身近にあるデザイン(日本酒編)
こんにちは!TONEGAWAのnote編集部です。
今回は、新入社員Mが担当致します!
「初めてのnote、何を書こうかなぁ」と悩みました。
私はデザイン関係の学校を出たわけではないので、デザインの知識があるわけではありません。ですが、デザインフェスタなどのデザイン系のイベントにはよく足を運んでいました。
なので、デザイン知識はないけれどデザインに触れることが好きな私が、「いいな」と思ったものを紹介できたらと思います。
今回は私が学生時代アルバイトしていたのが、酒屋だったということもあり、日本酒のラベルデザインを見ていきたいと思います。
はじめに
若者のお酒離れとラベルデザイン
皆さんはお酒売り場に足を運ぶでしょうか?
スーパーなどでズラリと並ぶ缶チューハイ。
中には可愛らしいデザインが増えてきましたよね。
若い人のお酒離れから開発・発売された「ほろよい」は、その戦略通り可愛らしいデザインで宅飲みする際の人気商品となりました。
特に季節限定品はデザインに力が入っていて、私もついつい買って冷蔵庫に並べてしまいます。
他にも本田翼さんのCMで「私には、ぼーっとする時間が必要です」でお馴染みの「Bar Pormum(バー・ポームム)」。
こちらの商品も落ち着きのあるデザインながら、バーに来たような雰囲気で思わず手に取ってしまうようなデザインをしています。
このように、若者をターゲットとした商品は比較的デザインに気を使っている印象があります。(サントリーさんが特に力を入れているという見方もありますが)
缶チューハイはこんな感じですが、日本酒ってデザインに無頓着なイメージありませんか?
↓こんな感じで茶瓶に漢字
普段お酒を飲まない若い子達が、家飲みで飲んでいるイメージってないですよね。SNSに映え目的で載せている人も中々見ません。
実際問題、日本酒離れが加速しており(特に若い人)、酒蔵さんも様々な対策を講じて購買してもらえるようにアピールしています。
その一つがデザイン!
目を惹くようなデザインならパッケージ買いもありますし、SNSに載せてもらえればそこから波及する可能性もあります。
では、どんなデザインの日本酒があるのか見ていきましょう。
合資会社寒菊銘醸
トップバッターは寒菊銘醸さん。
千葉の九十九里にある酒造さんです。
(デザイナーは女性の方とお聞きしたことがあるのですが、お名前やどんな方かまでは調べられませんでした……)
総乃寒菊
商品にはいくつかのシリーズがありますが、まずはこちらの
「総乃寒菊」シリーズです。
4種類あるのですが、千葉県をメインテーマとして
「Identity=存在証明」
「Adapt=適応」
「New Sensation=新感覚」
「Blue Sapphire=真心」
とそれぞれに名前がついています。
シンプルに寒菊銘醸のロゴだけを使用したデザインです。
これよくよく見ると、青のボトルだけ真ん中に宝石が埋め込まれているようなデザインになっていますね。
商品名が「Blue Sapphire」だからでしょうか?
OCEAN99
次はこちら「OCEAN99」シリーズ。
この商品は、寒菊銘醸の近くにある九十九里浜海岸の海を表現した、デザインになっています。
これらは季節によってラベルデザインが変わり、季節限定出荷の商品です。九十九里の海を見れない人へも、九十九里の海の色や移ろう表情をラベルで伝えようとしているのもいいですよね。
ラベルだけでなく、ボトルの色まで変えるなどの工夫が凝らしてあり、これはその季節に応じてゆっくりと、移り行く季節と共に飲みたい商品ですね。
Occasional
最後はこちら「Occasional」シリーズ。
こちらのシリーズは寒菊銘醸が年に1度だけ出す超限定品商品です。
限定品なだけあって、ラベルデザインが豪華ですよね!
一番手前、中央にある赤と黄色のデザインの商品は「電照菊」をイメージしたデザインです。温かみのあるデザインは秋の夜長にゆっくり飲むのにピッタリです。
また、その右後方にある白のデザインの商品は、お米の名に恥じない品のある質感のラベルを採用し、九十九里浜の水平線とそこから昇る太陽を表現。水平線から昇る太陽が海や大地に反射しあたり一面を幻想的に包んでいく、そんな情景をイメージしています。
新政酒造株式会社
次は新政酒造株式会社さん。
ここは、日本酒ラベルデザインを語るうえで外せないです!
なぜなら、酒造が日本酒のラベルデザインについて考えるようになった、最初の酒造さんだといわれているからです。
ただ、パッケージデザインを見る前に是非、ホームページ(以下HP)を見ていただきたいです。
ここの酒造さんはHPもお洒落。
このウロボロスのデザインは、聖書にでも出てきそうな雰囲気……。
美術館で額縁に入れられていても違和感なさそうです。これを見て酒造さんのHPとは思わないですよね。
次に商品ページ。こちらもまるでアパレル会社のHPのようです。
No.6
さてさて、本題のお酒のパッケージを見ていきましょう。
新政酒造の目玉と言えば「No.6」!
デザイナーは石田敬太郎さんです。
TANOJI design (tanoji-design.com)
パッケージもシックな感じで、すごく私好みなのですが、なんと言ってもこのシリーズ名と商品名。お洒落すぎます!!
日本酒なのに、電子機器やロボットの製品番号のような名前をつけているのが、違和感がありながら画期的です。
さらに、このシリーズ「No.6」は10周年記念の際に、書家、アートディレクター、マンガ家、クリエイティブディレクター、現代美術家とのコラボレーションをしていました。
また「No.6」は、この10周年コラボとは関係なく、漫画家 小山宙哉とコラボをし、デザインには凝っている様子。
新政酒造はパッケージを現代的に、さらにアーティストとコラボしているのには、理由があると代表取締役の佐藤さんは語っています。
八戸酒類株式会社
上二つは、スタイリッシュでどちらかと言えばカッコいいラベルだったので、次は可愛いラベルで攻めたいと思います!
如空 じょくう
春和酒の「花咲かラビット」、夏涼酒の「White Bear(ホワイトベア)」、ひやおろしの「リスの収穫祭」、そして しぼりたての「オコジョラベル」。
日本酒は日本らしく旬があるお酒。
春ならかすみ酒、夏なら生酒、秋はひやおろし、冬はしぼりたて新酒。
それをラベルだけでなく、季節によってボトルの色も変えて表現しているのは、いいですよね。皆さんはこの中だったらどれが好きでしょうか?
私は圧倒的に春のうさぎです。
「NO.6」のコラボ商品にもピンクのボトルはありましたが、日本酒でピンクのボトルはまだまだ珍しいと思います。
このお酒はかすみ酒ではないようですが、かすみ酒にすると沈殿した、酒かすを混ぜるときに舞い上がって、まるで桜のように見えるかもしれませんね。
わんちゃん
こちらの商品は、いちご×日本酒のリキュールになってしまうので、日本酒の枠からは外れてしまうのですが、デザインが面白くて笑ってしまったので紹介します。
これを書いている時ちょうど発表された新商品だったため、画像がこれしかなく見ずらいとは思います。すみません。
ですが、商品名の「わんちゃん」と猫の驚いた顔は見えると思います。
この商品は、猛暑被害を受けた農家さんと商品に携わった皆様がチャンスを掴んでほしいという思いと若年層にも訴求力のある言葉として、「ワンチャンス」から命名したらしいです。
それなら尚の事、犬の写真でも良かった気がしますが、猫なのは何か理由があるのでしょうか?
それにしてもこのアンバランス感……。私は好きです。
今代司酒造株式会社
次の会社は、国内外問わずデザイン賞で多くの賞を獲得している酒造さんになります。今までのお酒のイメージを全部表現してくれていたデザインとは違い、自分で考えたり調べたりすることが楽しくなる。そんなデザインが多い酒造さんだと思います。
人と木とひととき
まずはこちらの商品。「人と木とひととき」です。
デザイナーさんはBULLET INC.の小玉文さん。
この商品は、
と、様々な賞を受賞
この商品は、日本酒の中でも珍しい「木桶仕込み」です。
なぜ珍しいかと言うと、お酒を造れるほどの大きな木桶を作れる会社が日本国内には、もう一つしか存在しないからです。
戦前は、様々なものが木桶で作られていましたが、戦後、木造の家を建てるために木材が高騰。変わりに戦争が終わり余った鉄などが安くなり、そこから日本酒の製造用の入れ物も変わっていき、今では木桶の香り漂うお酒は希少になってしまいました。
この会社も木桶仕込みのお酒は、60年ぶりになるといいます。
パッケージデザインは、先に紹介してきた商品と違い、商品名すら書いていないシンプルさです。
逆にそのシンプルさが、呑み手が自由な考えや感想を持てるのではないかと思います。
私も木桶仕込みが珍しいことは知っていましたが、「なぜ珍しいのか」までは調べたことはありませんでした。
でも、この商品の説明のないシンプルさ故に、今回木桶仕込みの珍しさの理由を調べるキッカケになりました。
価値観の押し付けではなく、呑む人がどうして「人と木」なんだろうか。と考えながら呑む時間こそが、このデザイナーさんの思い描く「ひととき」だったのではないのかと思いました。
鯉錦
次の商品は、先ほどの「人と木ひととき」のシンプルさを保ちながら、紅白のおめでたい雰囲気のあるボトル。
こちらの商品のデザイナーさんもBULLET INC.の小玉文さんです。
こちらの商品も「人と木ひととき」と同様にたくさんの賞を受賞しています。国外の賞が目立ちますね。
これだけの賞を獲得していると、商品の見た目と相まってお祝い事の贈り物には持ってこいです。
化粧箱に入れることによって、鯉らしさがより際立ちますね。化粧箱に入れると、化粧箱の影がボトルに落ちて、池を優雅に泳ぐ鯉を連想させます。
目やヒレが描かれていないので、「どこを向いているのか」「どんな泳ぎ方をしているのか」を見る人が自由に想像できるのもいいです。
今代司酒造の在り方を体現するような、威風堂々たるお酒を造ろうという思いからこのお酒は生まれたそう。
今代司は「金魚酒」ならず
威風堂々たる「錦鯉」
今代司酒造の在り方を体現するような、威風堂々たるお酒を造ろうという思いからこのお酒は生まれたそう。
今まで紹介してきた商品のボトルは、中が見えるよう黒のボトルでも少し透き通っているものがありましたが、この商品は透き通っていないのは珍しいと思いました。
株式会社RiceWine
こちら最後の紹介になります、株式会社RiceWine。
ここは、販売が株式会社RiceWineでありお酒を造っているのは、森山酒造というところになります。
こちらの商品は先に紹介した商品と違い、オンラインでしか購入できない商品です。
また、他の商品とコンセプトも違います。
日本酒は「季節」や「自然」のコンセプトが多いですが、この会社の商品コンセプトは「時間」です。
HINEMOS(ヒネモス)
「終日(ひねもす)」は朝から晩まで続くさまを意味する語。
この商品は夕方6時から朝5時までのそれぞれの時間をターゲットに、商品展開がされています。
パッと見は、数字が見えづらいですが数字を意識してみると数字が見えてきますよね。(こちらの商品もデザイナーさんがわかりませんでした)
HINEMOSは、グローバルで誰もが直感的に理解できるように、ラベル、キャップ、キャップシール、パッケージのすべてを「時間」というコンセプトに落とし込んでいます。
こちらの商品は、ただお洒落というだけでなく、デザインで購入者の購入ハードルを下げるために工夫されている商品です。
例えば、
・元来の日本酒は、デザイン的に女性が気軽に購入する姿が想像できない
→日本酒に見えないデザインに。
・現代人が日本酒の一升瓶を冷蔵庫にしまうという様子が想像できない(一人暮らしなら一升も飲まない)
→商品サイズを500mlにし、一人暮らし用の小さな冷蔵庫
にも収納できるようにした。
・漢字同士の日本酒を並べると違いが判らなくなってしまう(外国の人はもっと分からない)
→時間をコンセプトにし、ラベルに書くことで購入者がわかりやすくなるデザインにした。
デザインはお洒落に見せるだけでなく、バリアフリーのような力も持っていることがこの商品によってわかります。
こちらの商品は気になったので、個人的に期間限定商品を購入してみました。届くのが楽しみです。
終わりに
いかがだったでしょうか?
みなさんの知らなかった日本酒デザインの世界が見られましたか?
紹介した日本酒以外にも、今や面白いデザインの日本酒が売られています。季節限定品は力入っているものが多い印象です。
もし、皆さんがお酒コーナーや酒屋さん、居酒屋に行く機会があれば、日本酒のパッケージデザインにも是非、注目してみてくださいね!!
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