俺の実家に聖火が一時的に安置されることになって半年が過ぎた。
居間では今日も聖火が燃え上がり、暖かな光の波動を放っている。そしてその横の禍々しい暗黒聖火も負けじと闇の波動を放ちながら燃え上がっていた。ここには聖火が2つある。
事の起こりは半年前。東京オリンピックは延期され、聖火リレーは中断された。再開の目処が立つまでの保管場所に選ばれたのが地元の名士である俺の実家だったのだが、ひとつ問題があった。俺の実家は闇の一族であり、闇の一族が催す予定だった暗黒オリンピックの聖火がすでに保管されていたのだ。実家が表の顔として勝ち取った社会への信頼