シェア
となり
2024年10月12日 22:51
目が覚めると、果てしなく広がった草の海の上で、私は寝そべっていた。私以外には誰もいない。風が吹くと、青くみずみずしい香りが私の頬をなでた。空の高いところには大きな雲が三つだけ浮かんで、太陽の前を流れていく。私は大きく息を吸ってみた。「…苦しくない」空気って、こんなにも優しいものだったんだ。こんなにも癒されるものだったんだ。「あぁ、私、逃げて来れたみたい」私はそっと起き上がって草の波の上