり見せないように注意を払ってはくれるが、FBには遠慮なく上げてくる虫の写真の数々、「虫の人」とはそういう意味だが、その集団が泊まっているのか。

せいうちくんはSくんが人生の途上で始めた虫の道で、一緒に泊まりがけの旅行を企画するほどの友達ができるという点に大いに感心し、友達の作り方を一生懸命聞いていた。
「Sくんが公園の藪で虫を探していると、同じようにカメラを持った人がいて、お互いに『虫の人ですか?』って自己紹介するの?」
「『いえ、私は幼女の人です』って返されたりして」と私がからかっても意にとめず、本当に熱心な事情聴取だった。
会社とまんがくらぶ以外に友達がいないせいうちくん、老後のことを心配してるんだろうな。

12時ごろ寝て、せいうちくんが寝てしまってから目が覚めたのでもう1回ZOOMに戻ってみたら、Sくんは消えて(旅の宿だから、早寝したんだろう)代わりにHくんが来ていた。
彼は先週末に少女マンガ学会に出席したそうで、その話をひとしきり長老とGくんにしたところみたいだった。
私も聞きたいのでもう1回お願いする。

里中満智子先生が重鎮を務めるこの学会で、里中先生は昔の貸本業界からの新人発掘システムについて語ってくれたそうだ。
あと、個人マンガ家や出版社が蔵する原稿をアーカイブ化して整理された状態で長く残すこと、一般の人も見られる状態にする事業を起こしたいと考えているんだって。
それは大いに賛成なので、是非やってもらいたい。
Hくん自身も古い少女マンガ雑誌などをたくさん死蔵している状態で、整理もままならないと言うので、せめてデジタル化してくれ、とついケツを叩いてしまった。

古い少女マンガの話がたくさんできて楽しかったなぁ。
長老とGくんはあまり興味がない世界なのか、てんでに静かに酔っ払っていてくれた。
考えてみたら雑誌を買っていたのは高校生までで、大学に入ったらまず寮の部屋が狭いので雑誌はあまり買わずにコミックス派になった。
その後、ずっともっぱらコミックスである。
「花とゆめ」とか「ぶーけ」とか「プチ・フラワー」とか創刊された、素晴らしい青春時代だったように記憶している。
最近雑誌で感心してしばらく買っていたのは「ハルタ」だが、ページ数が2千ページぐらいあって強烈に重いのと、「青騎士」という雑誌に分かれて行ってしまったので買わなくなった。
女体を描くのが大好きな女性作家を女性が応援しているていの、不思議な雑誌であった。
あと「フラワーズ」は時々萩尾望都の「ポーの一族」の続きが載っているので毎月kindleで買っている。

3人を残していったん落ちたあと、雑誌時代に読んだ文月今日子と清原なつののデビュー作に感動した話をし忘れた、と思い、戻ってみたらHくんは落ちていた。
残った長老とGくんにそんな話をしてもいっこうに通じないのはあたりまえ。
「グラップラー刃牙」を読み始めた話をしても、2人とも、
「それはおまえの息子がいての話だろう。中坊の時に読むならともかく、オトナになってからあんなバキバキしたものは読まない」と切り捨てられた。
まあそうだろうなぁ。
私は息子の世界を理解したくて少年マンガを読んでいるところがある。
もちろん「北斗の拳」ぐらいは嗜んだが、たとえば篠原健太の「スケット・ダンス」なんて息子から「すごく面白い。一気に読んだ」と言われても、全然入ってこなくて悩みながら読み、まだ読了していないぐらいだ。

息子が置いて行った中になかったようで、「範馬刃牙」全37巻がなく、息子に聞いても「今、家にはバキは1冊もないなぁ」とのことなので、どこかで処分されてしまった模様。
彼が持っていた分は全部自炊できたと思っていたのだが。
「もう一度読みたいとは思っている」と言われると、買っちゃうじゃないか。
お金がかかるからもうまとめ買いはするな、と新巻買いだけ許されていたはずの私だが、先日せいうちくんがバロン吉本の「柔侠伝シリーズ」をそろえたいあまりに「現代柔侠伝」をまとめ買いした箱が届いたのを目撃した今、止めるものは何もない。
「範馬刃牙」、買おうじゃないか!

私もこの歳になってよくあんなものを読むよなぁ、と自分で自分に感心する。
「男に生まれたなら、誰でも一度は地上最強になってみたいと思うものだ!」と大吹き出しで言われても、せいうちくんにインタビューしたところ、
「一度も思ったことない。微塵も思わない」のだそうで、時代はアンチ・マチズモか?

23年7月9日

今日も晴れ渡ったいい天気で、つまりは暑くてしょうがない。
昼まで寝て、せいうちくんものんびりできたらしい。
あとは互いに読書をしてテレビドラマを観て食事、風呂、寝る、のルーティン。
こんなことでいいのだろうか。

今、先期のドラマ「育休刑事」の録画を1話ずつ観ているが、実に面白い。
育休中の刑事が何かと言うと事件に巻き込まれ、赤ちゃんを連れて現場に行ったり捜査をしたりさせられてしまう話。
事件そのものはまったくひねりがなく、火サスほどの謎もないベタなものばかりだが、NHKは少子化対策広告費をもらっているのか?と勘繰りたくなるほど、「これからあるべき若い夫婦」について描かれている。
食事中に赤ちゃんが泣いたからと言って、すっと夫が立ち上がって抱き上げあやすドラマがこれまであっただろうか!?

途中まで謎だった「捜査課長」が実は奥さんで、ダンナより階級が上かい!それでダンナさんが育休とってるのか!
「育休中なのにまたお仕事してるんじゃないの?」って会話は、夫婦間での心配と言うより業務管理だったのか!
最新の育児情報にも触れた気になれる、実に啓蒙的なドラマである。

せいうちくんも、会社のエライ人と会食した時に、
「うちの会社には30年前に介護休暇を1年とって、それで役員にまでなれた人間がいるんですから、そこはもっと宣伝してくださいよ」と直訴してきたのだと言う。
確かに社内にアピールしていくべきだろう。
私としてはついでにせいうちくんが家事育児全般引き受けてここまで来たことまでぶっちゃけたいが、それはすなわち私の至らなさの宣伝になるので、あまり大声では言わない。

ひと組の男女が運営する家庭、2人で作る子供なので、それぞれの夫婦単位で話し合い、協力し合ういい落としどころを見つけてもらいたいものだ。
息子夫婦もそうなるよう期待しているが、息子はまったくその点のしつけをしないで世の中に出しちゃったからなぁ。
しかし、働きながら当たり前に自分の高校3年間の弁当を作る父親を見て育ってるわけだから、何かしらを学んでくれていると思いたい。

23年7月10日

暑いので外出したくないが、歯が痛いのでできるだけ早く、と予約を入れた歯医者が今日。
歩いて5分の距離を自転車ですっ飛ばして1分で済ます。
日焼け止め塗ってないけど、あんまり日に当たってないと思う。

左下の犬歯の先に冷たいものがあまりに沁みるので、これはもう虫歯だろう、と覚悟して受診したんだが、いつものようにと言うか、やはり「知覚過敏」であった。
ついでに歯のお掃除をしてもらって終了。
ドクターの顔すら見なくて、全部歯科衛生士さんで済まされた気がするんだが、誰かが歯科医の資格を持っていたのであろうか?
まあ、虫歯でなかったのはいいことだ。

それにしてもしょっちゅう出るなぁ、知覚過敏。
我々の世代は「歯を磨く」ことしか教わっておらず、「歯茎のマッサージ」「歯周病」といった概念はまだなかったので、まわりでも歯周病患者激増中。
息子たちはいいなぁ、当然のように歯間ブラシとかフロスとか使っている。
教育とはかくも重大で恐ろしいものなのだ。

23年7月11日

中島みゆきの「糸」、練習を始めてはみたものの2人ともあまりに予想(願望?)とかけ離れた現在の自分の実力に打ちのめされ続けている。
こんなものを11月末にはご披露しなければならないのだろうか。
いや、もちろん「やっぱりやめとくわ」と言えば息子は絶対止めないと思うんだけど、こっちにもほら、言っちゃった側のメンツってものがあるじゃないか。

そこで私は考えた。
自分たちだけでどうにかしようと思うからいけないのだ。
習いに行こう。
ググったら、家から自転車で行けるぐらいのところに2軒の良さげな音楽教室が見つかった。
片方なんて「1曲集中コース」があるぐらいだから、今回のようなニーズはきっと激しくあるのだろう。
もう一方はご夫婦でダンナさんがギター、奥さんがフルートを教えているという最高の布陣。
両方それぞれ見てもらえば、劇的に腕前がアップするのではないだろうか。

さっそく両方の音楽教室に無料体験を申し込み、さて、せっかくふた駅離れたところに行くんなら、先輩のS夫妻を訪ねてみようかな。
長老の長年のビジネスパートナーであったSさんも、学生時代からよく面倒を見てくれた親切なS夫人も今は子供2人が家を出て、我が家と同じように初老の夫婦で暮らしているはずだ。
思い立つと止まらないので、さっそくSさんにメッセンジャー電話をかけてしまった。

Sさんがいきなりビデオチャットで出るから、反射的にカメラに切り替えてしまい、こっちはパジャマでベッドに横たわって電話してる不精な状態だったのを晒してしまった。
せめてきちんと座って対応すればよかったが、もう話し始めちゃったから寝ころんだままでいいや。

用件の向きを伝え、急だが日曜の夕方、音楽教室に行く前に遊びに言ってもいいか、と聞く。
「わしはヒマだが、奥さんに聞いてみないと返事はできないなぁ。今、出かけてるから」と言われ、もっともだと思い、雑談をしていたらその奥さんが帰ってきたようだ。
「うさこから電話だよ」とスマホを渡されたS夫人は、枕に乗った私の頭を見て驚いたようだ。
「大丈夫?!また、入院とかしてるの?」
いえいえ、単に寝て暮らしてるだけです。

ちょっとおしゃべりをして、日曜に行くかもって約束を取りつけたあとで、当該音楽教室からそちらの駅の教室ではギターとフルート両方の先生が見つからないらしくて、候補に挙げていた全く別の駅の教室での無料体験を提案された。
それだとSさんちに行くのは無理だなぁ。

ご夫婦でやってる教室の方も、コロナの影響で今はご自宅ではやっておらず、こちらの家に出張してもらうかリモートでのレッスンになると言う。
とりあえずフルートをやる奥さんが木曜の夜に来てくれて、2人分ざっと見てくれる無料体験を30分ほど、とのことだった。
この頃には私もかなり出かけるのが面倒くさくなってしまっており、パートがちょっとしかないせいうちくんのフルートはともかく、私のギターはダンナさん先生にリモートでお願いしようかな、って気分になってきた。
奥さん先生が来てくれた時に相談してみよう。

すぐにSさんにもう1回連絡をして、急な話を持ち掛けたがやっぱり訪問はなしにしといてください、とお騒がせしたことを詫びる。
S夫人は、
「暑いしね、身体を大事にして。大切なことがこれからいろいろあるだろうから、そっちをまず優先して」と優しい言葉をくれた。
秋ごろにきっと遊びに行きますから、そちらもこっちの新居にはまだ来てもらってないからぜひ遊びに来てください、伝える。
マンションに来客用の駐車場がないと言ったら、Sさんは、
「うーん、それだと電車になるかなー」とつぶやいていた。

ついでに毎週長老とZOOM飲み会で会う、といった話をした。
「あれは、ある種の異常者ですね。いつも酔っ払っている」とぶっちゃけたら、常識人のS夫人はたいそうあわてていた。
悪口に聞こえてしまったか。
今度、「いつでも機嫌が良くて全然怒らないが、人の話を聞いてない」とフォローしておこう。(フォローになってないかも)
Sさんは仕事をずっと一緒にしていたせいか、長老が酔っ払ったところはあんまり見たことがないそうだ。
飲みに行く習慣のあまりないSさんならではだろう。
関係によって、人の見え方はずいぶん違うものだ。
長老と一緒に仕事をしたことのあるKくんも、以前、
「仕事にはとてもシビアで正確な人ですよ。『このギャラだったら打ち合わせは3回だな』というコスト感覚がすごいです」と言ってたもんな。
私が知ってる長老は、節約大好き出費大嫌いな人間なだけだ。

これだけの打ち合わせを午後から夕方にかけて一気にやったせいか、どんなに先生についても最後は自分が練習しなきゃ弾けるようにはならないんだと気づいたせいか、ものすごい不安に襲われる。
何もする気が起きなくなって、ベッドに横たわったきり。
あまりに重い不安感なので頓服としてもらっている抗不安薬をのんだら少し良くなった。
薬の力は偉大である。
人体は化学反応で動いているんだなぁ、とあらためて思った。

木曜にフルートの先生が来る無料体験と、日曜によその駅前までせいうちくんと出かける無料体験、両方をやってみて決めるわけだが、今のところスタジオ料がかからないご夫婦先生の方に気持ちは傾いている。
出かける方は、無料体験でも2人分で5千円ちょっとのスタジオ料がかかるのだ。
この先ずっとレッスン料以外にそれを払い続けるのはかなりの出費になり、痛い。
またポロンポロンとギターを弾いて、知らないコードには指が反応しないのに苦しみながら夜は過ぎて行く。

23年7月12日

せいうちくん、1日中出社。
おとなしくギターの練習でもしていればいいものを、あんまりギターのことばかり考えているから不調になって薬を多めにのんで昼間は寝ていた。

夜になっても不安がおさまらず、ついには不安時にのむ頓服のお世話にまでなってしまった。
これは2週間14日に対して10錠しかもらえない貴重な薬だから、大事に使わなきゃいけないのに。

せいうちくんは、
「毎日15分練習すれば必ず弾けるようになるよ。完成形のイメージなんか持つからいけないんだよ」と諭すが、中高大と学園祭などでコンサートの舞台に立ち、イケてたのだよ、私は。
高校の時はファンクラブができて下級生女子からバレンタインチョコをもらったんだぞ(共学高校でこれはけっこうスゴイんだ!)。
大学の時は新聞部が出してる週刊新聞に写真と名前が載って誉められた。
こういう華々しい経験をしてしまった人間にとって、「今はこんなもんなんです、へへへ」ってものすごく認めにくいんだよ!

半面、もし楽譜通りにきちんと弾けて歌えたら、両親からの贈り物としてはなかなかカッコよくて心がこもっているのではないか、と恍惚とする。
「恍惚と不安、ふたつながら我にあり」の状態が続いている。
気をそらすための「アフロ田中シリーズ」読み返しももう終わってしまった。
「ジョジョ」はちょっと難しくて気を紛らわすのには向かない。
かと言って全く新しいマンガに挑戦するには元気が余っていないのだ。
この先前のようにマンガを楽しめる日は来ないのではないか、と不安になる今日この頃。

23年7月13日

昨日の夜中から少し涼しくなった。
午前中は扇風機だけで過ごせたので、勇気をもって買い物に出かけた。
いつもせいうちくんが週末に買い出ししてきてくれるので自分での買い物は久しぶり。
大好きな「カツオの混ぜ寿司」を作るためのカツオの冊と、せいうちくんに頼まれた大豆の缶詰を買う。
豆は大嫌いなので、せいうちくんの頼みでなければこんなものに我が家の敷居を跨がせたりはしないのだが。

カツオの混ぜ寿司は、薄切りにしたカツオをショウガ醤油に数時間漬けて、ご飯を炊いて寿司飯を作り、細切りにしたショウガと40枚ぐらいの大葉をカツオと共にドサッと混ぜ込んだ、大好きな食べ物。
これを3合も作っても、2日でなくなる。
せいうちくんはほとんど食べないにもかかわらず、だ。
彼は好き嫌いはないので食べられないわけではないんだが、私の大好物だと知っているので少しでも取り分を減らしてはかわいそう、という考えらしい。

買い物から帰る頃には少し暑くなっていて、帰るなり水風呂に飛び込む羽目になった。
そのあとベッドで扇風機にあたっていたら、だんだん身体が熱を帯びてきた。
仕事の合間にのぞいてくれたせいうちくんが、
「早めにエアコンつけなよ。キミは体温調節がヘタなんだから。(ぎゅっとしてみて)ああ、もうこんなに熱を持ってる。早く水風呂に入って、部屋も涼しくして過ごしなさい」と注意喚起してくれて、本日2度目の水風呂。
まめまめしく世話を焼いてくれるありがたいダンナさんだ。

せいうちくんの仕事も終わり、18時半にフルートの先生が来てくれた。
40代後半ぐらいのフェミニンな女性で、いかにもフルートって感じの人だった。
なぜか大きなトランクを引きずってきて玄関に置いていたのは、演奏の帰りか何かなのかな?

我々が息子の結婚式で中島みゆきの「糸」を歌いたい、という話はしてあって、
「とっても素敵です!たとえ上手でなくても、心がこもっているので息子さんご夫婦も出席者の皆さんも感動してくださるはずです」と言ってくれた。
きっとそういう依頼をもう100回は受けているのではないかと想像する。

ギターの私のために簡単なコード表をスマホで見せてくれたが、うん、これだったら全部弾ける。
でも、できれば楽譜通りにちょっと難しいコードや音変更も入れて、華麗にやりたいんだ。大それた野望だけど。
とりあえず、せいうちくんのフルートの前奏から初めて、ひととおり2人の演奏を聴いてもらった。
「予想してたより大丈夫だ」と思ったか「これは相当頑張ってもらわないと」と思ったかどうかは顔に出さないプロだった。

もし今後お願いするとしたらリモートでレッスンを受けることにした。
ダンナさんはいわゆる教育を受けたギタリストではないので、教え方とか相性とかが心配なので、来週私とリモートで顔合わせすることになった。
せいうちくんはもうそのまま彼女にお願いしたい雰囲気ではあったが、もう1件無料体験を控えていることを伝え、そっちをやってみてから決めるって話に。
そっちは1回ずつスタジオ料が5千円以上かかるので、あまり気が進んでいないとも伝えておいた。

もし彼女たち夫婦にお願いするようなら、フルートの先生がせいうちくんの吹くパートの譜面も作ってくれるし、今ははっきりしてない後奏についても適当に作ってくれるそうだ。ありがたい。

ギターに関しては「弦を替えるとかなり音が綺麗になる」「カポタストも古いものなので、新しいのを買うといい」とアドバイスをもらった。
「小道具を新しくすることでずいぶん聞こえ方が違います」とのこと。
弦はライトがいいのかコンパウンドがいいのかすっかり忘れてしまったので、今度ギターの先生とZOOMで顔合わせする時に聞いてみよう。
あっ、日曜の無料体験に行くところでそっちの先生に聞いてみるのもいいな。
そしたらAmazonで注文すれば済む。

先生のフルートも聴かせてもらったが、そもそもケースから出して組み立てたそれはせいうちくんのとは全然違う、黄金に輝く目のくらむような綺麗なフルートだった。
せいうちくんのは古びたステンレス製で、もうそのまんま「あなたの落としたのはこの金のフルートですか?それともこのボロい鉄のフルートですか?」って感じ。
でも先生によると、
「これはヤマハ製ですよね?それなら銀でコーティングしてありますから、Amazonでポリッシャーを買って磨くとピカピカになりますよ」だそうだ。
見た目も大事だから、せいうちくん頑張れ。
もちろん先生のフルートは音色も演奏も素晴らしく、こうありたい、という中島みゆきの前奏が聴けたのは何よりの収穫。

今回の無料体験は20分から30分と聞いていたのに、気づいたら1時間近く経っていた。
最初に出した冷たいお茶を再度勧めると、
「あっ、いただきます。こないだ尿道結石をやったので、水分は大事なんですよね」と言っていた。
私も経験があるから、
「あれは痛いですよね」
「地獄の苦しみでした。超音波で破砕しました。細かくなったやつがさらに尿道に詰まる人もいるらしいですね」などと世間話もしてしまった。
「陣痛より痛いって言いますよね。陣痛の方が波があってマシですよね。尿道結石はずーっと痛いまんまで」と言うのでちょっと驚いた。
妊娠・出産をしたことのある人には見えなかったのだ、細くてお嬢さんタイプで。
だから「陣痛より痛い」という話は控えていたのだが、俄然話がそっちへ行った。
「陣痛は目的のある痛みだからガマンするとしても、結石はただ痛いだけですからねぇ」と言うと深々とうなずき、痛かった話が展開された。
私は自然に石が動いてどっか行っちゃったケースで、超音波で破砕した人の話は初めてなので、興味深く拝聴した。
とにかく水分を取ろう!

「では来週またご連絡します」とLINEの交換もして、無事に無料体験終了。
大きなトランクと共に彼女が帰ったあとは2人して大きなタスクが終わったことに安堵し、脱力していた。
「毎日少しずつでも練習しなきゃいけないんだって」
「僕はドレミファを1音ずつきちんと長く吹く練習をしなきゃいけない」と互いに課せられた仕事の重さに、あらためて大変なことを始めてしまったものだ、という思いを隠せなかった。

でもひととおり他人の前で演奏したことで妙な自信もついてきて、「まだ日にちがありますから」という先生の言葉が魔法のように脳内でエコーして、気は楽になっていたのであった。
ためになる無料体験であった。
日曜の別件も楽しみだ。

23年7月14日

せいうちくんは出社してしまい、目が覚めたら1人だった。
今晩食べるはずだったカツオの混ぜ寿司を、夜中に全部もうろうとしながら食べてしまったことを思い出し、ちょっと途方に暮れる。
今夜のごはんはどうしよう。

幸い日中もやや熱さが和らいでおり、エアコンなしで過ごせる最低限度の気温。
でもギターに触ると変な汗をかきそうで怖くて放ってある。
こういう時間にこそ練習しなければならないのだろうが。
日記だけが「やらなければならないこと」で、それを週1実行するので精いっぱいだった私の生活に、さらにタスクが増えてしまった。
ここ1週間ぐらい、頓服の抗不安薬の消費が激しい。
ドクターに「息子の結婚式で中島みゆきを弾き歌うので、抗不安薬の追加をください」と言ったらいったいどういう顔をされるだろう。
「そんなに負担なら演奏自体をやめなさい」と言われそうだなぁ。

あまりにその件が重くのしかかっていたので、8月の半ばに行くつもりのダイヤモンド・プリンセスでの「和歌山・九州あたり巡り&熊野大花火&済州島」クルーズのことが頭から吹っ飛んでいた。
そろそろ旅行に必要な服をそろえたりグッズを考えたりしなければならないのに。
クルーズも3回目になり、感動が薄れているということか。
初めての外国船だから余計に緊張して下調べしなければならないこの時期に。

かろうじてトランクのレンタルとオプショナルツアーの件だけは解決してある。
いちいちお金がかかるのであまり陸上活動はしないつもりだが、やはり済州島では降りて街を見てみたい。
長崎は行ったことがあるからいいとして、島原城を見学するツアーはぜひ参加したかったのだが、これはかなり歩行がキツイと書いてあった。
たとえ車いすを使うとしても、旅の初めから車椅子を携行して行かなきゃだし(船でのレンタルぐらいしてくれよ)、島原城天守閣に登るにはどうしても徒歩になるそうだ。
涙をのんで、これは不参加と決めた。
高見沢さまの天草四郎姿を見たことがあり、なんとなく憧れていた島原城なのだが。

そんなあれこれも一気に押し寄せているというのに、3連休最後の月曜には息子夫婦やあちらのご家族との大宮でのビアホール、来週は友人たちとの落語観賞と、暑い夏にしてはヘビーな予定が満載である。
健康に気をつけて過ごそう。
午後を過ぎてやはり暑くなってきた。
水風呂に飛び込んで、エアコン効かせた寝室に退避しなくては。

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