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飛行機を20分遅らせた日。

これは、そーさんが4歳の時のはなし。

この頃から
「およよ?この子のこだわりは、ちょっと人よりもすげーやつかもしれん。」
そう思い始めた出来事。
(つまり診断がつく前の話。)

いきさつ

私の祖父、そーさんにとっては「ひいじいじ」の法事があったため、
飛行機にのって祖母の家にいくことに。

そーさんにとって、初めての飛行機。
飛行時間30分、私、夫、娘、じーじ、ばーば、そーさん6人。
乗る時間も短く、そーさんが好きなシールブックも買い込み、
私は「何かあっても30分だしね。」と完全に油断していた。

座席は夫と私でそーさんを挟み、娘は私の膝のうえ。
じーじとばーばは4座席後ろに並んで座った。
事件はここから。

「ばーばとのりたい!」
どうしてもばーばと座りたいと言い、自分の席から離れてしまう。

他のお客さんが乗り終わってもそのやり取りは続いた。
スチュワーデスさんが来て、
「飛行機が出発できないから、座ろうね」と優しく声をかけても
状況は一向に変わらず。

全員着席しないと、離陸できない。

「飴あげるから座ろうね、ぼうや。」と後ろのおばちゃん。
そんなのいらないと跳ねのけるそーさん。
顔も声掛けもだんだんきつくなる、スチュワーデスさん。
全乗客からの視線。

ひたすらに冷や汗がでた。
もう飛行機を降りるしかない、そう思った。


多分、いろんな話し合いをしてくれたんだと思う。今回だけの妥協案を頂き、ばーばの膝の上に着席。
20分遅れで離陸した。


「今回だけですよ」「本当に今回だけですからね」「次回乗った時に同じ対応はしません」という内容のことを何度も言われた。

そのあとはただただ頭が真っ白だったことしか
覚えていない。

そーさんに何が起きていたのか

  1. 見通しがないと極度に不安になる特性。
    初めてのことは、どんな場所で何をどんな順番でするのか、
    情報があればあるだけ安心するのだが、「飛行機という乗りものに乗る」としか伝えていなかった。

  2. そーさんの想定と違うことが起こった。
    「ばーばの膝の上で座りたい」そして「座れる」と思っていた。

  3. 上記の2つからパニックを起こした。パニック状態になった時、通常であれば一切の刺激を取っ払うことでクールダウンできる。
    しかし今回は「視線」「声掛け」すべてが刺激となり、癇癪へ。
    加わり続ける刺激が癇癪をヒートアップし続け、ひたすらに「暴れる」「泣き叫ぶ」になった。

こういう時、私はどうすればよかったのだろうか、とよく考える。
だけど、本人の特性を知れば知るほど、そうなってしまったものはどうしようもない。

事前にできたこととすれば、
①飛行機の中が想像できるようと画像や動画でみせておく。
②離陸中はシートベルトをして、座ったまま動くことができないことなど、乗った後のことまでイメージできるように伝えておく。
③診断が降りていれば、スタッフの方にも特性を伝えておく
④それでも癇癪が起きてどうにもならない事態が起きた場合は、すぐさま降りる覚悟をしておく。

この事件以来、乗り物に乗る時は対策を隅々までして挑んでいる。
が、ここまでしても起きる事は起きるので、あとは流れに任せる。
ただもう、あの時の冷や汗は忘れない。。。

あと忘れてはいけないのはこれ。
飛行機を降りてもらうこともできただろうに、精一杯対応してくださったあの時のスタッフの方、乗客の方々、
本当に感謝。


感謝と同時に感じるのはやっぱりこれ。

「およよ?この子のこだわりは、ちょっと他の人よりもすげーやつかもしれん。」


母の奮闘はつづく。

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