見出し画像

#読書感想文 『フランスの子どもは夜泣きをしない -パリ発「子育て」の秘密-』

もう妊娠9ヶ月だというのに、最近まで私は出産・育児に関する本を1冊も読んでいませんでした。
情報が溢れていて、影響を受けすぎて混乱するのが怖かったのもあるのですが、それ以上に「出産・育児=大変だよ」ということを受け入れたくない、というか受け入れられない(メンタル弱っ!)、というのもありました。

「そろそろ、1冊ぐらい何か読んだら?」の声に押されて

切迫早産で妊娠29週目以降、1日中ほぼベッドの上で過ごしている私。
出産・入院に必要なものや、基本的なベビーグッズについて調べ終わり、ほぼ購入の目星もついてしまい、NetflixやAmazon Primeにも少々飽きてきた頃、夫から「先輩から送ってもらった本か雑誌、そろそろ1冊ぐらい何か読んだら?」と声をかけられました。

1ヶ月ほど前、昨年出産を終えた先輩が引っ越しをするとのことで、不要なベビーグッズをまとめて送って頂いたのです(家から出られない身には本当にありがたい!!!)。
その中には、本や雑誌もあり、「ベビーグッズ決定版!」みたいなモノ系から、「離乳食のレシピ」、「子どもを賢く育てる」感じの内容までありました。
その中でひときわ輝いて見えたのが『フランスの子どもは夜泣きをしない -パリ発「子育て」の秘密-』
先輩はフランスに7年ほど駐在されていて、パートナーもフランス人。
お国が変われば子育ての姿勢も違うのかもしれない!という期待を抱いて読み始めました。

産む前に読めば心構えが変わる

本の内容はこんな感じ。

3児の母親でもあるパリ在住の元ジャーナリストがフランス流子育てを観察分析し、秘訣を紹介する。夜泣きや食育、保育園などの様々な場面で、子どもを「小さな大人」として扱う様をユニークに描く!

紀伊國屋書店の書籍情報

この本は「3児の母親でもあるパリ在住の元ジャーナリスト」の経験を基に書かれているんですが、彼女は“アメリカ人”。
そして、彼女の夫は“イギリス人”。
もちろん、アメリカ、イギリス、フランス…と国でまとめて語ることに多少の危うさはありますが、そこは彼女の丁寧な観察眼と、個別エピソードでまとめられており、すっと受け入れることができました。

赤ちゃんが泣いても「ちょっと待つ」そして「観察する」

この本を読んでいて、よく出てくるのがこの「ちょっと待つ」「観察する」というフレーズ。
赤ちゃんが泣き出すと、すぐに抱き上げてあやす、という印象があったけれど、このマインドセットを払拭できたのは大きな収穫です。

「最初にアドバイスするのは、赤ちゃんが産まれたら、夜にすぐあやすのはやめてください、ということです。赤ちゃんにすぐ応じずに、赤ちゃんが自力で落ち着くチャンスを与えてやる。産まれたばかりのときからそうするのです」

第三章|フランス人の赤ちゃんは朝までぐっすり眠る|P.58

すぐにあやさず、まずは「観察する」。
そして赤ちゃんが、ただぐずっているのか(理由もなくぐずることはよくあることらしい、そしてこれは眠りのサイクルの谷間に起こる)、空腹なのか、オムツが汚れているのかを見極める。
「5分、10分、泣かせておいて大丈夫」と思える住環境かどうかもあるけれど、赤ちゃんを「ちょっと待たせて」その後、眠りのサイクルに戻ることを学習させる必要がある、というのは、以前読んだ「ねんトレ」本とも共通していて、納得感あります。

フランスのママさん達は、子どもに長時間寝てもらう為、というより「忍耐を教えるため」と考えているようですが、それもなんとなく腑に落ちちゃう国民性ですね。笑

子どもに「即座に何でも手に入ることはない」と理解させる

これを「忍耐」と表現するのかは分かりませんが、この本には子どもと接する際の親の「心構え」がたくさん書かれています。

フランスの心理学者ディディエ・プリュは、著書『Un Enfant Heureux(幸福な子ども)』のなかで、子どもを幸せにする最良の方法は、フラストレーションを与えることだと述べている。
「遊びを禁じたり、抱きしめたりしないというのではありません。もちろん、子どもの好み、リズム、個性を尊重すべきです。子どもは、ごく幼い年齢から、この世に自分以外の人がいること、そして、すべてのことにはふさわしい時があることを、学ぶべきなのです。」
(〜中略〜)
フランス人の親は、子どもにフラストレーションを与えるダメージを心配しない。反対に、フラストレーションに対処できなければ、子どもがダメージをこうむると考えている。フラストレーションに耐えることを、人生の核となるスキルだとみなしているのだ。

第四章|お菓子づくりは教育の宝庫|P.94-96

なるほどね〜。だからフランス人って、ストで公共交通機関が止まったり、ゴミの回収が止まったりしても耐えられるのか!と思ったり、思わなかったり。笑
でもこの「フラストレーションに耐える」ことは、これからの時代を生き抜く上で、必要な能力だと私自身が考えていたので、幼少期から意識的に学ばせることのヒントを与えてくれました。

パートナーと「子育てに対する姿勢」を話し合う

この本には、他にも

  • 夫婦円満の秘訣

    • 「パートナーは選べるけど、子どもは選べない」こそ、パートナーとの関係の方が大切

    • パートナーとのロマンチックな時間は「譲れない」ものとして考える

  • 食育

    • 栄養素として与えるのではなく、食材としてさまざまなものに触れさせる

    • 食事の時間は大切。テーブルを囲む時間を重視する

  • 叱り方

    • (理由は聞くけれど)ダメなものはダメ、けれどダメな理由は説明する

    • 逆に決められた「枠組み」の中では、自由にさせ、口出しをしない

なんかについても書かれています。
著者自身も疑問を感じながら、書かれている内容もあり、読みながら納得できる部分や「これはやりすぎだろ〜」な部分もあるので、パートナーと「これってどう思う?」なんて話しながら読むと面白いと思います。

もちろん、育てていく中で、変化していくし、ブレることばかりなんだとは思いますが、なかなか人の子育てを知る機会ってないもの。
こういう子育てもあるのか〜、と頭に入れておけば、「こうしなきゃいけない!」みたいなことに捉われず、少しはフレキシブルな子育てができるのではないかと感じました。

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,568件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?