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暗黒期と距離を取る。穴だらけのバケツから、自分の人生を探す。


先日の記事にたくさんの反響をいただき、本当にありがとうございました。

それから数日たった今。私の中で小さな変化があったので、そのことについて書きたいと思います。

キーワードは「承認欲求」「バケツの穴」「自己実現」でした。


簡単に言うと、心が軽くなった


すごく単純な話なのですが、noteをたくさんの方に読んでいただき、「共感しました」と言っていただいたことで、心が軽くなりました。

暗黒期。夫への怒り。そんなものに塗り潰されていた心に、ふっと余白が生まれたような、不思議な感覚でした。

調子のいいことを、と思われるかもしれません。自分が書いたものが評価されたのが嬉しくて、それで浮かれてしまっただけなのではないか。私の感情は、これまで悩んでいたことは、こんな単純に吹き飛んでしまっていいものだったのか、と。

ですが、どれだけ考えても心が軽くなったのは事実でした。そして今回は、その理由を分解してみました。



満たされないのは、バケツに穴が空いていたから


承認欲求、という言葉があります。

承認欲求(しょうにんよっきゅう)とは、「他者から認められたい、自分を価値ある存在として認めたい」という欲求であり、「尊敬・自尊の欲求」とも呼ばれる。
(wikipediaより)

産前産後、私は「誰かから認められたい」という感情を強く抱いていました。

息子から、夫から。
職場から、友人から。

でも、その欲求は全然満たされませんでした。
どれだけ生活を整えても、気を紛らわせても、体を休めても、職場復帰の目処をしっかり立てていても、どこかで「まだまだ」と物足りなさを感じていました。そして「満たされていない」と感じることが、育児への不安や、夫に対する不満に繋がり、増幅させていました。

いつまで経っても満たされない承認欲求。
私は「穴のあいたバケツ」でした。


穴のあいたバケツにいくら水を注いでも、水は溜まりません。
穴を塞がない限り、欲しいものは得られない。
でも私は、そのことに気が付いていませんでした。足元の水たまりを見ながら、なぜ溜まらないのだろう、これ以上、なにを注げばいいのだろう、と途方にくれるばかりでした。

自分自身が「穴のあいたバケツ」であることに、私は気付いていませんでした。いえ、薄々気が付いていたかもしれませんが、肝心の「穴」がわからなかったので、気がつかない振りをしていました。



怒りがバケツに穴をあけていた。その穴を塞いでくださったのは、皆さんでした。


自分の暗黒期を振り返り言語化することで、私は自分の「バケツの穴」の正体に気付くことができました。

産後の暗黒期。
満たされない思いの要因となったもの。
それは「怒り」でした。

自分を守るために必要だった「怒り」が、同時に私の「承認のバケツ」に穴をあけていました。


noteを書いた段階では、私の「穴」は塞がりませんでした。

暗黒期の原因が「怒り」だと気付いても、それを取り除く方法を私は知りませんでした。怒りを抱えたまま、これから生きていくのだろう、と思っていました。

ですが記事をたくさんの方に読んで頂いたことで、状況は一変しました。

たくさんのご感想や、いいねをいただきました。
とても温かい励ましの声をいただきました。
中には「これは少し違うのではないか」というご意見もありました。
でもそれらも含めて、私はとても、とても、嬉しかったです。

そしてふと見れば、バケツの穴が少しだけ小さくなっていました。

共感しました、という声に、私はとても励まされていました。
一人ではない。孤独ではない、と感じることができました。

一人ではどうしようもなかった「心の穴」に、一枚、また一枚と絆創膏が貼られていくような気持ちでした。そしてその絆創膏を貼ってくださったのは、他ならぬ皆さんでした。



一人じゃないこと、穴を見つけられたこと。両方が必要だった。


noteを書いただけではダメでした。

産後クライシスの体験談を読むだけでもダメでした。

自分の「バケツの穴」を見つけ、その原因となった「怒り」の存在に気付くこと。
そして同じように悩んでいる方が他にもいらっしゃることを知り、「ひとりではない」と実感できること。

その二つが合わさって初めて、私は「バケツの穴は塞げる」ということに気付きました。



穴を塞いだバケツには、ちゃんと水が溜まっていった


私の承認のバケツには今、少しずつ水が溜まるようになっています。

自分の仕事が無事に完遂できたこと。
あるいは夫に労ってもらったこと。

今までならば「足りない」と不満を感じていたことが、「嬉しい」という感情とともに、自分の中に少しずつ、積み重なっています。

もちろん、承認欲求が満たされたからと言って怒りがなくなったわけではありません。怒りはまだ私の中にあり、暗黒期からも抜け出せていません。ですが、その暗黒期から少し距離を取れるようになった気がします。

あなたはまだそこにいるのね、と。
冷静に見つめる余裕が生まれたような。
怒りが残っていても、それ以外の感情や思考を大切にできる。のびのびと自分の人生を新しく組み立てることができるような、そんな心の余裕ができました。

救われたのは、私のほうでした。



承認されると、自己実現に向かうことができる


「自己実現理論」というものがあります。別名、「マズローの欲求5段階説」とも言われているものです。

自己実現理論(じこじつげんりろん、英: Maslow's hierarchy of needs)とは、アメリカの心理学者アブラハム・マズローが、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したものである。
(wikipediaより)
「マズロー の欲求5段階説」
 第1段階 生理的欲求
 第2段階 安全的欲求
 第3段階 社会的欲求
 第4段階 承認欲求
 第5段階 自己実現欲求

産後、私はずっと「承認欲求」が満たされませんでした。穴の空いたバケツは私自身、注がれる「水」が、外的・内的な承認でした。誰かから認められたい、自分自身を認めたいと思いつつも、穴の空いた心のバケツでは注がれた承認を受け止められませんでした。
ですが今回、多くの方から共感をいただいたことで初めて、「悩んでいるのは自分だけではなかった」と感じることができました。「ひとりではない」と思えたことで、そしてバケツの穴を見つけたことでやっと、承認欲求が満たされたのだと思います。

承認欲求が満たされた結果、どうなった。
その次の「自己実現欲求」の段階に進むことができました。



「怒り」と距離を置き、暗黒期から抜け出すためには、「自己実現」を目指すしかなのかもしれない


自己実現欲求を持つとどうなるか。
「こうありたい自分」に意識を向けられるようになります。

これは大きな変化でした。

これまで、私のエネルギーの源は「怒り」でした。「怒り」は「他者に対するネガティブな感情」です。一方、「自己実現」は「自分に対するポジティブな思考」。これらはまったく正反対のものです。

他人ではなく自分。
過去ではなく未来。

「怒り」から「自己実現欲求」に視点がずれることで、「心が軽くなった」と感じたのかもしれません。



なくすことはできなくても、遠ざけることはできる


とはいえ、私はまだ暗黒期にいます。
「怒り」の感情は残っているし、その代わりとなるものを見つけていません。
「自己実現欲求」も、それが私を助けてくれるかはわからないし、どうやったら満たされるのかもわかりません。そしてその支えとなっている「承認欲求」もまた、いつなくなってしまうかわかりません。

ですが今、私は「満たされる」と自覚することができました。
そして「怒り」や「暗黒期」を少しだけ自分から遠ざけることができました。
どちらも私の中にまだ存在しているけれど、距離を置くことで少しだけ、その重荷を軽くすることができたような気がしています。

それもこれも、noteを読んでくださった皆さんのおかげです。
本当に、本当にありがとうございました。



お返しに何ができるのかを考えた


今回、私は皆さんのおかげで心の穴を埋めることができました。
ならば今度は、自分になにができるのだろうと考えました。

あのnoteに共感してくださった方は、今も心のどこかで「怒り」を抱えておられると思います。そんな方に私ができることは何だろうと考えました。考えて考えて、けれど結局、いい考えは浮かびませんでした。

せめて出来ることがあるとすれば、怒りを抱えている人の呟きに対して、私は全力で「そうですよね」と頷きたい。全力で「いいね」をつけて、全力で「大丈夫ですよ。誰もあなたを責めませんよ」と伝えたい。

私もあなたもまだ暗黒期だけれど、暗黒期で必死に頑張ってきた自分を、その一部でも許してあげられたらいいですね。私はまだ自分を受容しきれていないし、嫌な部分もあるし、夫に対してモヤモヤも残っているけれど、暗黒期から少しだけ離れられたらいいですね。でも無理だったら、それはそれで仕方がないですよね。悩んでいるのはあなただけではないし、悩む自分を責める必要もないと思いますよ、と。そんなふうに、少しでも皆さんの絆創膏になれたなら、と思っています。

でもどうやったら皆さんに絆創膏を届けられるのか。
そもそも私にそんなことができるのか。それはまだ、わかりません。
これから、その方法を探していきたいと思っています。


「怒り」は必要なものでした。
産後の暗黒期を生き抜くためにも、そして「バケツの穴」を治すためにも。

これからは、おさまらない「怒り」の隣に「自己実現」という違う柱をひっそりと立てて、この二つを心の中に共存させていきたいと考えています。いつか「怒り」が小さくなって「自己実現」が少しでも大きく育つ日が来たら、それはとても、素敵なことになるんじゃないかと思います。


改めて、この度は本当にありがとうございました。

皆さんの心の穴や、傷になっているものが、少しでも良くなりますように。
一枚でも多くの絆創膏を届けられるように、私も頑張ります。



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