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024 描く③ 四つのルール

〝デザイン〟というと多くの方が口にするのは「センスがない」の一言ですが、プロのデザイナになるのでなければ「センスは不要」と言っても過言ではありません。センスを求められるのはもっと高いレベルの話で、それまではルールを知り、守るだけで十分だからです。 ── 今回はそのセンス以前の “ルール” について、簡単にご紹介します。

近接

最初のルールは「近接」です。これは上記のように、似たもの同士を近付け、違うもの同士を離す(その違いの分だけ距離を空ける)のがルールです。クロネコもシロネコも同じ猫ですので近付け、シバイヌは猫ではないのでそれ以上の距離を空けた表現にしています。

また、天地や左右(黄・青の矢印)はそれぞれ同じだけ間隔を空けてどちらかに寄せる意図がないことを伝え、同様に、写真と説明文の距離(緑の矢印)も統一しています。シバイヌの説明文だけが写真から距離があると、この写真を見る人に「シバイヌじゃない可能性があるの?」と思わせてしまうかもしれないからです。

整列

2番目のルールは「整列」です。これは皆さんが何気なく守っているルールですが、これを徹底的に意識すると見ためが引き締まり、スッキリしたレイアウトになります。横書きの文章は左揃え、写真の説明文は(写真に対して)中央揃えにするのが一般的ですので、上図もそれに倣ってレイアウトしました。

プロの手によるデザインかどうかは、この整列が「どれだけ徹底されているかを見ればわかる」と言われるほどですので、ぜひ今日から意識して徹底してみてください。

対比

近接、整列と続いて3番目は「対比」です。端的にいうと「メリハリをつける」ということなのですが、文字サイズや太さ(ウエイトといいます)、色などに変化をつけてそれを実現します。文字や写真のサイズ比を専門用語で「ジャンプ率」と呼びますが、このジャンプ率を意識して紙面を設計すると、よりプロっぽい仕上がりになるので一度チャレンジしてみてください(個人的には岡本一宣さんのジャンプ率を参考にしています)。

反復

自分でルールをつくり、自分でルールを守る ── 。これが最後のルール「反復」です。上図のように、文字の書体やサイズを決め、行数や揃え(左揃え・右揃え等)を決め、これを守るだけの簡単なルールです。しかし、ページ数が多くなると、このルールが足枷となることもあります。ですのでページ数を考えたルール設計が必要ですし、場合によっては「このページは例外!」とルール遵守を諦めることも必要かもしれません。いずれにせよ、読者が見やすく、読みやすくするためのルールとその遵守ですので、その目的を忘れず上手くこの「反復」を活用してみてください。

冒頭でお伝えした通り、自身のセンスに責任を押し付けるのではなく、まずは「近接・整列・対比・反復」という四つのルールを学び、守り、チャレンジしてみてください。我流を卒業すれば誰にでも読みやすいレイアウトは実現できます。

たとえわずか1mmであっても前進は前進ですので、ここから奥深い「レイアウトデザイン」の世界に徐々に足を踏み入れてもらえると(元グラフィックデザイン屋としては)嬉しい限りです。

[参考]これまで&これからの記事

法人/個人を問わず、論理思考やコミュニケーションスキル、メンタルスキルなど各種ビジネススキルを、基礎の基礎から分かりやすくお伝えいたします。   (株)トンパニ https://tongpanyi.co.jp/