無自覚な悪意との戦い方
noteの街、特にエッセイ界隈の治安が悪くなってきたなぁと感じます。
書き手たちの夏フェス『キナリ杯』を開催しnoteの住民を沸かせた岸田奈美さんも心ない言葉に傷つけられているそうですし、言葉の刃を向けられるほどではないですが私自身も投げられた小石が当たることが増えました。
noteは書き手に優しい街といいますが今後もそうかはわかりません。治安が悪化すれば誰もが攻撃を受ける可能性があります。
まずは、みやさんのこちらのnoteをお読みください。
みやさんのnoteの中では「他人を傷つける発言をしうる人」のカテゴリを3つに分けています。
・直接言ってくる頭のおかしい人
・直接言ってくるまともな人
・陰で言う心の弱い人
岸田奈美さんを中傷したような「直接言ってくる頭のおかしい人」、名指しを避けて愚痴noteを書いたりTwitterで悪口を言うなど「陰で言う心の弱い人」。
これらは「意図的な攻撃」「無自覚な攻撃」と言い換えてもいいかもしれません。
さらにこれからnoteの街でも、インターネット空間の他の場所がそうであるように、評論家を気取った書き手が頼まれてもいないのに勝手に他人の作品をこき下ろしたり「有名noter」をオモチャにする流れが出てくることが予想されます。
※「評論家気取りの人」は本人はアドバイスのつもりかもしれませんが、直接面と向かって言う勇気はなく相手を貶める内容を語る人がほとんどです。なので「直接言ってくるまともな人(アドバイス)」ではなく「陰で言う心の弱い人」カテゴリに入れます。
noteの街の治安が悪化したとき、標的になるのは「目立つ」人たち。
私のnoteのお友達はスキ数が多かったり、note初期登録時のおすすめユーザーだったり、編集部おすすめ入りの頻度が高かったり、コンテスト入賞者だったり、私設企画の主催者だったりして、いわゆる「目立つ」人が多いです。実際にいまも標的になっている方がちらほら。
noteの友人が悪意によって筆を折られる姿は見たくありません。
なので私なりの「悪意への対処法」を書き、ここに共有します。
つよつよの秘訣、大公開だぞ☆
(おい、「『だぞ☆』がキモイ」とかエアリプすんな。)
0. noteの街が目指す姿とは
まず最初に、noteの住民の共通認識として理解しておきたいこと。
note CXO 深津さんの記事に大切なことが書いてあります。
noteの街は一種の生態系。
様々な存在を内包し、ゆるやかに変化し続ける環境です。
個々の学校レベルのミクロな視点では、多様性の低いスポット(男子校、女子校)が発生しますが、マクロな視点ではより大きな多様性が生まれるわけです。
私にとって馴染み深い、noteのエッセイ・小説ジャンルの中だけでも多種多様な「スポット」があります。
私設企画で盛り上がる交流型(私たち周辺)、パルプ小説の魔窟である胡乱窟、ライターさん、企業所属のユーザー、note黎明期から書き続けてきた古参ユーザー、など。
男子校、女子校、のようにハッキリとした区分けはないですが(どこにも関わらなかったり、複数のスポットに関わるユーザーも多く存在する)、noteにも多様性の低いスポットがあります。
各スポットの内部では主流となる考え方が違い、おのずとnoteの使い方も異なってきます。
そこで違いを違いとして放置することが大事です。
お互いのやり方に口を出せば、そこには争いが発生します。
多様であるということは「一定数の合わないもの」「一定数の敵対者」すら内包します。ですので多様な世界は、平和な世界ではありません。小さなイザコザや、メンドウな調整ごとが沢山発生します。
noteが多様性を尊重する方針である以上、争いがゼロになることはありません。
大事なことなので深津さんのnoteを何回も読んで覚えておきましょう。
でも。
争いが起こると傷つく人が出ますよね。
「誹謗中傷がキターーーー!!!私が人気者である証拠ーーーーー!!!!フッフゥゥゥゥゥゥゥウウーーーーーーーーー!!!!!」
と、誹謗中傷が来れば来るほどハッピー爆上がり少年漫画の主人公メンタルならばいいのですが、誰もが主人公メンタルの持ち主というわけではありません。
イザコザに備え、雑魚メンタルな私たちができることを以下に記します。
1. 日頃からやっておくこと
−1 スタンスを明確に
noteを使う理由、フォロー/フォロワーに対する考え方、noteで何を表現したいのか。
私の場合は企画を主催することが多いので
・noteで知り合った人たちと表現を楽しむために企画を開催していること
・企画は自由参加であること(参加を強制していないこと)
・企画に参加したからといってべったりと馴れ合う必要はないこと
は、常日頃からしつこいほどにアピールしています。
スタンスを明確にし、あなたの考えが周りにも浸透していれば、反感を持つ人が事実無根な中傷を加えようとしたときに(たとえば「企画を主催するのはフォロワー数稼ぎ」など言われても)一笑に伏すことができます。
−2 noteの街が広いことを認識する
先ほどの深津さんのnoteでスポットの話がありました。
私がいるのはエッセイ・小説ジャンルの小さなコミュニティです。
このコミュニティ内では数々の私設企画がおおいに盛り上がっていますが、noteの広い街からすると微細な事象であることを忘れてはいけません。
大きな池の片隅でミジンコの集団がキャッキャしているイメージです。そう、我々は愉快なミジンコ。
誰かから揶揄されても、過剰に凹まず、おごりたかぶらず、ヘイヘーイ、君もミジンコたちの遊びに興味があるのかい??ぐらいの態度でいましょう。
noteの街の広さを感じるためにも、意識的に違うスポットに遊びに行くと良いです。テクノロジー界隈やフード界隈、デザイン界隈は広くて深くて面白い(知識がないとわけわかんねぇ)ですよ。
私は胡乱窟でパルプ小説を読み漁るのが好きです。
まぁ難しい話は抜きにしても単純にパルプ小説が好き。
−3 深津さんのnoteを読む
大事なことなので2回言いました。
noteの街の憲法と言っていいぐらいの内容、読んでない人は読んでみてね。
2. トラブル発生時に我慢すること
−1 囲い込まない
当事者以外を敵味方でわけない。
あなたに火の粉が降りかかってきたとき、それはあなたとトラブル相手、1対1の問題であることを心に刻んでおきましょう。
味方集めに奔走しない。
トラブル相手と仲良く話している人を、敵と認識しない。
特に、トラブル相手と仲良くしている人を敵と認識するのはまずいです。その人は攻撃者との対話チャンネルを保持しつづけるために、あえてそう振舞っている可能性が高い。
トラブル相手が激昂しないようガス抜きをしてあげているのかもしれませんし、あなたとトラブル相手との間で窓口になるために見えないところで奔走してくれているのかもしれません。
トラブル相手と仲良くしている人。その人は敵ではないです。
いくら攻撃的な人でも、憎い相手でも、孤独に追い込んではいけません。本当の悲劇は分断と孤立から生まれます。
「無敵の人」という言葉を聞いたことはありませんか。
知らなければ検索してみてください。
−2 苦しむ姿を公開しない
傷ついている姿をTwitterやnoteに公開しない。
それを見た相手が「痛いところを突いてやった。やったぜ!」と快感を覚えるかもしれません。
NOダメージに見せかけることに成功すれば、逆に相手を怖がらせることができます。
潰しても潰しても、逃げずよろめかず堂々と歩く蟻がいたとしたら「えっ、こわっっ(不死身やん)」ってなりますよね。
とはいえ苦しみを吐き出すこと自体は大事です。
やり方は後述します。
−3 好戦的な反論をしない
ヒートアップすれば相手の思う壺です。
政治における与野党の応酬や、戦争問題について交わされる議論と同じと思ってください。待っているのは泥沼です。
「話せばわかる」は幻想ですし、いま一度、深津さんのnoteを思い出してください。
(忘れた頃に、しつこく深津さんのnoteの話をするスタイル)
noteの街は多様性を尊重し「小さな小競り合いは発生するもの」という前提で作られています。争いを根絶することはそもそも不可能です。
言葉で解決しようと必死になる。
物を書く人が陥りがちな罠です。
議論を重ねてトラブル相手を説得し、改心させるのは無駄骨に終わります。
どうしても反撃のための攻撃をしたいのならば一撃で仕留める自信があるときのみにしましょう。議論が平行線になる、また議論にさえならずに空振りさせられてしまうと自分が消耗してしまうためです。
やられっぱなしは悔しいって?
私もやられっぱなしは大嫌いです。
ちゃんと次のトピックでやり方を教えますから、待ってて。
トラブルの渦中では発言の一つ一つが将棋の一指しです。
無駄打ちは相手の駒を増やすことにつながりますし、自分が疲れてしまいます。
慎重に、次の一手を指してください。
3. トラブル発生時にすること
−1 中傷が含まれる文章を保存しておく
悪意が込められたnoteやツイートが消される(悪意部分を消されて編集される/有料化される)かもしれません。
スクショなどで証拠を保存しておきましょう。
−2. 気持ちを落ち着ける
嫌な目にあったときに1人で気持ちを落ち着けるのは難しいです。
どんどん仲間に頼りましょう。
信頼している人にDMや電話やzoomで打ち明ける。
愚痴ったり、証拠として保存しておいた文章を仲間内で回覧するのもいいでしょう。論の展開の稚拙さや、あからさまな悪意をネタにして笑いあうと楽しいんじゃないかな。
向こうはインターネットの海に悪意をばら撒いたわけなので、仲間内でひっそりとサンドバックにすることに後ろめたさを感じる必要はありません。
傷ついたあなたの心を回復させるのが最優先です。
いっぱい笑おう。ね?
−3 いつもどおり振る舞う
お友達と楽しくnoteやTwitterでワイワイしましょう。
表では、相手のことを揶揄しちゃだめ。エアリプも我慢。
−4 いいnoteを書く
いつもどおり、みんなが「読んでよかったなぁ」と思うnoteを書きましょう。
−5 おしまい!
相手への反撃は?
必要ありません。
相手が意図的に攻撃している場合(直接言ってくる頭のおかしい人)、これだけやっておけば攻撃の意欲が削がれると思います。
だって相手から見たら無反応でつまらないですからね。
相手が無自覚に攻撃している場合(陰で言う心の弱い人)、まぁ放っておきましょう。
そのうち相手に変化があって、なんで私あんなこと言ったんだろうと振り返るぐらいまでに相手の心が強くなったら、もしかしたら良い友人になれるかもしれません。だって、その人、あなたに憧れていたのかもしれませんよ。
4. 攻撃がつづくなら
−1 わざと泳がせる
相手の攻撃がエスカレートするなら、あえて好きにやらせましょう。
野放しにして一線を越えたのを見届けたらnote運営に通報。
一線を越えたかどうかは弁護士さんに相談してみてください。
note運営さんへ通報するときに弁護士さんの見解を送付すれば確実。
noteの仲間にも本職が弁護士さんの人がいるし、オンラインで無料相談ができる弁護士さんもたくさんいます。(私は20年来の友人が現職弁護士なので心強い。)
明らかな「他ユーザーに危害を加える存在」になっていればもちろん、法に従い処罰が下ります。
−2 事実無根の噂への対処
事実無根の噂がばら撒かれているのであれば、周囲の雰囲気が悪くなるので身の潔白を証明しましょう。
証拠を見えるところに淡々と並べる。
感情に訴えかける必要はありません。
それだけで相手が印象操作をしてこちらを貶めようとしていることはみんなに伝わります。印象操作をしていることがバレてダメージをくらうのはあちらなので、涼しい顔で証拠を見せるだけで十分。
(逆に、それが伝わらない人とは仲良くしなくていい。)
実例をあげます。
私設企画に良い印象を持たない人が、企画主催者を指して「同調圧力をかけている」と語るのを目にすることが増えてきました。「陰で言う心の弱い人」の投げた石が私に当たったパターン。
※ 私は消耗するのが嫌なので自分の悪口を書いているかもしれないユーザーやnoteには近づかないようにしていますが、Twitterのタイムラインに流れてきたり、たまたま読んだnoteに書いてあったりして陰口が目に入ることがあります。
ちょっとあまりにも目に余るので「同調圧力」という言葉を無効化するためツイートしました。
好戦的な反論にならないよう、軽い口調で。
ツイートに含まれる意図はこちらです。
・悪目立ちしてはいるが私設企画で盛り上がっているのはマイノリティである事実の確認(ひとりで淡々とnoteを書き続けている人の方が圧倒的に多い)
・「同調圧力」はマジョリティがマイノリティを屈服させるためのもの
・「同調圧力」という言葉で傷つけようとしても無駄ですよ
・私設企画のスタンスは周知し続けます
・不快に思うなら自分で適切な距離まで離れてね
先方が不用意に発した「同調圧力」を利用して、こちらの立場を表明した形です。将棋にたとえると、相手が打った飛車をこちらが取り、自分の駒として打ったといったところ。
「同調圧力」という言葉に怯えずいつもどおり私設企画を楽しんで欲しいことを見た人にやんわりと伝えるのが主目的。ツイートのインプレッション数が約3500なので、私の周辺の人には届いたんじゃないかと思っています。
(心配させてすみません。石が当たった瞬間は痛かったですが、戦略的にツイートするぐらいにはめちゃくちゃ元気です。)
……お気づきでしょうか。
ツイートの際に「同調圧力という言葉を使うのをやめてもらえませんか」など、先方の発言を訂正すること、撤回することは求めていません。
決して相手を深追いしない。
違いは違いのまま、放置するのが基本です。
−3 加害に自覚的であること
被害者としての発信は同時に加害の側面を持ちます。
先ほどのツイートも、交流型noteユーザーの存在に居心地の悪さを感じ「同調圧力」という言葉で自分を慰めていた人にとって気分のいいものではありません。
逃げ道を塞がれたように感じたと思います。
そういう人を、私のツイートは傷つけたはずです。
でも私は、私自身と私設企画の主催者、企画に参加する人がこれからも安心して企画を楽しむために「同調圧力」という言葉による誤った印象が広がるのを阻止する必要がありました。
傷つけたのはお互い様です。
自分も加害側であることに自覚的でありましょう。
noteは多様性を尊重する場所で、小競り合いが発生する世界なのですから。
ここでまた深津さんのnote。
自分のタイムラインやメディアに、分析や雑感を淡々と書く
たまたまタイムラインに流れてきたものを、雑に読んで、「ひどい奴だ」みたいに雑な感想をコメントする
たまたまタイムラインに流れてきたものを、「わかるー」みたいな感じで雑にRTした
攻撃性の低い言葉で「無自覚に」炎上に加担した例です。
トラブルが発生したときに、一方に肩入れし一方を叩く発言が大量発生してしまうのも、炎上に似た現象と思われます。
トラブル真っ最中の発言は、たとえ被害者サイドであっても加害に自覚的に。慎重に。
また、平常時でも「私はAじゃなくてBをしていきたい」という意思表明などがAを貶めていると解釈されることがあります。
Aを否定せず「私はBをしていきたい」とシンプルに書くことで回避できます。誤読されがちで困っている人は意識してみてください。
各自、自戒していきましょう。
ご提案: モルモットになってみませんか
ここで、みなさんにご提案です。
noteの街の日常を「良いインターネット」を実現するための社会実験だと捉えてみませんか。
私たちはモルモットであり、観察者です。
私たちの振る舞いで、noteの街が、インターネットが、どう変わるかを観察してみませんか。
マリナネズミの元には「旧来の枠組みを壊す」「目立つ振る舞いをする」ことに対する反応が集まりやすいです。
あなたの元にはどんな貴重な現象が集まりますか?
事例をお互いに持ち寄って検証し合う「より良いインターネット実現研究会」なんてものを作ってみても楽しいかもしれませんね。
プライバシー保護に配慮しつつ、インシデント集(事故事例集)が作れたら面白いかも。
特定の誹謗中傷に対して一致団結するのは分断と孤立を招くため良いやり方とは思いませんが「より良いインターネット」を追求するために団結するのは面白いんじゃないかなぁと思います。
ときに群れていると揶揄されがちな私たちの利点を、最大限に活用していきましょう。せっかく「目立つ」人が集まってるんだし。
マジでサークル立ち上げようか。
より良いインターネット研究サークル。
最後に
私の名前の由来は、パフォーマンスアートの大御所マリーナ・アブラモヴィッチさんのお名前をもじっています。
作品を発表することが怖くなって筆を置こうか迷った人は、名前の由来について書いたこちらのnoteを読んでみてください。
表現の世界にいる以上、怖い目にあうこともあるかもしれません。
それでも誰かの幸せを後押しするような作品をこれからも一緒に作り続けましょう。
「良いインターネット」を実現できるか、みんなで実験していきましょうよ。
以上、『悪の護身術』ならぬ『神(目線)の護身術』でした。
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